fc2ブログ
09« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.»11

実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

『カクセイ』と『トリハダ』の相違 

■ 「カクセイ 恐怖に目覚める6つのストーリー」と「放送禁止」は「トリハダ」を超えられるか

3月31日の深夜。
フジテレビで『カクセイ』というオムニバスドラマを放送しました。

『トリハダ』の後継番組と言っていいでしょう。

1本のストーリーの合間にショートショートが挿入される。
ゾッとするようなショートショート。

そして各話と関連があるオチ。

『トリハダ』との違いは、各話のタイトルが漢字二文字になってるとこぐらいでしょう。


一本につながってる大ストーリーは、新人アイドルの女の子が主人公。
朝起きると首筋に汚れがついてたり、ケータイ電話を使用されてた形跡がある。
不安になるアイドル。

こんな感じで各話の間に物語が少しずつ進行していく。


1話目「接触」

コンビニでおつりをもらうサラリーマン。
店員の女は気味悪く手を握りながら小銭を返す。

サラリーマンがマンションに帰ると、窓ガラスに小石をぶつけられる。
次の日にはもっと大きな小石をぶつけられる。
ベランダに出ても誰もいない。

そしてさらに次の日。
大きな石を窓ガラスにぶつけられる。
ベランダに出てもやはり誰もいない。
ふとベランダから身を乗り出して上の方を見る。
すると風になびく長い髪が。
そしてコンビニ店員の女が大きな岩を持って笑いながら身を乗り出す。

次のシーンで血がついたサラリーマンのメガネが地面に転がっている。
狂ったように笑いながら屋上を立ち去る女。

ここで1話目は終了です。


まず、ベランダから身を乗り出して上を見て、岩持った女がいたら顔引っ込めるよね、普通は。
落ちてくるまで待ってんじゃねぇよ。

まぁ、一発目としてはこんなもんでしょうね。


2話目は「暗示」

催眠術にはまってる小学生の少女。
母親を猫にしようとするが、母親は猫のフリして少女をからかう。
今度は姉に催眠術をかける。
「鳥になって空を飛びたくなる」
だが今回も笑われて相手にもされない。

数時間後、少女が台所に行くと母親の様子がおかしい。
魚を生でむさぼる母親がいた。
そして、地面に叩く音がする。
ベランダから地面を見ると、姉が飛び降りて死んでいた。

催眠術はかかってた、というオチ。


まぁ読めたよね。
女の子を催眠術師にした催眠術師がいれば、なんかメタ的でおもしろかったかもしれませんね。
しかもそれが実は姉が絡んでたとかね。
まぁどうでもいいけど。


次は「循環」

夜道。OLが帰っていると、証明写真を使用している男がいる。
カーテンが閉められてるので顔はわからないが、どうやらサラリーマンのようだ。

次の日。
また証明写真を使用している男。
そしてまた次の日も。
ある日の帰り。
またあの男がいる。
すると証明写真が終了し、写真が取り出し口に出てきた。
OLはそれを取り写真を見る。
衝撃を受けるOL。そして開くカーテン。
その後OLが証明写真に座り続ける番になった。


これはタイトルでネタバレしてますね。
オチもありきたり。


次の話は「盲愛」

両親と娘が食卓を囲む。
20代ぐらいの娘は「たけし」という名の弟のことを心配している。
2階の自室にいるらしく、みんなと一緒にご飯を食べることは無いみたいだ。
母親に、「ちゃんとご飯を持っていったのか」と問いただす。
挨拶だけでもいいからちゃんとして、と。

娘の剣幕に困惑する両親。

「たけし」は実在せず、マネキンに食事を与える姉。
最後のカットは、5歳ぐらいの少年の遺影を映して終了。


これもなんか読めますね。
両親の態度が、あからさまに娘が狂ってる、という雰囲気を出している。
「たけし」がちっちゃい時に死んでる、という説明はいらないんじゃないかなぁ。

今回の『カクセイ』は全体的にわかりやすくなってますね。


次は「不在」

コンドル便という宅配業者の男が主人公。
留守の家に不在連絡表を入れる。
車に戻るとその家から電話が。
再び行くもまた留守。

次の日も荷物を持っていくが不在。
電気メーターは生活レベルで回転している。

不在連絡表を入れ車に戻ると、また不在先から電話が。
「今すぐ来て。鍵は開いてます」
か細い女性の声。

アパートに向かうと言われたとおりドアが開く。
中に入るとベッドに女性が座っていた。

「助けて」

どうやら女性は軟禁されてるようだ。
うしろの入り口が開くと女性が怯え出す。
軟禁した人物が帰ってきたようだ。

宅配業者の男は暗いどこかに閉じ込められたようだ。
必死にもがくとやっと這い出れた。
寝袋の中に入れられていたようだ。
場所は路上。
這い出た男はトラックにひかれて死ぬ。


