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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

ももクロ論壇第三弾『アイドル感染拡大』予約ページ 

Saki縮小



ももクロ論壇第三弾評論誌『アイドル感染拡大』ついに発売!

アイドルに感染した者は皆アイドルになり、この社会は笑顔に包まれる。
196ページ、約22万文字を超える大ボリューム。

ももクロをはじめ、東京女子流、スマイレージ、Berryz工房、℃-ute、さくら学院、BABYMETAL、SPEED、Perfume、演劇、サイリウム、ラブライブ!AKB48、私立恵比寿中学、アリスプロジェクト、地下アイドル、地方アイドル、ヴィレッジヴァンガード、あまちゃん、マキシマムザホルモンなどなどを取り上げた、まさに文化評論の決定版!

現在本誌収録のまえがきと目次を公開しております。
ご参考にぜひ。


『アイドル感染拡大』販売サイト公開中。

●表紙モデルを務めたSakiさんが所属する2&の物販でもご購入できます。
ライブスケジュールなどは公式サイトをチェックしてください。

●ジュンク堂池袋店様でもご購入できます。
3Fタレント本コーナー。9F音楽書コーナーに置いてます。
見本誌もございますのでお近くにお越しの際はぜひジュンク堂池袋店にお立ち寄りくださいませ。

●ジュンク堂福岡店様でもお取り扱い開始です。
2階にございますのでぜひお立ち寄りくださいませ。



海外への発送、上記以外での購入方法をご希望の方は
hypersoniccooldive@hotmail.co.jp
こちらまでご連絡ください。






まえがき

『アイドル感染拡大』を手に取っていただき誠にありがとうございます。
ももクロ評論第3弾をようやく刊行することができました。

「ももクロとは一体なんなのか」

過去2作の評論誌ではそう問い続けてきたわけですが、ももクロ第11弾シングルのタイトルは『泣いてもいいんだよ』というとてもわかりやすいものとなっております。
なぜももクロはここまでわかりやすくなってしまったのでしょうか。

この本を読むことで再び「ももクロってやっぱり訳がわからなくってすごい」となることでしょう。
ももクロを探究する方々にはより理解を深めるための本となり、ももクロを知った気でいる方々には混乱をお届けする本となるはずです。

僕たちが思う「訳がわからない」の9割以上は様々な学問で証明可能であると言われています。つまり「訳がわからない」と言えるような範囲のものはほぼ理解することができるのです。もちろん学術的に解明できるということであり、それを全部把握できる、ということではありません。ですが僕たちが思う「訳がわからない」は言わば思考停止状態に陥っているだけとも言えるのです。

ももクロを見たときに生じる「なんだかわからないけどすごい」という感覚は果たしてなんなんでしょう。

ももクロと出会うことで僕たちは「訳がわからない」の旅に出ました。
そして様々なものと出会い経験と知識を獲得し、「訳がわからない」ものの多くがある程度理解可能であることを知りました。
歌声だけでなく表情や身体全体を含めて歌っているから心に突き刺さるんだ、とか。
これまでのももクロの歴史がより彼女たちを際立たせるんだ、とか。
いろいろ自分を納得させるための言葉を獲得したわけです。

このように「訳がわからないもの」をある程度納得することでももクロのことを知ったつもりになっていたのです。
「ももクロはやっぱり訳がわからない」というさらに先の地点へと到達するにはより深く感じて、より深く考えなければなりません。
(桃神祭一日目の百田夏菜子と観客とのコールアンドレスポンスで「ももクロはわかんない」という言葉が多くの人達に賞賛されたのは、本誌製作に大きな力を与えてくれた。7月27日追記)

この本はももいろクローバーZについて様々な角度から考察を試みた評論集です。
読み終えて多くの気付きを得て、さらにももクロという混乱に陥っていただけたとしたら、この上ない喜びです。
ももクロ探究の旅はまだまだ果てが見えないのです。

この本は目次を見て気になるページから読み進めていただいて構いませんが、はじめから通して読むことでより深く理解できるように構成をしました。
掲載順も読みやすさを重視し、読者のみなさまが無駄にストレスを感じないように、思考の旅に集中できるように構成しています。
註釈や説明的な言い回しも極力減らしました。ですがももクロについての知識が無い方でも読めるようなものを目指しました。

一緒にももクロを理解し、再び「ももクロって一体なんなんだ」という幸せな混乱に巻き込まれましょう。


ももクロ論壇責任編集 さかもと






『アイドル感染拡大』目次

にるそん考2 アイドル戦国時代の俯瞰的な分析  
にるそん サイト『にるそん考』

【序文】
【ももいろクローバーZ】
 1:コンテンツの特徴
  1期:王道アイドル期「斎藤悠弥、黒須克彦、ツキダタダシ」
  2期:飛び道具期「前山田健一、NARASAKI、AKIRASTAR、大隅知宇」
  3期:コラボ期「やくしまるえつこ、布袋寅泰、miwa、広瀬香美、高見沢俊彦、中島みゆき」
  4期:ダウンタウン期「武部聡志」
 2:戦略の特徴
  ①ベンチャー企業的なフットワーク(1弾から抜粋・改良)
  ②共闘という新しい形でのアイドル文化の形成(1弾から抜粋・改良)
 3:ストーリーの特徴
【東京女子流】
 1:コンテンツの特徴
 2:戦略の特徴
  ①次世代を見据えた育成
  ②リーダー不在
  ③事務所のパフォーマンスノウハウを継承
 3:ストーリー
【スマイレージ】
 1:コンテンツの特徴
  1期メンバー時代
  ・「天上人としての非現実的なアイドル像と俗世的なシチュエーションのギャップを強調している点」
  ・「過去のハロプロの伝説的楽曲を再アレンジして蘇らせる点」
  2期メンバー時代
  ・つんく的な関西感・コミックグループ感を強調
  ・ミュージカルからコミックソングまで楽曲の幅を広げプログレッシブミュージック感とジェットコースター感
 2:戦略の特徴
  ①日本一スカートの短いアイドルという外面的なアイコン
  ②初期段階からアイドルスキル完成型
 3:ストーリーの特徴
  ・ハロプロエッグの天才児たち
  ・AKB帝国を打ち崩す対抗馬としてメディアから圧倒的な期待を受ける
  ・歌唱メンバー、一番人気のメンバーの脱退発表
  ・逆風の中で2期メンバー加入。「浮世離れした正統派アイドル」から「現代的なライブアイドル」への変化
  ・2年ほど冷遇期間。地方のドサ回り。積極的に外部関係者にアクションを働きかける。ヤッタルチャン大作戦。上原浩治とのつながり。
  ・武道館
【Berryz工房・℃-ute】
 1:音楽
  ・初期モーニング娘の要素を二分し、お互いに補完し合う関係
  ・歌詞と年齢をコンセプトだけでなく、風景の細部まで合わせる
 2:戦略の特徴
  ・コンセプトに寄せるのではなく、メンバーに寄せる
  ・少女達の成長ストーリーの圧倒的蓄積
 3:ストーリー
  ・ハロプロキッズというハロプロ全盛期の極上の上澄み
  ・同期であり対照的な存在
  ・ハロプロというホームでのアイドル性と個性の長期間純粋培養
  ・アイドル戦国時代に伴うハロプロ帝国の領土拡大
  ・武道館公演
【さくら学院(BABYMETAL)】
 1:音楽
  ①年齢を限定されたグループゆえの焦点の深さ
  ②異ジャンルを取り込む際の本気度合い、気鋭の若手ミュージシャンの登用
 2:戦略の特徴
  ①『発表会』という徹底したコンセプト、握手会をしないことによる80sアイドル的天上人感の醸成
  ②養成所として割り切り卒業生を応援する体制
  ③海外音楽をオマージュした海外向けのプロモーション
  ④国内市場を早々に振り切って海外展開を急速に行うフットワークの高さ
 3:ストーリー
  ・大手芸能事務所による「Super Lady養成所」
  ・強制的な組織循環、終わりがあるからこその儚さ
  ・活躍する卒業生たち
  ・海外メタルファンからの注目を一気に高める
  ・史上最年少での武道館単独公演
 結び


論考「パフォーマンスとしてのももいろクローバーZ」 中西理 サイト下北沢通信

第1部 ダンスとしてのももいろクローバーZ
多田淳之介インタビュー
 ■SPEEDとPerfumeの衝撃
 ■Perfumeと震災以降
 ■ももクロの当て書き的振り付け
 ■Perfumeの振り付けの難しさ
 ■「ももクロの場合はよくも悪くも再現性がない」
 ■身体的負荷とパフォーマンス
 ■パフォーマンスの意味が変わる
 ■ドラマが発生するということ
第2部 演劇とももいろクローバーZ 変わりゆくももクロのパフォーマンス


「サイリウム」が表象するものとは何か 吉井紀州 サイト「紀州梅のあかしお生活」

 ■はじめに
 ■サイリュームと「サイリウム」
 ■ペンライトと「サイリウム」
 ■「サイリウム」の認識論
 ■「サイリウム」という表象
 ■「サイリウム」を通して解釈する
 ■おわりに


ラブライブ! ~2.5次元への誘い、紅白への願い~  くら サイト (音楽CDレビュー(仮))

 ■ラブライブ!とは何か
第1章 ラブライブに影響を与えたもの
 ■ラブライブの当初とAKB48
 ■ももクロ的サクセスストーリーを持つラブライブ
 ■ラブライブとけいおん!
第2章 2次元と3次元
 ■声優のアイドル化
 ■ラブライブの演出
 ■2.5次元の世界
第3章 ラブライブと紅白
 ■ラブライブの紅白出場可能性
 ■アニソンの軌跡
 ■叶え!みんなの夢!