そしてアイドルの話も終盤へ。

アイドル仲間を家に呼び、これまでの相談をする。
ファンからもらったDVDを見よう、ということになる。
映し出されるのは、歌うファンの姿。
笑う二人。

そう、これは結局今ちゃんが「やりすぎコージー」で言った都市伝説の映像化だった。
がっかり。

2枚目のDVDを見ると、暗い部屋でハッピーバースデーの歌を歌う男が。
彼が歌い終わりカメラからずれると、後ろにアイドルが眠っていた。
そこは彼女の部屋だったのだ。

恐怖におののく二人。
放心のままアイドル仲間のアパートに移動する主人公。

でも全編を見てる我々にしかわからないが、そこは「不在」の回で女性が軟禁されてた部屋だ。
主人公を部屋に入れ、入り口でほくそ笑む友達。
売れてる主人公へのひがみなのか。

そこで物語は終了する。



見えているものが真実とは限らない、みたいなフレーズが出るんだけど、これはフジテレビの『放送禁止』に似てる。
そして『トリハダ』と同じ番組構成。

『カクセイ』はシリーズ化していくんでしょうけど、どうも薄いです。
僕は以前の『トリハダ』に、理不尽さと哲学的タイトルに惹かれてたんですけど、今回の『カクセイ』は、わかりやすい内容にわかりやすいタイトル。

主軸となる1本のストーリーに、各話全部が絡んでくるぐらいの緻密さがあれば、それは賞賛に価しますが、そういうわけでもなく。

全然覚醒しません。
次回作に期待。
秋ごろかな?
スポンサーサイト



テーマ: 今日見たテレビ番組 - ジャンル: テレビ・ラジオ

「トリハダ6」は都市伝説化する [2009年10月10日(土)] 

「トリハダ6」が放送されました。

今回も前作通り、谷村美月のお話の合間に各話が挿入されます。
「トリハダ1」とは違い、各話と谷村美月の話とはリンクしてない部分が多いので、谷村美月の話の感想は最後にします。


「計画された別れの演出と戦慄」

別れを切り出す男。
去り際に段ボールをプレゼントする女。
「前から欲しがってたパソコン。明日誕生日でしょ」

女が部屋から出たあとでベランダに出て電話をする男。
どうやら浮気相手に電話したようだ。
でも出ない。

部屋に戻りもう一度浮気相手に電話をすると、彼女がプレゼントした段ボール箱からケータイの振動音が。

段ボールの穴から覗くと死体と目が合う。


「トリハダ6」はタイトルの出し方を意識してたみたいで、オチのあとでタイトル出したりしてました。
タイトルでネタバレしてたのとかあったからね。
でもそういう演出はいらないかもね。
ネタバレしたくなかったらもっと意味不明なタイトルにすりゃあいいだけです。


「日常に潜む不条理の確率」

ホリプロスカウトキャラバンの女の子が主人公かな。
コインロッカーに制服の着替えを預ける女子高生。
コインロッカーの中には別の番号の鍵が。
そこのロッカーを開けると、500万円の小切手とまた別のロッカーの鍵。
次のロッカーには臓器提供カードに全部チェックされてるものが置かれてる。そして別の種類の鍵が。

外の大きいコインロッカーの鍵だった。
だが開けるのをやめて帰ろうとする少女。
うしろを向くとコインロッカーが開く音がして少女が振り返ると恐怖におののく。
車が去るカットで終わり。


少女が金の代わりに臓器を売られる、という暗示。
最近の「トリハダ」シリーズは、こういう「だんだん核心に近づく」ってのが多いですね。
ゲームのように被害者女性の殺人に関わるアイテムを拾っていったり。
誘導されるままに投身自殺の現場に居合わせたり。

「だんだん近づくオチ」は序盤で読まれるのが欠点ですね。
よっぽどの大逆転が無いと恐怖も驚きもしないでしょう。

大きなコインロッカーを開けて「おかあさん!!」って叫ぶのはありきたりですけども、そういうのでもいいかも。

以前からずっと言ってますけど、オチはわかりにくくていいと思います。
「トリハダ」ってそういうもんでしょ。


「保身に必要な最低限の代償」

ダメな女性社員を持つ女性の上司。
何を頼んでも仕事ができない社員にイライラする。
そのイライラでますます萎縮する女性社員。

上司と別の部下が俳優と写真を撮ったことで盛り上がっている。
上司と韓国俳優(?)とのツーショット写真。

ダメな部下はいらない書類と一緒にその写真を間違ってシュレッダーにかけてしまう。
裁断したことに気付き恐れおののく部下。
そのことに気付かれそうになった部下は、自分の指をシュレッダーに入れた。
さっきまであんなに怒ってた上司が、自分のために救急車を呼んでくれる。
そう思うとようやく安堵の表情を浮かべるダメな部下。