百田夏菜子論 仙女下凡の明日 すなお サイト常夏モスクワ

 0 言ひ仰せて何かある
 1 開花した大輪の花
 2 日産『灰ダイ』事件 その道は覇道か
 3 CONTRADICTION 不均衡の均衡
 4 『コノウタ』から排除された「みんな」
 5 不易流行
 6 均衡の先へ行く
 7 「小さな巨人」百田夏菜子のジレンマ
 8 「普通」のスーパースター
 9 WWWの中心地
 10 真赤な誓い


めんどくさい夏菜子ちゃん推し座談会  
 イカサマ、くら、ごっち、しょうしょう、すなお、いし



比較アイドルグループ論―AKB48、ももいろクローバーZ、私立恵比寿中学を題材として くら
0章 前書き
 ■何故この3グループなのか
1章 メンバーの増減と目標
 ■メンバーの卒業
 ■なぜこの表現になるのか
 ■表現からみるグループのスタンス
 ■グループと目標
 ■高校の部活で例える3グループ
2章 メンバー
 ■リーダー ~グループによってこ大きく異なるリーダーの役割~
 ■センター ~センターは誰?どう決まる?~
 ■メンバー同士の先輩・後輩関係 ~上下関係は存在するか?~
 ■メンバー間の衝突・仲の良さ ~ケンカを繰り返すAKB、ケンカしたことがないエビ中、仲良しはどちら?~
 ■AKB総選挙に関する意見
3章 本質とその魅力
 ■グループを代表する人物・言葉
 ■コンセプトを教えてくれる曲
 ■キャッチフレーズ
 ■補足 ~モノノフはわかってくれない~
終章 後書き
 ■AKB48は新陳代謝出来るのか?
 ■パフォーマンスへの回帰~ももクロ化するAKB~
 ■AKB48の伝統を破壊する島崎遥香
 ■ももクロ最後の壁「続けていくこと」
 ■ライブパフォーマンスと不満
 ■「8人」のエビ中の行く末は?


学生であることの強さ 私立恵比寿中学MV考察 さかもと

 ■ 人間性を捨て去ったももクロ 中学生に留まるエビ中
 ■ 『大人はわかってくれない』というつながり
 ■ 『手をつなごう』という寓意性


「それでは聞いて下さい、ももいろクローバーZでコノウタ」 平成ノブシコブシ徳井健太 サイト「平成ノブシコブシ」徳井健太の爆撃



「目指す側」から「目指される側」へ
 ももクロと地下アイドル/ご当地アイドル
 ばるすた

第1章 ももクロとアリスプロジェクト
 ■腕利き揃いの作家陣
 ■常設劇場の強み
 ■ももクロを超えるゲリラ戦術 【アリス十番】
 ■超個性派集団 【スチームガールズ】
 ■OZの物語 【OZ(オズ)】
 ■候補生という刺客 【ぱー研!】
 ■不屈の大増殖 【スライムガールズ】
 ■死地に飛び込む戦士 【仮面女子
 ■アリスプロジェクトが閉塞していくアイドル界を打開する
第2章 ももクロとご当地アイドル
 ■水戸から首都圏へ 【水戸ご当地アイドル(仮)】
 ■福島復興への想い 【Loveit!】
 ■いわき市から世界へ 【アイくるガールズ】
 ■ご当地アイドルムーブメントに思う


2&インタビュー ライブアイドルは泣きながら走り続ける  2&公式サイト


劣化した社会にこそ魂が宿る ももいろクローバーZの可能性と不可逆性 さかもと

 ■ 第1章 ももクロ現象とは何か
  ・鵺みたいなもの
  ・高城れにと般若心経
  ・大人と子どもが同居する高城れに
  ・高城れには悲しみの記憶と共に踊る
  ・モノノフはDD化する
  ・ファンとの同一性を強調するももクロ運営
  ・再物語化の強化
  ・「ももいろクローバーZとは高城れにの事である」
 ■ 第2章 地下アイドルから見るももクロの異常性
  ・ライブアイドルとしてのももクロ
  ・ももクロファンはヲタ芸と思わないままヲタ芸を打つ
  ・ピンクレディー的卑猥さ
  ・言い訳できないハロプロと言い訳できるももクロ
  ・ガチ恋が成立し得ないももクロ
  ・「ドルヲタは山頂ではなく高原を開拓すべきである」
  ・学生性を捨てたももクロと学生であり続けるエビ中
  ・秋元康という大河
  ・『恋するフォーチュンクッキー』を作れないももクロ
  ・この時代がももクロを作り上げたのか
 ■ 第3章 ももクロがインフラになる日
  ・ヴィレヴァンから見る爆発的人気獲得と地方への広まり方
  ・『あまちゃん』とマキシマムザホルモンとももクロがなぜ流行るのか
  ・ももクロは宗教ではなく祝祭である
  ・ファン同士が仲良くなるということ
  ・なぜ布袋寅泰が君が代を演奏したのか
  ・非血縁社会日本の救済としてのももクロ


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ももクロ評論誌『アイドル感染拡大』ようやく販売サイト始動です 

いろいろありましたがようやく『アイドル感染拡大』のデータがすべて揃いました。
データ入稿し印刷してもらう段階です。
9月29日以降発送できるかと思いますので、ご注文された方はもう少しお待ちくださいませ。

アイドル感染拡大の販売サイト

こちらでお申し込みできます。

参考画像も作っていただいたんですが、これがかっこ良すぎてむせました。

第1弾「世界が感情を取り戻す」はももクロについて語る熱量がものすごく文字数が多くなってしまいました。
中身がバラバラなのでデザインは統一感を持たせました。それと全体的に「ももクロの本らしさ(5色使うなど)」を無くして欲しくって、評論誌っぽいイメージをお伝えしてデザイン制作をしていただきました。
原稿の順番もかなり意識しました。
まず僕の原稿でももクロについてのまとめ、目次みたいな感じにし、最後のなんくろさんの原稿で東京から地方へと広がっていくようなイメージになればいいな、と。

表紙のデザインも、日本が5色の光りに満ちていますが、他の国はまだまだ5色の光が足りない、こんなデザインにしていただきました。


第2弾はセカンドアルバムについての解説本を読みたかったので音楽に詳しい人をメインに執筆をお願いしました。
「音楽論」という一貫したテーマがあったので、ページデザインなどはめちゃくちゃにしていただきました。
「イルミナーレ」というのがこれだけでは何を指しているのかわかりづらいと思い、表紙はわかりやすく5色を強調してもらいました。
ちなみに「イルミナーレ」とは「天からの啓示」みたいな意味合いです。宗教チックにしてみました。


そして第3弾ですが、「モデルを表紙にしたいな」とデザイナーさんと話してまして、いろいろ考えたのですが、よくライブに行っている2&さんにお願いしてみよう、となりました。社長さんも気さくな方ですし。
(地下アイドルの現場に行けばわかりますが、事務所の社長と雑談する機会は結構あります。なので顔見知りにはすぐなれると思います。もちろん物販の時にアイドルさんとお話する機会もあるので、お互い人柄なども理解しやすいのです)

それと、タイトルに「感染拡大」とあり、おどろおどろしいイメージなので、表紙はさわやかにしたかったのです。

一部で「趣味を利用しやがった」とか「半ヲタだ(運営のように振る舞うファンのこと。嫌われやすい)」とか言われていますが、2&さんをモデルに起用したのはもちろん理由があります。お願いしやすかった、以外に。

・ももクロのカヴァーをしていること
・ももクロ初のホールコンサート日本青年館のステージに立ったこと
・『ネガポジmonster』で観客が手をつなぐ振り付けがあるのですが、これが『アイドル感染拡大』のイメージにぴったりだったこと
(ももクロにはファン同士で手をつなぐ曲がありません。『渚のラララ』では肩を組むように夏菜子ちゃんが煽ったりしますが、ほぼやらない曲ですし。ももクロの曲にもエビ中の『手をつなごう』みたいにファン同士で手をつなぐ曲ができればいいな、と常々思っているのです)

これらがあったのでお願いしました。
後付けじゃないよ。


ということで以前まえがきと目次を掲載しましたので、今回は特別にあとがきを掲載します。
ぜひご購入の参考にしていただければなと思います。





あとがき

『アイドル感染拡大』をお読みいただき、誠にありがとうございます。
この本の製作は徳井さんが「(ももクロ論壇に)書きますよ!」と声を掛けてくださったことで動き始めました。そしてたくさんの方々のご協力があり完成しました。こちらからの一方的なお願いに二つ返事で快諾してくださったみなさまには本当に感謝しています。