これも微妙ですね。
自分を傷つける話は木南晴夏ちゃんが出演した回でもありましたけど、前回は愛情で今回は謝罪ですか。

ここはダメ社員が、上司と俳優話してた社員を殺しちゃうのはどうでしょう。
「この社員を殺したから、もう俳優自慢する相手がいなくなって問題解決でしょ」という理論です。
根本的な考え方からしてもうダメな社員だったんだ、という恐怖。
話が通じないって怖いですね。


「持たざる者の恐怖と狂気」

タクシーに乗り込む横柄な会社員。
ちょっとトロい感じのドライバー。

目的地と全然関係無いとこで停車するドライバー。
このドライバー。リストラにあって今月で失職するらしい。
それを告げると急発進をする。
そのまま横断歩道を渡る女性を轢く。

おびえる客に対して「今の浮気してる妻なんですよ」と告げ、目的地まで走り始める。


すべてを失った者が自暴自棄になって、そこに居合わせた一般人、って構図。
例えば、深夜の山奥でタクシーに乗ってるとしましょう。
乗客は電話とかメールに夢中なんですよ。
んで何かをひく衝撃がタクシーに伝わる。
「どうせイノシシかなんかでしょう。山だから多いんですよ」
しばらくすると、さっきよりも大きな衝撃が。
「どうせイノシシでしょう。山だから多いんですよ」

その後ドライバーが語り始める。
「妻が子供を連れて出て行きましてね。新しい男のところに」


たぶんこれだけで十分伝わると思います。


「天使の中にある恐るべき残酷」

これは1カットの長回しだったと思います。
母親がホームビデオで息子を撮影してる、という内容。
遊園地でクマのきぐるみの戯れる息子。
そこに別の子供が現れ、クマを蹴ったりしている。
いつの間にかクマのきぐるみと蹴った子供がいなくなる。

クマだけが戻ってきたので再び息子が駆け寄る。
クマに抱きつく息子。
離れると、息子の顔にべったりと血のあとが。

という内容ですね。
もったいないのところが2点。
「長回しの意味がわからない」
「撮影者を最後まで隠しておくことでオチをより効果的にできたのでは」

せっかくの長回しなんだから、何かやれた気がします。
あと、撮影者が最後まで顔を出さなかったんだけど、これを使えたらなぁ、と思いました。
母親が、息子に悪影響を与える存在すべてを消し去ってた、とかね。


「無欲で得た悲劇の主人公の座」

ネットで質問するサイトを見てると「人を殺しちゃったんですけど」の書き込みが。
おもしろがって返信する男。
「細かく刻めば?」
それに対してまた書き込みが。
次はどうすれば。
「生ごみと一緒に出しちゃえ」

書き込み数もかなり盛り上がってきたころ、「信じてない人が多いので証拠を見せる。この公園まで来い」との書き込みが。
主人公の男の家から近い。
深夜。公園に行くと箱があり、開けるとビデオカメラが。開けた人物を撮影するようにレンズが向いている。
すると男の背後から忍び寄る影。
その後、男が殺される映像がネットで配信された。


都市伝説っぽい構成ですね。
自分が殺されるシーンをネットでみんなに見られる。
「トリハダ6」はケータイ絡みの話がめっきり減りました。その代わりパソコンになった。
オチもわかりやすいし。

基本的に「トリハダ」は好奇心を持つと悪い結果を生みます。


そして谷村美月の物語へ。
各話の間に少しずつ話が進むんですけど、分ける意味がかなり薄れてます。
何度も言ってますが、「トリハダ1」は視聴者の一人として谷村美月がいました。
「トリハダ」を見て友達とケータイで電話する、という位置です。

でも最近の傾向では、各話の中に谷村美月が入り込んでいる、というものになっています。


谷村美月が家に帰るとトイレの便座が上がってる。
不審に思い友達を家に呼ぶが、今度は歯ブラシが使ってもないのにぬれている感じだ。
怖くなり、部屋に監視カメラを取り付け、帰ってきてからパソコンで確認できるようにした。

次の日の夜。仕事から帰ってきてさっそくパソコンで監視カメラの映像をチェックする。
谷村美月が部屋を出てからの映像を見るも別に異変は無い。
早送りをし夜に近づくと、知らない男が部屋に上がり込んできた。
勝手にパソコンをいじる男。
すると男は慌てて押入れに隠れた。
すぐあとに谷村美月が帰宅。
凍りつく谷村美月。
パソコンの映像の谷村美月はそのままパソコンを開く。
すぐうしろの押入れにまさに今、知らない男がいる。

次のカットでネットの質問サイトで「人を殺しちゃったんですけど」の書き込みがなされる。
投稿者は谷村美月。


このひとつ前の話とつながりました。
トリハダ4もトリハダ5もこんな感じでしたね。

「トリハダ6」は「中に何かひそむ恐怖」というのを出してきました。
段ボール箱に死体。
コインロッカーに誘拐犯。
押入れにストーカー。

確かに押入れにストーカーがいたら怖い。
なんだけど、答えがわかってるので了解しやすい。
物語の構成としてすっきりしてます。
なので見終わったあとに「あーおもしろかった」「あーつまらなかった」という感想しか残らない。
シリーズを重ね「トリハダ」という番組がどういうものかわかった上で見るからしょうがないんですけど、別の感情を抱かせて欲しい。
前から言ってるけど「なんだったんだ、今の」って感情です。
漠然としててつかみ所の無い、なんか怖い、という感情。

物語の意味とか、なんで死んだかという理由付けなんかいらない。
もっと理不尽さを。
この世界はもともと理不尽です。
「トリハダ」の中が理路整然としてたら、この世界の理不尽さに負けてしまいます。
何が起こったのか。この先何が起こるのかわからない。
でもショートムービーで唐突に話が途切れる。
そんな話を2本ぐらい入れてみたらどうでしょうか。

テーマ: 哲学/倫理学 - ジャンル: 学問・文化・芸術

トリハダ5は理不尽さが薄まっている [2009年04月01日(水)] 

■ トリハダ5は理不尽さを薄め理解可能性を高める

30日深夜に「トリハダ5」が放送されました。
「世にも奇妙な物語」も同日に放送され、こちらは最後の1話をたまたま見ました。
「トリハダ5」の前に「世にも奇妙な物語」の最後の1話「ボランティア降臨」について感想を書きます。

以下「ボランティア降臨」のネタバレを含む感想を書きますので、内容を知りたくない方は読まない方が良いです。

また、それに続き「トリハダ5」の感想を書きます。
内容に深く触れる為ネタバレを含みますので、ご了承の上お進みください。




高島礼子が主人公の主婦を演じる。
旦那とその母親。一人の息子と4人で暮らす。
老いた母親がケガをし、これからパートに行かなければならない高島礼子は困る。
そこにボランティアとして大竹しのぶがたずねてくる。
誰だか知らないので怪しむが、猫の手も借りたいほどだったのでボランティアという事もありお願いする事に。

パートから帰ってくるとすでに食事が。
ボランティアさんがやってくれたのだ。
旦那も息子も母親もボランティアさんを歓迎する。
疎外感を受けつつある高島礼子。
次第にボランティアはエスカレートし、家のリフォームや旦那の性処理までするようになる。
ボランティアとして。

家を乗っ取られると思い怒りをぶつける高島礼子。
だがボランティアさんは返す。
そんなつもりは無いと。妻は家事をして当たり前だと思われているから感謝はされない。
でもボランティアは常に感謝される。

やがて高島礼子は家を出てボランティアとして生きていく。
外にはすでにボランティア化した主婦たちであふれていた。


■ 洗脳は社会を救うのか

このボランティアの物語は新興宗教や自己啓発セミナーの洗脳法と一緒だ。
その人の常識を全否定し、救いとして新たな思考を植え込む。

今回の「ボランティア降臨」では、主婦としての存在意義を全否定し、ボランティアとして生きる事の素晴らしさを植えつけました。

オチで、町全体がボランティアさんだらけになってましたが、結局それって幸福な社会なんでしょうか。
今回の問題は、「家族が主婦の家事に正当な評価をする」という事で解決されます。
わざわざお手伝いさん交替制度を作らなくても幸福な社会は訪れる。

この物語のテーマは、人はわりとあっさり人格が崩壊する、って事です。
正当な評価をされないだけで崩れ落ちる。

ただオチとして弱い印象が残ります。
大竹しのぶが強過ぎますね。女優として。
なので大竹しのぶが全て仕組んだ事だと視聴者は思いがちです。

オチとしてはやはり、高島礼子自体がこの「ボランティア制度」を生み出した張本人だった、というのがスッキリするんじゃないでしょうか。
「そうだったのか」と視聴者は思う事でしょう。
そして、「確かの人生ってそんなもんかもなぁ」と納得しやすい。