僕はももクロこそが世界を平和にするだろうと思っています。そしてアイドルってなんてすごいんだと思っています。ももクロが多くの人々をアイドルにし、そのアイドルがまたアイドルを生む。アイドルが広まっていく中心地にももクロがいる。そんな想いをタイトルに込めました。
この本で取り上げたアイドルグループはどこもすごいのですが、なぜかももクロだけが頭一つ抜け出し国立競技場や日産スタジアムでのライブを行い会場をファンで埋め尽くしました。今やアイドルの枠を超えてもはや生態系と化したAKB48と並び称される存在です。
ももクロが時代を作ったのか。それとも時代がももクロを召喚したのか。おそらくこれらが複雑に絡み合った結果が現在の状況なのでしょう。
人類が誕生した奇跡を「海に時計の部品を投げ入れ、波の動きで時計が完成するぐらいの確率」と例えることがあります。ももクロ現象もこのようなことなのかも知れません。すなわち「ある場所に素敵な女の子を集め、激動の社会で完成された何か」がももクロなのではないでしょうか。
ももクロを見て「奇跡としか思えない」という思考停止に陥ってしまうのは、そこに果てしない、計算不可能と思わせるほどの、人智を超えたものを感じ取ってしまうからでしょう。その停止した思考を一歩でも前に進めるためにこの本が使われたら嬉しいです。

この場を借りて、順番にこの本の感想を書いていきたいと思います。
まずこの本がどうやってできたのかについて。冒頭でも書いたように徳井さんが声を掛けてくださったのですが、実は第二弾のあとすぐに着手し、2014年の頭で完成している予定でした。タイトルも『アイドル感染拡大』で行くと決めており、内容はももクロ評論は僕だけにして、あとは様々なアイドルについて取り上げる予定でした。ですが第二弾の売れ行きが思わしくなく、なかなか第三弾に着手できないまま話が流れていきました。
第三弾製作再始動にあたり、執筆陣にお願いしたことは「ももクロ」という単語を一回以上使うことのみです。『アイドル感染拡大』としたのは、ももクロはアイドルの最大公約数なのではないか、という直感と、ももクロからすべてが始まってみんなが笑顔になるのではないか、という期待を込めたからです。
ももクロを語る上で、ももクロだけ語るのではなく、もっと広い視点でももクロを見つめる必要があると常々感じています。なので執筆陣にはなるべく制限を設けず、出来る限り思うがままに書いていただきましたが、通して読むと「ももクロって結局なんなんだ」という凄みに撃たれたはずです。お読みいただいた方はどのように感じたでしょう。ぜひご意見いただきたいです。

・にるそん考2 アイドル戦国時代の俯瞰的な分析
にるそんさんは第一弾でも膨大なデータに裏打ちされた説得力あふれる文章を書いていただきましたが、今回もかなりおもしろいものを書いてもらえて良かったです。いろんなアイドルグループの類似点や相違点などがわかりやすく書かれているので、この本の一番最初に持ってきました。スタートに立てる道しるべとしてもとても重要な原稿となっています。

・論考「パフォーマンスとしてのももいろクローバーZ」
中西さんはとてもお世話になっている方に紹介していただきました。僕は舞台というものを数えるほどしか見たことが無いため、舞台の評論家にももクロを語っていただけるのは新たな視点が獲得できたかなと思います。ライブというのはその時にしか見ることができない、もう同じことは起きない、という焦燥感みたいなものや爆発力みたいなものがあると思います。ももクロのライブになぜ惹かれるのか、というのが納得できたかと思います。ももクロの舞台見たいですね。

・「サイリウム」が表象するものとは何か
紀州さんは第一弾から全部に参加していただきました。今回の「サイリウム」についての論考はとても読み応えがあり、とても映画的というか、読んでいて胸が締め付けられるような感覚になるかと思います。ほんの些細な書き間違いにしか思えなかった「サイリウム」と「ペンライト」ですが、紀州さんの文章を読んだあとではそこに大いなる意志が組み込まれているようにしか思えません。とてもおもしろく刺激的な文章です。

・ラブライブ! ~2.5次元への誘い、紅白への願い~
くらさんのラブライブについてのコラムですが、飲んでる時にアニメを勧められ、さほど興味を示さない僕に「ラブライブとアイドルについてで原稿書けますよ!」とふっかけてきて、「じゃあお願いします!」という感じで収録することにしました。いろいろ勢いでやってます。「アイドルマスターはハロプロで、ラブライブはスタダなんです」と言うのを聞いておもしろそうだったので書いていただきました。

・百田夏菜子論 仙女下凡の明日
すなおさんは第一弾に続き夏菜子ちゃんについて書いていただきました。飲んでる時に「第二弾はすなおさんが書いてくれなかったので売れませんでしたよ」と笑いながら言うと、「そりゃそうでしょう」とか言ってきたのでむかついて執筆を依頼しました。おかげさまでとてもおもしろいものを書いていただけました。編集長はグッとこらえることも必要なんだと学びました。

・めんどくさい夏菜子ちゃん推し座談会
夏菜子ちゃん推し座談会ですが、基本的に堅苦しい文章ばかりになる本なので、息抜きというか、思いっきりくだらない企画を入れたいな、と思って開催しました。ここには載せ切れませんでしたが座談会の内容はほんとくだらなくておもしろかったです。ももクロの飲み会っておもしろいですよね。座談会の企画意図はほぼ達成しませんでしたが、バカバカしい飲み会を再現できていれば大成功です。本誌責任編集の立場として、ももクロちゃんがあんな単語言うはずありません!と言っておきます(笑)。

・比較アイドルグループ論―AKB48、ももいろクローバーZ、私立恵比寿中学を題材として
くらさんは第二弾でお世話になりましたが、ほんと変態的に音楽を聞いている方で尊敬しますが、音楽に疎い僕は彼が何を言っているのかわかりません。今回は純粋にファンの目線でももクロとエビ中とAKB48について書いていただきました。三者三様という感じで違いがわかりやすく書かれているのでとても参考になると思います。

・学生であることの強さ 私立恵比寿中学MV考察
僕が書いたエビ中のMVについてですが、ほんとエビ中っていろいろおしゃれで羨ましいんですよね。センスだけで言うと完全にエビ中ファンです。執筆のために何度もMVを見返したのですが、涙を禁じえないですね。禁じる必要も無いですけど。

・「それでは聞いて下さい、ももいろクローバーZでコノウタ」
徳井さんはほんと素敵な方で、こちらからお願いした修正案などもしっかり汲み取ってくださるし、何より締切を守ってくださいます。お仕事でお忙しいでしょうに。そしてお読みになった方はご存知でしょうけど、ももクロファンとして「え!マジで!」となるようなことも書いてくださいました。

・「目指す側」から「目指される側」へ
ばるすたさんも第一弾からお世話になっております。今回はアリスプロジェクトと地方アイドルについて書いていただきました。スターダストはももクロを筆頭に様々なアイドルグループが出てきており、それがジャニーズ化とも読み取れるわけですが、アリスプロジェクトもそういう構想なんでしょうか。ご当地アイドルの可能性についても今後注目していきたいですね。

・2&インタビュー
表紙のモデルを務めていただいた2&のSakiさんとプロデューサーさんを交えてのインタビュー記事です。モデルをお願いしたらすぐに快諾してくださって、Sakiさんも「私でいいんですか?」とか言ってて、「いやいやこちらこそすみません」みたいな恐縮合戦でした。
ステージに立つライブアイドルとしての考えやアイドル運営から見たももクロについてなど、大変興味深いお話を伺うことができました。Sakiさんもプロデューサーさんも話しているとこちらが元気になるような人物で、大変有意義な時間を過ごさせていただきました。

・劣化した社会にこそ魂が宿る ももいろクローバーZの可能性と不可逆性
最後は僕の原稿ですが、最後までお読みくださった方には本当に感謝いたします。ありがとうございます。ももクロがいかにすごい存在なのかをこれでもかと誌面にぶつけました。ももクロに感染した僕の最大限の感謝のしるしです。

諸星大二郎先生の『生物都市』という短編漫画をご存知でしょうか。詳しい内容はぜひ原作をお読みいただきたいので伏せますが、あそこに描かれているのは全部がひとつになるディストピアです。僕はそこにユートピアを見出しました。全員がひとつになることがユートピアになりうる可能性。それがももクロなのではないか、と。
ももクロにハマる前はアイドルオタクは嫌悪の対象でした。でもいざなってみるとなんておもしろい世界なんだ、と毎日発見の連続です。感染してみないと本質がわからない。ディストピアに見えていたけど自分がその環境に入ってみるとユートピアだった。このモチーフは藤子・F・不二雄先生が『流血鬼』という短編でも描いています。主人公以外の全員が吸血鬼になってしまった場合、人間のままでいるのが幸福か、吸血鬼になってしまうのが幸福か。
まだまだアイドルやアイドルオタクに嫌悪の目を向ける人が多いようですが、彼らもアイドル感染するような社会はもうすぐそこまで来ているでしょう。なぜなら80年代の「アイドルと言えば松田聖子」というようなみんなが共通して思うアイドルは今の時代存在しないからです。「アイドル」と口にした時に、それがライブアイドルなのか、グラビアアイドルなのか、男性なのか女性なのか、女子アナなのか、スポーツ選手なのか曖昧だからです。さらに言うと、アイドルが歌う曲のジャンルも多種多様で、すべてのジャンルを網羅しているのがアイドルだと言っても過言ではありません。例えばロックバンドが80年代アイドルソングを歌ったら「ロックじゃない」と批判されるでしょうけど、アイドルがロックを歌ったらそれは「アイドル」というジャンルが再定義され認識されていきます。
このように、多くの人が知らず知らずの内に「アイドル」に感染していくのです。