では次に「トリハダ5」の感想です。
こちらは逆に、納得しやすさが「トリハダらしさ」を薄める結果となりました。

■ 「トリハダ5」のストーリー紹介と感想

今回も谷村美月がメイン。
「トリハダ」シリーズは、谷村美月に何か起こる事が予感されつつ、途中にショートドラマが入るという構成になっています。
当初は谷村美月自身も「トリハダ」を見てて、友達と携帯電話で話しながら「今のミニドラマ気持ち悪いねー」って言い合うような構成でした。

今回は会社の先輩から「ネットで画像がさらされて変な書き込みされてるよ」と教えられる事から始まります。

「0時までに崎山里香を殺してください。報酬1000万。」

午後11時。あと1時間。
この感想も構成通りに、各話のストーリーと谷村美月パートを交互に書きたいと思います。



「気づくことが恐怖のはじまり」

男女が部屋にいる。
男がタバコを吸いにベランダに出ると、公衆電話に女が。
次の日の夜も公衆電話に昨日の女が同じ格好でいた。
次の日の昼間も。
次の日の夜、いいかげんイライラした男は公衆電話に向かう。
すると女はすでに居らず、公衆電話にはマジックで「愛してる愛してる愛してる」と無数に書かれていた。
最後に「殺す」と。

突然公衆電話が鳴り、男が出ると女の声が。
「あなたの部屋を見て」
マンションを見上げると公衆電話にいた女が男の部屋のベランダに立っている。
なぜそこに。
しかも女の手には刃物が握られていた。
血をしたたらせて。


回を重ねるごとに「鳥肌体験から遠ざかっていく」という懸念をうったえてきましたが、今回はさらにそれが強まっています。
その一つの理由として「理不尽さの消滅」があります。
ストーカーに彼女を殺されるというのは確かに理不尽だけど、納得が可能です。
今回の「トリハダ5」は理不尽なストーリーがありません。



谷村美月パート
ネットの書き込みを見て不安になり彼氏に電話をするも出ない。
さきほどの女性の先輩に電話。
女友達とかに電話するのは1からのパターンですね。



「排除された弱者の論理」

鈴木砂羽の家に若い奥さんが訪れる。
町内会のポスターのデザインを頼まれてたらしい。
すると電子音が部屋に響く。
アラームのようなものがピーピーとうるさく。
だが鈴木砂羽は一向に気にする様子も無く、おどおどする若い奥さん。
でもやかんの沸騰した音は優先する。

やがてずっと鳴ってたアラーム音は断続音へ。
しばらくして音が停止する。
隣の部屋を覗き若い奥さんに対して「何も聞かなかったわよね?」と。

介護してて呼び出し音を無視しわざと死なせたのか、と推測できる。

でも
・なぜ他人がいる時にそんな事をわざわざしたのか
・オチらしいオチもない
という点が気になります。



谷村美月パート
彼氏への不満を女性の先輩へ。メールも返ってこないとか。
先輩が家に来てくれる事に。



「思考の外にある残酷の記録」

女友達から合コンの誘い。バイトだからと断る。
バイトというのはカメラ付きチャットレディーらしい。
序盤から、マンションの隣の部屋の男がチャットに入室してきたのか、と推理できる。
次の日も昨日の男が入室。終始無言のまま。
「友達のクミがイヤな奴で。死んじゃえって感じ」
そんな事を男に言うと突然男は退室。
その次の日、隣の部屋の郵便受けがきれいになっている。
そして初めて話し出す男。
「大学に行ってた」と。
カメラに映ってる男の部屋のうしろには友達クミの死体が。

隣の部屋に住む奴だなって最初にわかっちゃうので、そこはノーヒントで良いと思った。
どうせやるんだったら、その女の子の家の中で男がカメラ付きチャットしてるって感じにすればよかったのに。
アイドルの都市伝説とほとんど一緒ですが。



谷村美月パート
やっぱり彼は電話に出ず。
午後11時40分。
0時に女性の先輩が来たタイミングで何かが? と思わせる。



「配達される不快な要因と結論」

花粉症の女の子。いつも薬を飲んでいる。
かわいい。
家に帰ると郵便受けに焼死体の写真が。
次の日は人骨をハンマーで砕いてる写真が。
次の日は粉々の写真。
いつも飲んでる薬の原料かと予想させる。
そしてそのままのオチ。

前回「トリハダ4」の木南晴夏ちゃんのオチみたいな。
その時は自分の体の一部を木南晴夏ちゃんに与え続ける男の話でしたが。

今回は人骨を砕いて飲ませてましたけど、その薬をどうやって女の子は入手したのか、って気になります。

やっぱりオチとしては、自分で自分に送りつけてた、ってのが怖いんじゃないでしょうかね。
(こういうパターンが好きな僕。似たのばっかり)



谷村美月パート
午後11時51分。外にバイクの音が。
カーテンのすき間から外をのぞくと男と目が合う。
電気を消して先輩に電話。
「待ってて。あ……」
と先輩。
「ベランダに! 出てきて今すぐ!!」
あわてて部屋を飛び出す谷村美月。
すると先輩が車で待ってました。
ベランダから男が侵入しようとしてたんだと思い、先輩に感謝する谷村美月。

・先輩が全部仕組んでたのか? という雰囲気

結局先輩の自作自演だったんだけど、そうなると新たな疑問が出てきます。
・電話中に谷村美月がベランダを監視してる可能性もあったのに、なぜベランダに何かいるという嘘を言ったのか

その後の展開を見ればわかりますが、緻密な計画を立ててるのに、ここだけ杜撰な印象があります。



「欲望と信頼の末路」

最終話。
バスでDSのRPGをやってて老人に席も譲らない男が主人公。

夜中にゴミを出しに行くと、「3つのアイテムを手に入れマリン姫を救え」という文章と地図が印されている紙を見つける。
前回「トリハダ4」の中のある一話に似てます。
それは紙に書かれた場所をたどって行くとハートマークが道路に書かれていて、そこに女性が飛び降り自殺してきた、というお話ですが。

公衆電話にアイテム財布が。中身は3万円。
「主人公は金貨を手に入れた」という文章と次の目的地への地図。
「魔法のリング」や「剣」を獲得していく主人公。
「剣」はバールです。

ブルーシートがかぶせられた「マリン姫」に到達。
ブルーシートをめくると女性の死体が。
そこにちょうど目撃者が通る。
どう見ても殺人現場。
財布やリングはその女性のもので、しかも財布には谷村美月の免許証が。
死体は谷村美月だった。

「トリハダ」シリーズで、ここまで直接的な死の表現は初めてだと思います。
死体自体を映す事は無かったような。
谷村美月はほとんど死んできましたが、血しぶきだけを映すというのが多かったです。

最後の谷村美月の先輩が登場し、トリハダ5は終わります。
ここでさきほどの疑問の続きが。
緻密に計画されてるんですが、通話記録と発信ポイントでばれてしまう、という事です。
谷村美月が最後に電話してたのが先輩だという事でまず事情聴取を受けるでしょう。
しかもその通話が、谷村美月の家の近くの通話エリアからだという事が調べられると、いよいよ怪しまれます。

おそらく先輩がネットの誹謗中傷とか殺害依頼を投稿したんでしょうけど、何から何までお粗末です。
恐怖をあおって死なせたかったのなら、家に呼んでもらってから殺しても良かったはず。
先輩の犯行だというのは通話の時点で決定的なんですから。


■ 視聴者はなめられている

ここまでは現実的なお話です。
最初に書きましたが「トリハダ」的には「理不尽さ」が足りません。
シリーズを重ねるごとにタイトルの哲学らしさは薄まり、同時に理不尽さも薄まってきたようです。

初期にあった、理不尽で怖い・理解不能だけどなんか怖い、というのは無くなりました。
今回は、確かに殺されるのは怖い・でも話は理解しやすいから衝撃度は無い、って感じです。

谷村美月が各話のストーリーに入り込んでいくのは、前回の「トリハダ4」と一緒です。
でもその事が、視聴者におとずれる「トリハダ体験」からは遠ざける、と指摘してきました。
「トリハダ1」は、谷村美月も「トリハダ1」を見てるから、我々にも何か起こるんじゃないか、という拭い去れない不安を与えてきました。
確かにその技法は毎回使えません。視聴者に耐性ができるので。

でも怖くないなら「世にも奇妙な物語」を見ます。
出演者は豪華だし。

視聴者が納得できないような展開でも、「トリハダ体験」ができるなら「トリハダ」を見るでしょう。
序盤でオチがわかってしまうようなストーリーとか、視聴者が「なるほどね」って思えるような展開はいらないんじゃないでしょうか。

理不尽な日常を生きている我々には、理解可能な物語は薄味だ。
「なんだかわからないが、確かに我々はそのような日常を、いつ恐怖に陥れられるかわからないような日常を生きている」
そう思えるような「トリハダ」を期待しています。

テーマ: 哲学/倫理学 - ジャンル: 学問・文化・芸術

心霊写真ってなぁに? [2009年02月03日(火)] 

心霊番組に懐疑的な僕です。

論理的であろうとする僕は、やはり論理的に考えて「なんでそうなんの?」ってなります。


心霊写真の説明で、「ご先祖さまが足のケガを気をつけよと警告している」とかありますよね。
なんでご先祖さまって写真でしか警告してくれねぇんだ。
ちゃんと教えてくれりゃあいいのに。
「写真が一番うったえやすいのだ」という説明もあるでしょう。
でもなんでその暗号は自称霊能者にしか解読できないんでしょうか。