この本は様々なアイドルについて取り上げました。日本の女性ライブアイドルのほんの一部しか取り上げることはできませんでしたが、いろんなアイドルを知るきっかけ作りにはなったかと思います。
「感染」はいつの間にか起きます。洗脳という予防接種を受けていても、日々進化し続けるアイドルウィルスは様々な形に変化し、思いもよらない時に、しかも気付かない内に襲いかかってきます。もはや洗脳予防接種などでは対処しきれないのです。
アイドル感染拡大により価値観を転覆させ、新たなステージへ。
僕には「推しが決まるのは事故に遭うようなものだ」という持論があります。自分の意図とはまったく別の次元で決定してしまうのが「推しメン」だと思うのです。このように、社会的通念を飛び越えて感染し、予期せぬ事態に巻き込まれる形で推しメンが決まってしまうアイドルに、僕はとてつもない可能性を感じます。アイドルから学ぶ機会が増え、様々なものと巡り会うチャンスが増え、そして誰かを想う気持ちが養われていく。日本はまだまだ捨てたもんじゃない。それどころか世界が羨むものとなるのです。かつてモーニング娘。が『LOVEマシーン』で歌ったように。

最後に、この本は多くの人々に助けられて完成しました。この本が完成したという事実が「アイドル感染拡大」の一つの実証例でもあるのです。携わってくださったみなさんには本当に感謝しています。みなさんがいるからアイドルの力をどこまでも信じることができました。
この本をこれまで協力してくださったみなさんと、そしてこれからアイドルに感染し笑顔を広めていくであろう人々に捧げます。


ももクロ論壇責任編集 さかもと



ももクロ評論同人誌『ILLUMINARE ももいろクローバーZ音楽論』 



イルミナーレ表紙


【イルミナーレの通販は終了いたしました。誠にありがとうございました。】



●まえがき


「ももいろクローバーZとは一体なんなのか」。この問いに挑み続け第二弾の刊行となりました。前回はももいろクローバーZについての総論と、その刊行当時までのももクロの歴史を記す意味合いがありました。ももクロの成長スピードの異常さに「今すぐにでも出さねば」という想いに駆られたのです。
今回はセカンドアルバムを受けて同人誌制作を決意しました。ももクロは何か新しいことを始めると必ず賛否両論が巻き起こります。僕は賛否両論が起こる事に対して興味がありますが、さらに「賛成している人たちの無自覚さ」「否定している人の無自覚さ」にも興味があります。その部分を解明することでももクロとは何かという問いに一歩近づけるのではないかと考えているからです。
ももクロの音楽は特殊であり、音楽面でも強く惹きつけられている人たちがいます。音楽の知識が豊富な方も惹かれるし、あまり音楽を聴いてこなかったような人たちもなぜかももクロの音楽が耳にこびりついて剥がれないということが起こっています。

「ももクロの音楽って一体なんなのか」。今回の同人誌のテーマはこれです。

ももクロの音楽は聞ける音楽でもあるし体感できる音楽でもあります。それを踏まえできるだけ多面的に語り、さらに楽曲ファンや音楽の知識が無い方でも読むに耐えるようなものを目指しました。
そのためできるだけ難解な音楽用語を避け、わかりづらいと思われる単語は注釈で補うようにしてあります。ももクロ自身が難しい言葉を語らずに我々の胸を打つのに学び、この同人誌でも難しい表現ではなく平易な表現を用いました。
この本を読み終えることでももクロの音楽の深みに気付くことでしょう。
タイトルの『ILLUMINARE(イルミナーレ)』は「天からの啓示」という意味を込めて付けました。ももクロの天啓に撃ち抜かれたみなさまが、さらに思考を深めていただけたら執筆陣一同望外の喜びです。


ももクロ論壇責任編集 さかもと




●あとがき



ももクロ論壇第二弾『ILLUMINARE』をお読みいただきありがとうございました。
この場を借りて「ももクロ論壇とは何か」について言及したいと思います。そうすることで二冊の同人誌の見え方が変わり、さらにはももクロに対する構えも変わることを願っています。

ももクロ論壇の基本姿勢は「ももクロを語り継ぐ」「ももクロの凄さを書き記す」「アイドル論で論壇を覆す」という三つです。

第一弾『世界が感情を取り戻す ももいろクローバーZ論』で展開したように、ももクロは強烈な物語性がありそれを伝承していくことでファンを拡大してきた。念願だった紅白出場を果たし、一気に全国区へと広がりを見せる時にこれまでの総括として様々な視点からのももクロをまとめてみました。
正確にはあえてまとめなかった。本としては読みづらかったと思いますが、ももクロの衝撃は理路整然とは語れない、というのを40万字に及ぶ文字の洪水で訴えてみました。
ただそれでは本当に読みづらくなってしまうので、最初の方でももクロについての総論を書き、個人論に言及し、ライブレポートで臨場感を味わっていただき、今後どのように広がっていくのか、という流れを意識した構成にしました。
ももクロ論壇の基本姿勢である「ももクロを語り継ぐ」「ももクロの凄さを書き記す」という二点については及第点だったと自負しております。
無粋ながらあえて言いますと、「ももクロの凄さ」を伝え切ることが不可能なのは十分理解しています。それでも不可能性にあえて挑み40万字の本を作らせてしまう凄み。感動を失い斜に構えている者たちを奮い立たせ全力にさせてしまうももクロの凄さ。これらが訴えずとも重厚なデザインの本からにじみ出てしまうのを期待しました。
さて「アイドル論で論壇を覆す」という姿勢ですが、これについてはまだまだ途上です。そもそも論壇とはなんでしょうか。僕の中では『朝まで生テレビ』に出そうな人たちが持論を展開し合い決して混ざり合うことの無いイメージです。
彼らは一様に堅苦しい表情をしており、見ている誰もが楽しめません。参加する気も起きずますます言論人は孤立化し、お山の大将とでも言いますか「言ってることがわからない奴は馬鹿だ」という構えを見せます。
僕はそんなつまらない空間をぶち壊したいのです。
経済学だけ語っても経済が回らないように。心理学だけを語っても誰も救われないように。社会学だけを語っても社会が良くならないように。語っている者だけが気持ちいい空間はいりません。
それよりも僕の願いは、アイドルについて語っているはずなのに、なぜか社会が幸福に満ちていく、というものです。僕はその可能性をももクロに見出しました。
ももクロについて様々な視点から語ることでももクロという存在のあり得なさに撃ち抜かれてもらい、さらにはももクロが存在するこの社会の凄さについても思考して欲しい、というのが「ももクロ論壇」の狙いです。
その意味でももクロは宗教足りえません。宗教というのは社会よりも大きい存在であり、教徒は社会に生きるのではなく宗教に生きています。ももクロが宗教だとしたらももクロのために生きるが社会はどうなってもいい、ということになります。それでは社会が成立しなくなり、結果的にももクロもこの社会に存在できなくなってしまいます。
そうではなく、ももクロが存在できるこの社会の素晴らしさに気付き、良き社会を継続させることの重要性を知っていただく。
これらがももクロ論壇の基本姿勢です。

『ILLUMINARE ももいろクローバーZ音楽論』はももクロの音楽に重点を置きました。
音楽というのは体感であり、言語化不可能であり、だからこそ我々を揺さぶります。ももクロの音楽の特殊性を知ることで聞く姿勢を変えていただければな、という想いで作りました。
この本を読み終えたみなさまに、ももクロ現象を読み解く上で音楽も外せない一要因だ、と改めて思っていただけたことと思います。そしてももクロ音楽の楽しみ方のバリエーションが増えたかと思います。
聞いた瞬間に好き嫌いが決まってしまうのは仕方ありませんが、嫌いだけど実はすごい曲だったのか、という気付きを得て欲しい。押し付けのように思われるかも知れませんが、楽しげに「これスゲースゲー」と笑ってる者たちの意見に少しでも耳を傾けていただけたらな、と思います。

最後に、この本は多くの方に助けられて出来上がりました。そして前著の感想をいただいたことも大変励みになりました。すべてが「無駄じゃなかった」です。ただ本ばっか読んでるだけで沼にズブズブと沈んでいた僕を「ねじ曲がりもがいた時間も未来の方へ」向かっていると激励し引き上げてくれたももクロちゃんに最大の感謝を送ります。


ももクロ論壇責任編集 さかもと



『ILLUMINARE ももいろクローバーZ音楽論』

140ページ A5判(クイックジャパンサイズです) 


「ILLUMINAREももいろクローバーZ音楽論」に関するお詫びと訂正

P125 「編集後記」に関しまして誤った箇所がございました。

誤)
「ゆん
 音楽とは趣味、嗜好の世界であり (中略) 一人でも出てきたら本望です。」

正)
「ゆん
 僕は映画も音楽も本も、それを見たり聴いたり読んだりすることはもちろんですが、そのあとそれについて語り合うこと、他人の意見を聞くことが何より好きだったりします。人のレビューや感想を読んで「確かにそうだなぁ」「これは違うんじゃないか」なんていろいろ考えているうちに、自分自身の意見や感想も固まってきて、よりその作品に対する"想い"が強くなります。今回はクロスレビューという形で、計32曲
について書かせていただきました。3人がそれぞれの感性で書いたものですから、評価が分かれている曲もあるでしょう。中には僕のレビューに賛同できなかったり、不快になる人もいるかもしれません。でもそうやって僕のレビューを触媒にして、ご自身のももクロへの想いを再確認していただけるのであれば、それは意味のあることだと思うのです。こんな素敵なチャンスを僕に与えてくれたくらさん、さかもとさんに感謝いたします。そして最後に、原稿の提出が遅くなって皆さんに迷惑をかけてしまい、申し訳ありませんでした。時間はかかってしまいましたが、書いていてとても楽しかったですし、僕自身もさらにももクロへの想いを深めることができました。」