そしてその自称霊能者はおはらいしろとか言う。
金取って。

なんで無償でおはらいしてくれないんだろう。
なんで高額のおはらい代を支払わせようとしたり、「あなたのお気持ちでお布施ください」などと、高額を支払わせるように誘導するんだろう。


疑問は尽きません。


まず、自称霊能者ってなんで不安にさせるわけ?
その人には解決できないような不安のあおり方をする。


僕はマイナスに落として元に戻しプラスに思い込ますやり方より、「現状のプラス」に気付かせるやり方を取ります。

洗脳のやり方を単純にすると、「現在の思考」を全否定し「新たな思考」を注入する、という感じらしいです。
だから自称霊能者のやり方も洗脳と一緒って事。


なんでご先祖さまは文書化して教えてくれないんだろ。
あと墓参りに行かなかったら怒ったり。
わがままか。

僕自身、ご先祖さまをうやまっています。
というかこの宇宙をうやまっている。
この宇宙が、この地球が、このように成り立っている事に感謝しています。

もし僕が死んでも、僕の事を悪く言ったりうやまわないごときで祟ったりする気はありませんけどね。
っていうか、もし霊魂になるんだとしたら、楽しくてそんな無駄な事してる暇ねー!!
霊魂になったらいっぺーやる事あるわ。

だから幽霊なんて存在しません。
人に構ってられっか。
馬鹿か。

でも馬鹿が多いから他人の写真に入り込んだりするかも。

テーマ: 哲学/倫理学 - ジャンル: 学問・文化・芸術

創価学会すげー [2009年01月08日(木)] 

なんかのきっかけで「信濃町を歩く」という動画を見ました。
新宿から総武線で何駅かかな?
なんでこの動画を見ようと思ったのかわかりませんけど。

信濃町と言えば創価学会の総本山として有名らしいですね。
人が何を信じようが構いませんけど、創価学会に対しては私怨があります。
創価学会というか久本雅美に恨みがある。
「内村プロデュース」を始め、ウッチャンの番組を次々と潰して乗っ取って行く久本雅美が大嫌いなんですよ。
例えうわさでしかないとしても、僕にとってはうわさだけで十分恨むに価します。


創価学会がはたして新興宗教と呼べるのか、って疑問もありますけど、政教一体が良いはずありません。
政治を有利に動かすために信者を利用するのは、宗教の教義という点でも、民主主義という点でも間違っています。

巨大な資本主義組織ってだけなら別に良いんですけど、それで政治を動かしてるとなると、金が無くて現状に反対意見を持つ者の生きる意欲を大きく削ぎます。
「だったら創価学会に入るしかない」ってなると、そもそも教義(あるのかどうかわかりませんが)に賛同できない共同体に加入せざるを得ない状況は、当然生きる意欲を大きく削ぎます。


ちょっと個人的な事を書くと、僕は無宗教で今のところ入信する予定はありません。
人間が認識できる神なんて、神という名の悪魔だと思っています。
それに、宗派の違いこそあれお布施しなければ信心深さを測れないなんてシステムは宗教とはなんも関係無いでしょう。

ただ、もしかわいい女の子をクンニできたり、川村りか様のような女性にアナルを犯される、とかだったら喜んで創価学会でもなんでも入りますけどね。

僕みたいな男を創価学会に取り込んだところで、1ミリもメリットはありませんけどね。
よく「創価学会を批判すると殺される」なんて噂もありますけど、これも僕ごときを殺したって何のメリットも無いので、今後もあーだこーだ言っていきたいと思います。


僕が不可解な死を遂げて裁判になったとしても、検事が創価学会員で固められ、事件の真相は解明しないらしいですよ。
創価学会すげー。

民主党が政権を握って民主・公明になったら、いろいろ最悪な法案が通るかも知れず、その多くが日本という国を消滅させる法案らしいのです。
ネットで自由に創価学会批判をできなくなり、軽い冗談で犯罪の話をしただけで「共謀罪」として逮捕され、創価学会員に付きまとわれても罪として成立せず、中国人が選挙権を持つ事で中国に有利な国になる。

ある予想では「2015年には日本という国は存在してないだろう」と言われているようです。
これほど操作しやすい国は無いって事でしょう。


いくら政治を監視してても、宗教による動員で意見をつぶされたら意味無いですね。
それ以前に、名前だけ立派な法案の真意を見抜けない人が多いんだから、政治を監視すらできてないんですけど。
マスコミも政治を監視できないし。総理が漢字読めない事でぎゃーぎゃー騒いでんだから平和な国です。