読者の皆様、ならびに関係者の皆様へご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。

平成25年10月13日
ももクロ論壇




【同人誌の内容】

今回はももクロの音楽に焦点を当ててみました。
原稿の他にアルバムとB面C面曲のレビューが目玉です。
特にファーストとセカンドの26曲は3人のレビュアーによるクロスレビューです。
必ずや新たな発見があるでしょう。
音楽好きはもちろん、音楽に詳しくない方にも読みやすい内容となっておりますのでぜひご覧下さいませ。

以下目次


『ももいろクローバーZの音楽』 (くら執筆)

第1章 ももいろクローバーZの楽曲の特徴
◆言葉の面から
■歌詞のレパートリーについて
■歌詞の特徴
・固有名詞が入っていたり、タレントの特徴に特化していること
・性的な表現を極端に避けている
◆音楽の面から
■楽曲のレパートリー
■単純な繰り返しを避ける
・1番と2番でメロディを変える
・メロディは同じでも、伴奏を変える
■一般的な楽曲構成と異なる曲が多く存在する
『コノウタ』・・・勝負球はストレートど真ん中
『Z女戦争』・・・いつもより串が長い焼き鳥
『BIRTHφBIRTH』・・・生まれ変わり続ける蝶のように
『空のカーテン』・・・3曲分のお仕事
・Cメロの肥大化
・少々道に外れて~現代のソナタ形式『走れ!』~
■ラップともセリフとも言えない、掛け声のようなパートが存在する
■音、楽器が多い
■効果音の挿入
■カラオケで歌えない
・AKB48とももクロの方向性の違い
第2章 ももクロは何故売れたのか
■J-POPにとっての90、00、10年代
・90年代~CDミリオンヒット&カラオケ全盛期~
・00年代~音楽不況とITの波~
・10年代~アイドルの時代~
■動画サイトとmp3プレイヤーに合った音楽
■2つの動画サイト
・ニコニコ動画について
・YouTubeについて
■ももいろクローバーZの音楽と動画サイト
・ニコニコ動画的な曲展開を持つももクロの音楽
・「飽きない」ことが大切なmp3プレイヤーに適したももクロの音楽
・YouTube的多様性を持つももクロの楽
■まとめ
第3章 ももクロが創る未来
◆ももクロはJ-POPを変えられるのか
◆あとがき



『僕等のセンチュリー~空のカーテン論 外への慈愛 内への決意』 (ばるすた執筆)

■なぜいまこの2曲を?
■制作された当時の状況
・2012年12月24日にもたらされたクリスマスプレゼント
■僕等のセンチュリー
クリスマスはみんなを笑顔にする非日常
クローバーの意味に対しての新たなる言及
「きれいごと」を、笑って言ってのける意味と強さ
■空のカーテン
・「空のカーテン」、その魅力
・メンバーそれぞれの魅力
・高城れにのウィスパーボイス
・玉井詩織の安定と変化
・有安杏果の魂
・佐々木彩夏の成長
・百田夏菜子の切なさ
・内側、自分への応援歌
■終わりに



『MIRAIE:女川現場備忘録』 (紀州梅執筆)

はじめに
〈動き出すよ 君の元へ〉
〈我らの世界はまだ始まったばかりだ〉
〈頑張っChai Maxx〉
〈笑顔と歌声で世界を照らし出せ〉
おわりに



『ももクロは歌謡曲の荒野を目指す』 (なんくろ執筆)

・歌謡曲とは
・豊穣な音色の歌謡曲
・演奏の少人数化と作曲者の膨張
・大人数演奏のレフュジア
・アイドル冬の時代と新しいアイドルブーム
・キングレコード
・ももクロの楽曲 - アイドル・ソング期
・ももクロの楽曲 - アクロバティックな楽曲期
・ももクロの楽曲 - エンターテインメント期
・ももクロの楽曲 - 宮本純乃介期
・5TH DIMENSIONの衝撃
・コンサートの位置づけ
・生演奏の力
・荒野を豊穣の世界へ


『覚醒から覚醒せよ』 (さかもと執筆)

第1章 5人は色を失い我々は意思を剥奪される
 ● はじめに
 ● 緑色の海は現れない [日本ガイシホール公演]
 ● 「春の一大事」という形式を捨てる運営
 ● ももクロは分断の歴史
第2章 バトルと次元上昇の二重螺旋
 ● 自己紹介と非自己紹介
 ● 脱原発と瓦礫のアレゴリー
 ● 無限の愛と天元突破グレンラガン
 ● バトルと次元上昇の二重螺旋
第3章 覚醒から覚醒せよ
 ● 真・春の一大事2013
 ● 百田夏菜子監督の苛烈さ
 ● 玉井詩織監督の俯瞰感覚
 ● 佐々木彩夏監督の突出
 ● 有安杏果監督の慈愛
 ● 高城れに監督の救済
 ● 輪廻ではなく螺旋





テーマ: ももいろクローバーZ - ジャンル: アイドル・芸能

高城れにさんお誕生日おめでとうございます 

高城れにさん、お誕生日おめでとうございます。

日を追うごとに美しさが増していくあなたを応援していることが、どこか誇らしく感じてしまいます。

周りの方達やファンのみなさんを優先し、自分のことを犠牲にしてしまうあなたを、みんな大切に想っているでしょう。
繊細で壊れてしまいそうな少女だったはずが、頑強な仲間たちが自然と集い、自身も強い意志を持つ素敵な女性へと成長したのですね。

れにちゃんが、自分はダメダメでみんなに恩返ししなきゃ、と思うことで、れにちゃんに救われた人達が恩返しするために様々な思想を抱き行動する。
お互いに想い合うこの関係性がとても素晴らしいと感じています。

今後れにちゃんでなければならないことが増えてくるでしょう。
不安が襲うことも増えるかも知れません。
ですがあなたには数多くの仲間がいます。
近くにも遠くにも、老若男女、国籍を超えた仲間がいます。
ぜひのびのびと、れにちゃんの思うままに生きて欲しいです。


25歳の誕生日本当におめでとうございます。
今年もお祝いでき本当に嬉しいです。
新しい出会いにあふれた一年になりますように。

ももクロは砕けない 



ももクロちゃん10周年おめでとうございます。
そして、続けてきてくれて本当にありがとう。
みなさんが失ってしまったものと、叶わなかった願いと、僕たちに与えてくれた大いなる希望について考えながら、このブログを書いています。


桃響導夢2日目の開演前。ももクロがきっかけで知り合った友人と共に飯田橋ラムラに行ってみました。
2008年、あかりんとあーりんがももクロに加入。その後様々なメンバーが辞め、さらに2011年にはあかりんが、2018年には杏果ちゃんが辞め、ももクロは4人となりました。

飯田橋ラムラから東京ドームまで徒歩で約15分。
距離は約1,000メートル。

ももクロが歩んだこの距離は、とてもとても遠く、多くの試練と悲しみがももクロを襲いました。
それでも歩みを止めなかったももクロは、たくさんの仲間と出会い、共に励まし合って東京ドームまでたどり着きました。
ひとつの笑顔の裏には幾重にもつらさや悲しみや苦しみが折り重なっていたのです。


「『Z』の誓い」という曲は、永遠だと思っていた未来が壊れてしまう事を知り、そうすることで戦士にならざるを得ない悲哀と、迷いもがき苦しみながらも、仲間たちと愛や希望を紡いでいく力強さが描かれています。
そのステージでは、青い光と緑のレーザーが会場を包み込んでいました。
ももクロは辞めても仲間であることには変わりありません。
あかりんや杏果ちゃんが4人の背中を押しているのだと感じました。


■ ももクロという存在にありがとう

最後のコメントでれにちゃんは、これまで支えてくれたみんなを支えられるようにもっと強くなりたい、と言っていました。
いつも支えられているのはこっちの方なのに、れにちゃんはどこまでも謙虚です。
自己評価が低くて、自分のことよりも相手のことを最優先で、自分が傷つくことも厭わないれにちゃんが、ものすごく心配になってしまいます。
でも中野サンプラザの映像で見たか弱い少女はもういません。
どこまでも大きくどこまでも深い愛で多くの人たちを包み込んでくださいます。
れにちゃんがももクロで居続けてくれて本当に良かったし、高城れにがいないももクロなどもはやももクロではありません。
一生ももクロだと宣言してくださったからこそ「ももクロは砕けない」と確信できるのです。

本当にありがとう。


あーりんは最後のコメントで、あかりんや杏果ちゃんだけではなく、かつてのメンバーの名前を東京ドームの舞台で挙げてくれました。
たとえ在籍日数が短くても、共に歩んできた仲間に敬意を表していて、とてもあーりんらしいなと感じました。
オリジナルメンバー3人に囲まれ、さらに最年少という立場であり、重圧なども感じたかも知れませんが、パフォーマンスに対する真摯な姿勢と、揺るがない精神力と、物怖じしない豪胆な構えは、ももクロを力強い存在へと押し上げてきたと思います。

ももクロに加入してくれて本当にありがとう。


しおりんは最後のコメントで、ここに至るまでは必然で、過去を振り返るのはももクロらしくないのでこれからに期待してください、と力強く宣言してくれました。
メンバーのことが大好きなしおりんがももクロに居てくれて本当に良かったです。
何事にも一番になれる実力と身体能力と容姿を兼ね備えているにも関わらず、見えない部分でのケアや、得点へのアシスト役に徹する姿は多くのファンを唸らせてきたことでしょう。
サブリーダーから夏菜子ちゃんを支える役を自ら率先して引き継いだのだと思います。
夏菜子ちゃんがどこまでも輝いて世間を照らしているのだとしたら、それは紛れもなくあなたが人知れず力を尽くしてきたからでしょう。
個人的な願望を言えば、杏果ちゃんが辞めてしまった今こそが、しおりんからスーパーしおりんになり、多くの人たちの力を得て超元気玉を作り上げる時だと思っています。
今後のご活躍を大変楽しみにしております。

ももクロを支えてくれて本当にありがとう。


■ 百田夏菜子の弱さと強さ

あかりんが脱退する時、夏菜子ちゃんに対して「一番心配だ」と告げました。
全然リーダーに向いておらず、あかりんのサポートがあって機能していたチームから精神的支柱が脱退してしまうのですから、それは当然でしょう。
5人のももクロになり、誰もが認めるリーダーとなり、ももクロとしても百田夏菜子個人としても注目される存在にまでなりました。
ですが裏ではたくさん泣いていたのですね。

夏菜子ちゃんがステージ上で泣きながら正直に不安を吐露してくれたことが、ファンとしてすごく嬉しかったんです。
仲間と認めてくれたんだな、と勝手に思いました。
自分の弱さを見せるのはものすごく勇気が要ります。
笑顔をモットーに掲げてるグループのリーダーなら尚更勇気が必要だったでしょう。
その反面、杏果ちゃんが辞めてしまったことで、ものすごく心が弱ってしまったのだな、と強く伝わってきました。
夏菜子ちゃんがリーダーになってから何人もももクロを辞めてしまったのは事実で、そのことが夏菜子ちゃんを大きく苦しめてきたのかも知れません。
あかりんの時はあかりんの夢があるのでそれを後押しするという名目があったでしょうが、杏果ちゃんの場合は夏菜子ちゃん自身に言い訳すら許されない状況だったと言えるでしょう。

どうしてもっとメンバーのケアができなかったのか、と。
もっと早く杏果ちゃんの気持ちを聞き出せていたら、と。
リーダーとしての重圧がかつてないほど襲いかかってきたのではないかと想像するのは難しくありません。

杏果ちゃんが辞めることが決まった時、目の前が真っ暗になりどうやって進んでいいのかわからなくなってしまったと、涙ながらに語ってくれて、仲間として認められたと嬉しく思ってしまう自分と、ここまで追い詰められているのに何もできない悔しさを感じる自分がいました。

だから、「お前らついて来い!」と叫んでくれたのがとても嬉しかったです。
一本一本は小さな光かも知れないけれど、それが何人も何人も集まって、ももクロちゃんが帰ってくられる場所と、これから進むべき未来を照らす灯台になれたのだとしたら、これほど嬉しいことはありません。

前に出るのが苦手で、闘争心も薄い平和主義で、リーダーに向いてないとまで言われた夏菜子ちゃん。
自責の念やリーダーの重圧に何度も押しつぶされてきたことでしょう。
残酷かも知れませんが、それでもあなたこそがももクロのリーダーだと思ってしまうのです。
出会った人達を幸せにしていく夏菜子ちゃん。何度倒れても立ち上がり続ける夏菜子ちゃん。
ももクロのリーダーはこの世界で百田夏菜子ただ一人なんです。

ももクロに入ってくれて、ももクロのリーダーになってくれて、本当にありがとう。


ももクロは、泣きながらでも、絶望しながらでも走り続けることができると証明してくれました。

ダイヤモンドの宝石言葉は「変わらぬ愛、不変」などだそうです。
ももクロがいろんな人のペンライトの光を受け、いつまでも輝き続けますように。


有安杏果はなぜ卒業したのか 


ももクロから有安杏果さんが卒業し、その後メンバーの発言や雑誌での特集などを読みましたが、いまだに心のもやもやが晴れません。

『有安杏果さん、貴方を嫌いになりました。』と宣言した方はすごいです。
(参照記事)

有安杏果さんを嫌いになる気はさらさらありませんが、運営についての不信感は絶えず抱き続けてきたので、「なぜ運営ではなく杏果ちゃんを嫌いになれるんだろう」と不思議な想いです。

BUBKA 2018年3月号で川上マネージャーは質問者から「(辞める)予兆のようなものは見てとれていたのでしょうか?」と問われ「それはあります。」と回答しています。
(BUBKA 2018年3月号31ページ参照)

有安杏果さんの卒業の意志が強過ぎたのか、運営陣の采配では対応しきれないほどの問題があったのかはわかりません。
ですが、様々な疑問が解決されないままでいる現状が、どうしても運営の力不足のように思えてならないのです。


■ なぜ卒業宣言が突然だったのか

「具体的に卒業を考えはじめたのは1年ぐらい前ですかね。ちょうど大学卒業のタイミングですよ。メンバーにはすべて決まってから話そうと思っていたので、報告が遅くなってしまって、本当に申し訳なかったですけど」
(BUBKA 2018年3月号28ページ参照)

有安杏果さんはこのように語っています。
穿った見方をするならば、運営の采配が遅すぎたので、卒業公演の1週間前に突然公式発表する形になってしまった、とも受け取れます。

あーりんも「どうしてもっと早く相談してくれなかったの?」(BUBKA 2018年3月号20ページ参照)と言っているように、メンバーにもっと早く伝えられていたら、より良い形を迎えられていたのではないか、と想像してしまいます。

「米子の夜」のような語り合い、意見のぶつけ合いがもっと早い段階で行われていれば、と思ってしまうのです。
(「米子の夜」については杏果の本音『19年間で一番悔しかった…ツアー中の加入はキツかったかなぁ…5人の絆は最強』杏果出演 3/25「真夜中のハーリー&レイス」参照

有安杏果さんの卒業コンサート『ももいろクローバーZ 2018 OPENING ~新しい青空へ~』で、有安さん自身が「私も10周年を5人で迎えられると思ってた」と語ったように、有安さんと運営の間で齟齬があったと考えるのは妥当でしょう。
もし仮に、ももクロ10周年公演ののちに卒業するとしたら、2018年6月以降となり、卒業発表から約半年以上の猶予ができます。
10周年記念と有安杏果卒業を被らせたくないと考慮されたとしたら、10周年公演後に卒業発表し、年内いっぱいで卒業ということもできたのではないでしょうか。
「疲れた」と発言したのが体力的な理由ではない事は「10周年を5人で迎えられると思ってた」という言葉からわかります。

突然の卒業宣言。有安さんも10周年を迎えたかったとも受け取れる発言。「4人のももクロのためにこうするしかなかった」という発言。
これらを考えると、どうしても解決することができない問題があったのではないかと想像してしまいます。


■ 有安杏果が課した使命

「少なくとも、今は辞めたあとのことを考えるタイミングじゃないと思うんですよ。1月21日の最後のコンサートで、ちゃんと4人のこれからの活動に橋渡しができるようなライブがしたい。それが私にとって、ももクロでの最後の使命になるわけで、その先のことはまだ考えられないし、考えたくもないって感じですよ!」
(BUBKA 2018年3月号28ページ参照)

有安杏果さんがももクロに加入し、6人のももクロから早見あかりさんが脱退。
5人のももクロは破竹の勢いで急成長していき、国民的アイドルの仲間入りをしました。
その偉業には有安杏果さんの存在が必要不可欠でした。
特徴的な歌声で多くの人の耳を魅了し、ダンススキルによってももクロ全体のパフォーマンスを底上げしました。
先陣切ってみんなを引っ張るような人物ではないように見受けられますが、その尋常ではない努力の積み重ねによってメンバー全員の背中を押してきたのではないでしょうか。

先の発言にもあるように、有安杏果さんは多くの人にももクロを愛してもらえるよう橋渡しをしてくださいました。
運営からの無茶振りにも最大限応えてきたと思います。
百田夏菜子さんが国立競技場で「笑顔の天下」を宣言しましたが、もしかしたら有安さんにとってこれがとてつもない重圧だったのかも知れません。
明確な目標も指標も無い「笑顔の天下」は容易に数字に落とし込めないものです。
「コンサート動員数何万人、ファンクラブ会員何万人、よって笑顔の天下進捗率何%」
このような判断は不可能です。
「計画」と「準備」を大切にする人(BUBKA 2018年3月号28ページ参照)有安杏果さんにとって、計画を立てられず準備もしようが無い「笑顔の天下」は捉えどころのない壁だったのかも知れません。

さらに「アイドルをはじめた時から、常に『いつかは卒業するときがくる』ということは意識してきたんですよ。」(BUBKA 2018年3月号27ページ参照)と発言しているように、一生ももクロ宣言をしているメンバーとの考え方の違いも抱えていたでしょう。

「奇跡の5人と言われることがあるけど、私はあまりそう思ったことが無くて、この4人とここにいるモノノフさんで5人だと思ってます。」と卒業公演で発言していましたが、アイドルはいつか卒業するものと考えている自分はももクロにいてはいけない?と思っていたのかも知れません。


■ なぜ卒業しなければならないのか

ももクロ運営が紅白卒業宣言をした時に、この記事を書きました。
(参照記事:ももクロはなぜ紅白を卒業しなければならなかったのか)

2014年の紅白歌合戦に有安杏果さんはインフルエンザのために出場できませんでした。
その後紅白卒業が宣言され、モノノフのメッセージで埋め尽くされた衣装を着て紅白の舞台に立つという願いは叶えられることなく終わってしまいました。

2017年の『ゆく桃くる桃』 は「~第1回 ももいろ歌合戦~」と題し、紅白歌合戦を意識した構成になっていました。
また『ももいろクローバーZ 2018 OPENING ~新しい青空へ~』では、紅白で着ることができなかったメッセージ入り衣装を着て登場しました。

有安杏果さんの卒業の理由の一つに、この「紅白卒業宣言」があるように思えてなりません。
インフルエンザで欠場してしまった有安さんの願いが、「紅白卒業宣言」によって無下にされてしまったわけですから、メンバーのファンへの気持ちよりも運営方針の方が優先されてしまう世界なのだと考えてしまったのかも知れません。

また、『ももクロChan』でもイヤな企画や、一般教養の無さや料理下手なところが露呈してしまったことがイヤだったと冗談交じりに発言していました。

有安さんが好きなアーティストの曲調とももクロの曲調は全然違うというのも原因の一つだったのかな、ももクロの曲で好きな曲は一体何曲あったのかな、などと答えの出ない想像が頭を駆け巡ります。

他に気になるのが、ももクロの給与面についてです。
有安さんは堅実で安定志向だと思っていたので、スターダストという大手事務所に籍を残すことなく辞めてしまったことがとても意外でした。
籍だけ残し、実質完全休業、という形を選んでも良かった気がします。

元モーニング娘。の鞘師里保さんは卒業し海外に留学という形を取りましたが、事務所に所属したままで表立った活動は一切せずに2年以上経過しています。
有安さんが大手事務所を辞めてしまったのがとても大きな決断であることがわかります。


■ これからの4人

百田夏菜子さんは『ももクロChan』で卒業報告についてこのように語っていました。
「同志?仲間?として、女性としてとかは有安の気持ちすごくよくわかるし、やっぱり人生一度しかないので思ったように進んで欲しいなって思っています。」

ももクロの同志という立場。同性という立場。様々な視点から卒業を受け入れるしかなかったのでしょう。

リーダーとしてメンバーの卒業に何人も立ち会った百田さん。
精神的支柱だった早見あかりさんが脱退し、不動の5人かと思われたメンバーから歌唱力とダンススキルが高い有安杏果さんが卒業しました。
百田さんは個人での仕事も忙しく、実家が都心から離れているということもあり、リーダーとしての重責を感じているのかも知れません。
有安さんからメンバーへ卒業報告がなされた時に終始無言だったと言います。
すでに引き止めることもできないほどの強い意志を感じたのでしょう。

高城れにさんはそれでも「考え直してくれないかなぁ」と何度もお願いしたそうですが、やはりもっと早い段階でメンバーに相談できる状況があればより良い展開になっていたのではないでしょうか。


玉井詩織さんはいち早く自らの役回りを察知し、スポークスマン役としてファンやスタッフが目を見張るほど尽力しました。
佐々木彩夏さんはアイドルとして生きるという覚悟のようなものを感じます。

ももクロは4人でも大丈夫。ファンという5人目のももクロがいる。
有安さんが築き上げ、託したものはそう簡単に崩れ落ちないでしょう。


様々な推論を重ねてきましたが、結局は公式で語られているもの以上の事柄は表に出てきません。
4人で突き進むと決意してくれた以上、ファンとしてはどこまでもついていくだけです。

有安さんが卒業したぐらいで倒れるようなグループじゃないってことは、有安さん自身が身を持って証明してくださいました。
有安さんが「私元ももクロだったんだよ」って自慢できるぐらいでっかいグループになるので見守っていてください。


有安杏果がいない世界を生きて行く 

昨日あんなに晴れていたのに、杏果ちゃんがいなくなって一日目の東京は真っ白な雪に覆われていて、まるで日常から全部の色が抜け落ちたかのようです。

ももいろクローバーZに有安杏果がいない。

言葉にしてみても何も実感が湧きません。
5人のももクロがあまりにも当たり前過ぎて、10周年を迎える前に誰かが卒業するだなんて微塵も想像しませんでした。


僕がももクロを知った時はすでにあかりんが脱退していました。
ももいろクローバーのことをよく知らないし、もちろんメンバーの人柄も知らず、名前すらおぼろげなまま見た『4.10中野サンプラザ大会 ももクロ春の一大事〜眩しさの中に君がいた〜』で大号泣しました。

ファンとも言えないままあかりん脱退で大泣きした僕が、今この状況で一人去る体験をしたら一体どうなってしまうのか、と不安もありつつ、ずっと現実感が無いまま1月21日を迎えました。

ライブ後一日経ってみて、いろんな記事を読みましたが、いまだに感覚が追い付いていきません。
言葉では「4人のももクロ」と認識できます。ですが日常が、肉体が、捉える視野が、れにちゃんへの想いが、「4人のももクロ」を認識してくれません。

ももクロを知ってから、つまらなくて苦痛な日常は熱くたぎる非日常へと彩られました。
やがてその非日常は日常化し、ももクロのことを考えるのが当然の毎日になりました。
だけど杏果ちゃんが卒業したことで、当たり前だった日常が再び混乱に満ちた非日常へと転じました。
ももクロを知った時の非日常から杏果ちゃん卒業後の世界を生きるという非日常へ。

4人での歌や立ち姿を見た時、正直なところそんなに違和感がありませんでした。ライブ中の興奮もあったでしょうし、さっきまで5人だったことが映像としてまだ目に焼き付いていたのかも知れません。
杏果ちゃんが4人でも遜色なくパフォーマンスができるように大切なものを託していったおかげかも知れない。
4人も杏果ちゃんが安心して卒業できるように踏ん張ったのかも知れない。
いろいろな思考が巡り、感情が揺さぶられました。
でも今考えると「4人のももクロ」をしっかりと認識できていなかったのも理由の一つかなと思います。例え4人しかステージに上がっていなくても、自動的に5人だと認識してしまうのです。


自己紹介。『Z伝説 終わりなき革命』での扇の組体操。曲中のメンバー間のアイコンタクト。いろんなことがステージ上で起こる度に、「あ、これがもう最後なんだ。見れなくなるんだ」と頭をよぎりました。
杏果ちゃんは毅然としていて、れにちゃんはところどころ涙ぐんでいました。
杏果ちゃんのソロパートの後でれにちゃんが画面に映し出されると、杏果ちゃんの方を向きながら泣き顔になっていることもありました。


れにちゃんは杏果ちゃんにこんな言葉を贈っていました。

「何度も考え直してくれないかなぁって言っちゃったと思うし、すごくしつこくなっちゃったかもしれない」

夏菜子ちゃんもしおりんもあーりんも、杏果ちゃんの決意が揺るがないことを察してしまったので強く引き止められなかったのだと思います。
れにちゃんも当然察したでしょう。もう後戻りできないところにまで来てしまっていることに気付き絶望したのかも知れません。
それでも。考え直してもらえないかとお願いし続けるれにちゃんを想うと涙が止まりませんでした。
杏果ちゃんが卒業を決意した原因のひとつにれにちゃんが関わってると考えてしまっている気がして、れにちゃん推しとしてはとても心配しています。



杏果ちゃんかられにちゃんへ、こんな言葉が贈られました。

「れにには、自分がどんなに苦しくて辛くても、相手のことを思いやれるあったかい優しさを教えてもらいました。たくさん助けてくれてありがとう」

大泣きするれにちゃんを見て大泣きしました。
中野の映像で見た、子供みたいに泣くれにちゃんを思い出してまた大泣きしました。

杏果ちゃんは8年で辞めてしまったのではなく、れにちゃんのおかげで8年も続けられたのだと受け取りたいです。


10周年を5人で迎えたいとこの日まで伝えられなかった夏菜子ちゃん。辞めなきゃよかったと思ってもらえるぐらい輝いていたいと宣言したあーりん。ももクロの情報がいやというほど目に入ってくるぐらい活躍していきたいと告げたしおりん。

会場では『新しい青空へ』の歌詞が表示されていたのですが、夏菜子ちゃんが「その小さな体 抱きしめていた」と歌っていたところは「その小さな体 抱え込んでいた」という歌詞だったかと思います。
(記憶が定かではありません。ベスト盤特典にはぜひ歌詞カードも付けていただきたいです)

この歌詞にもあるように、杏果ちゃんは様々なことを抱え込んでいたのだと思います。

1年以上前から卒業を考えていて、それでも10周年は5人で迎えられると思っていた杏果ちゃん。
「奇跡の5人」の中に自分は不在で、5人目はファンのみんなだと思ってる杏果ちゃん。

れにちゃんの悲痛な涙や、自信なさげな夏菜子ちゃんの表情を見てしまうと、もっと別の方法があったんじゃないかと思ってしまいます。そして、メンバーの4人も後悔を抱え込んでしまっているのではないかと余計な心配をしてしまいます。

それでも4人は決断してくれました。解散せず4人で続けると。
れにちゃんも「ついてこい!」と言ってくれました。
その言葉を待っていたんです。

れにちゃんを信じる心がれにちゃんの力になるのなら全力であなたを信じます。



ももクロに有安杏果がいない世界を生きていきます。
その決意が杏果ちゃんへの恩返しになることを目指して。



この日はいろんな人に会えて、ライブ後は酒を飲みながら語り合いました。
紛れもなくももクロちゃんがいなければ一生出会わなかった人たちです。
ももクロちゃん。杏果ちゃん。本当にありがとう。

有安杏果さんの卒業と『弱虫ペダル』 

2018年1月15日。ももいろクローバーZの緑色担当である有安杏果が卒業を発表しました。

突然の発表に驚きを隠せないが、「もし5人の中から脱退する人がいるとしたら杏果ちゃんかな」という予感もあったので、残念な気持ちと共に妙に納得している部分もある。
ダンススキルと歌唱力。愛くるしいキャラクター性と計り知れないほどの努力など、誰からも愛される人物だっただけに、ももクロからいなくなってしまうことがとても残念でならない。
5人の中でも特徴的で独特な歌い回しと、魅力的な歌声の持ち主で、「女祭り2011」での満身創痍のまま息も絶え絶え歌い続けた姿を見た時は打ち震えた。

なぜそうまでして戦い続けるのか。ももクロに出会うまでの人生の中には生じなかった問いだった。
なぜこの小さな女の子は自分を犠牲にしてまで戦い続けるのか。
どんなに不遇な状況に置かれても、どんなに心無い人たちから非難されても、努力を惜しまず戦い続けてきた有安杏果。

歌という武器を決して離さず、時には自身の武器に翻弄されながらも、ずっと歌い続けていくのだろうと漠然と思っていた。
のどの治療に専念し、従来の歌い方を捨ててまで選んだ道だと思っていただけに、芸能活動引退という発表に「今じゃなきゃダメなのかな?」と疑問が残る。


漫画『弱虫ペダル』ではメンバーをゴールへと届けるために、すべての力を振り絞ってカラカラになるまで自転車を漕ぎ続ける姿が描かれる。
ゴールを目指す余力なんてもちろん無い。1ミリも身体を動かせなくなるまですべてを出し切る。
チームのメンバーがゴールを切ると信じて。

卒業発表を知り、僕はこの姿と有安杏果が重なった。
彼女はももいろクローバーZを引っ張り上げるためにすべてを出し切ってくれたのではないか、と。
メンバー4人が前に進むために全速力で走り続けてくれたのではないか、と。
現時点で有安杏果のソロパートの代わりが務まるメンバーはいないだろう。
だけど、有安杏果が引き上げ続けてきた勢いのまま突き進んで行けば、必ずや遜色ない4人の歌声が聞けるはずだ。
自分のためよりも誰かのために戦う時の方が何倍も強くなる5人。
4人のために全速力で走り続けてくれた有安杏果のために、今度は4人のももいろクローバーZが素晴らしい歌声を獲得していくことだろう。


有安杏果の姿を見続けていた4人は、卒業の申し出を強く断れなかったのではないだろうか。
全てを振り絞って走り続けている者がリタイア寸前の状態でいる時、「もっと走れる」と言うのは酷だ。
有安杏果も4人にももクロを任せられるから辞めるのだろうし、4人も安心して任せて欲しいと有安杏果を送り出すはずだ。

卒業公演も無いようなので(2018年1月15日現在)、突然過ぎる発表に体調面での心配をしてしまうが杞憂であることを願う。


相当な覚悟を持っての決断なのでももクロに復帰することは考えにくいが、もしいつかももクロに戻ってくることがあれば、ファン全員が歓迎するだろう。

なので杏果ちゃんには「ちょっと家を開ける」くらいの感覚でいて欲しい。
卒業しようがなんだろうが、あなたはももクロの小さな巨人なんです。
ももクロに復帰するというあなたの可能性の一つを、あなた自身の手で排除して欲しくありません。

スタッフさんもファンも辞めたメンバーも関わった人たち全て引っくるめてももクロだと僕は思っています。
何があってもももクロは揺るがない。
あなたが紡いできたももクロは、これからもずっと呼吸し、運命を奏で続けます。

有安杏果さん。今までありがとう。これからもよろしくお願いします。

高城れにさん、お誕生日おめでとうございます 


れにちゃん お誕生日おめでとう!

23歳は様々なことに挑戦なさいましたね。
記憶に新しいのは『永野と高城。』ですが、ここでもれにちゃんの本心を聞けたことがとても嬉しかったです。

「ももクロとして活動してても自分ができることはなんだろう、ももクロのためになってるんだろうかって考える時に永野さんに声を掛けてくれて、今までにないものを引き出せてもらえたので嬉しかった」と言うようなことを語られていました。

自信が無くて、だけど期待に応えるためには傷つくことを恐れない。
自身が犠牲になることで誰かが幸せになれれば良いと考えられる人。
あなたがいるだけで、微笑むだけで、話し出すだけで周囲の人たちやファンを幸せな気持ちにしてくれます。

時々心配になるぐらいファンのために思考し行動してしまうあなたですが、それこそが高城れにであると言い切りたい自分もいます。
だから、「れにちゃん無理しないで」などとお願いなどしません。
れにちゃんがれにちゃんとして活動できるように、自身の行動を律すると共に、「紫推しはほんとすごいんだから」といつでも誇ってもらえるようなファンで居たいと思います。


24歳はどんなことが待っているのでしょうね。
永野さんとお笑いの舞台を成功させたのですから、もうどんな人ともコラボできるでしょうね!

ソロ曲の歌声も素敵だし、映画や舞台での演技も素敵だし、れにちゃんが考えていることを本にするのも良いと思うし、旅番組をスタートさせるというのもすごく良いと思います。

どんなことがあっても紫推しのことを想うだけで強くなれると思ってもらえるようにがんばります。
れにちゃんの思うがままに、あるがままに、「これが高城れにだ!」と世間に見せつけて欲しいです。


れにちゃん。24歳まで活動を続けてくれて本当にありがとう!
れにちゃんが好きなだけ活動できるように願ってます。
れにちゃんにとって思い出深い一年になりますように。

高城れにソロコンサートで語られた言葉 


今年の高城れにさんのソロコンサートはとても大切なものとなりました。
過去2回は高城れにさんからファンへの感謝がたくさん詰まった、ファンとしてすごく嬉しいものでした。
ファンのことが好き過ぎて、その想いがあふれ、そんなれにちゃんを目の当たりにしたファンは、今まで以上にれにちゃんへの恩返しを固く誓ったのです。

ですが今年は、ファンへの感謝の他に、とてもとても大切な想いが込められていました。


僕は3月9日を迎えるまで、れにちゃんに対してひとつの疑問を抱いていました。
れにちゃんのような気持ちの優しい、感受性の強い女性なら真っ先に伝えてくれると思っていたのに、何も話してくれなかったからです。
夏菜子ちゃんはバレンタインイベントの場でももクロを代表してお悔やみを述べてくださいました。
杏果ちゃんやしおりんも、直接ではありませんでしたがブログにてコメントしてくれました。
僕自身、哀悼の意はあえて公開しなくても、心の中で静かに想っていればいいのだと考えています。ですがファンとしてれにちゃんの言葉をどうしても聞きたかったし、れにちゃんも絶対言葉にしたいと思ってるはず、と勝手に考えていました。ある意味れにちゃんに助けを求めているようなものです。
この虚無感を深く知りたい。
あれ以来僕の頭の中である学者の言葉が鳴り続けています。
「<世界>はそもそもデタラメである」と。


2月8日。松野莉奈さんが逝去されました。
今でも信じられません。追いかけるほどのファンではありませんでしたが、友人に誘われて一度だけ握手会に参加したことがありました。お顔立ちがとても美しく、身長の高さも相まって高貴さを感じさせられます。ですが性格は年齢よりも幼さがあり、素直で純粋で、誰からも愛される女の子でした。
何度でも言いますが、いまだに信じられません。嘘でもなんでもいいのでまたみんなの前に元気な姿で登場して欲しいです。

こんな状態のまま1ヶ月経過し、れにちゃんのソロコンの日を迎えたのでした。
松野莉奈さんについてコメントしないよう事務所から止められているのかな、などと無駄な勘ぐりをしました。1ヶ月間そのことに触れられないのだから、もうれにちゃんの言葉は無いんだな、と思いました。

ですが違いました。
ソロコンという大切な日に、れにちゃん推しを前にして、温かい気持ちで、あふれ出る悲しみを抱えながら、ゆっくりと言葉にしてくださいました。
直接名前を挙げることはありませんでしたが、想いが込められていると強く感じました。

当たり前のことが当たり前だと思ってはいけないんだ、ということ。
いろんな人と関わってそれを教えられた、ということ。
家に帰ると「おかえり」や「お仕事がんばって」と言ってくれたり、改めて大切にしたいと思ったのはかけがえのない家族、ということ。
朝起きることだってすごいことなんだな、ということ。
日々生きていることはすごいことなんだな、ということ。


その後『3月9日』が歌われました。

瞳を閉じれば松野莉奈さんがまぶたの裏で優しく微笑んでいます。

とても心優しい高城れにさんを推すことができて本当に幸せだと思いました。
れにちゃんはみんなに「生まれてきてくれてありがとう」と言ってくれました。

高城れにさん、生まれてきてくれてありがとう。
あなたがいてくれたからこんな世界でも深く愛せます。

松野莉奈さん、生まれてきてくれてありがとう。
心安らかなる日々を過ごせますように。