これはもう創価学会に入るしか無いですよ。
ねずみ講システムの上位に行くしかない。
ねずみ講の底辺は、今後中国人とかがいっぱい日本に来るから数年は困らないでしょうし。

それほど創価学会はすごいのです。
日本はすでに終わってて、創価学会の気分次第で気軽に逮捕される時代が、すぐそこまで来ています。


繰り返しになりますけど、僕はかわいい女の子といちゃいちゃさせてくれる宗教に一瞬で洗脳されまーす。

テーマ: 哲学/倫理学 - ジャンル: 学問・文化・芸術

男女にまつわる怖い短編 [2008年11月20日(木)] 

井上夢人の「あわせ鏡に飛び込んで」を読み始めました。
過去に書いた短編をまとめたやつなんだけど、最初のやつからして怖い。
「あなたをはなさない」というタイトル。
どうやら故・中島らも氏(普段は敬称略で書いたりしますけど、敬意を表して「氏」って付けといた。「付けといた」ってとこは若者らしさを出してみた)と同時期にある雑誌に短編を依頼されたやつらしい。
中島らも著「白いメリーさん」に収録されている「掌」という短編。
「あなたをはなさない」も手に関わる作品で、井上夢人は偶然の一致に驚いたそうです。


以下、「掌」と「あなたをはなさない」の内容を書くので、未読の方は覚悟してお読みください。



共に「男女にまつわるホラー」をテーマにしています。
「掌」は不仲になってきている同棲中男女のお話。
男は女をうざったく思い始め、帰りが遅くなりつつあります。
その事が許せない女は、ヒステリックに男をなじる。

ある日、ケンカの途中で男はふすまに赤い染みがあるのを発見する。いつもは見ないのに。
よく見ると、どうやら赤ちゃんのてのひらのような跡。
次の日の朝、ふすまを見ると赤い染みは消えていた。

また別の日、いつも以上にケンカがエスカレートし、ついに女は包丁を持ち出した。
そして男ははっきりと確認する。
ふすまに浮かび上がる赤いてのひらを。
気持ち悪くなりふすまを替えるが、ケンカのたびにてのひらが出現する。どうやら女の感情に反応しているようだ。

このままではいつか殺されるかも知れないと不安になった男は、ついに別れ話を切り出した。
女は怒り出さない。
チラリとふすまを確認するが、赤い染みは浮かび上がってこない
ニコニコして別れ話を聞いている女にほっと一息つく。
緊張がほぐれ、ふぅーと息を吐き出しつつ天井を見上げると、そこには数え切れないほどの赤くて小さな掌が浮かび上がっていた。



という内容です。
怖いですね。
どうやら映像化されているみたいです。
確かに映像向きですね。



「あなたをはなさない」も男女の別れがテーマ。
女の自分勝手さに嫌気がさし別れを切り出した男。
涙を流し、どうしてもそれに応じたくない女。

向かい合って話し合う二人。女はそっと男の右手に指を絡める。
自分の手に瞬間接着剤を塗りたくって。

無理にはがそうとしてもはがれず、お湯や洗剤をつけてみてもまったくはがれない。
男の怒りは爆発し、「こんな女だったら堂々と別れ話を言える。暴言を吐ける」と、犯罪者だの別れて正解だの言いまくる。
これから病院に行って手をはがしてもらうと告げる。

すると女は、自分の顔に瞬間接着剤を大量に塗りたくり、空いている男の左手を顔面にくっつけた。
口と鼻を塞いで。

動かなくなり、徐々に冷たくなっていく女を両手で感じる男。



怖いでしょ。
20ページぐらいの短編ですぐ読め、しかも切れ味鋭い。
残りの短編が楽しみです。
表題作の「あわせ鏡に飛び込んで」ってどんな内容なんだろう。
哲学的な香りが。
楽しみ。

テーマ: 哲学/倫理学 - ジャンル: 学問・文化・芸術

トリハダ4は視聴者と物語を隔絶する [2008年10月10日(金)] 

「トリハダ4~夜ふかしのあなたにゾクッとする話を」が放送されました。
シリーズを通して見ていて、「ここは別の効果を狙った方が良いのに」というような助言を書いたりしてきました。

「トリハダ2 ネック」は異色で、シリーズ中この作品だけ1話の長編になってます。
他は7話ぐらいの短編。
特徴的なのは各話の間に連作短編が挿入されてる、という点です。
この連作短編は「トリハダ2」には当然無く、これを除いた全てに、若手女優の谷村美月が出演しています。

あとは特徴として、各話のタイトルが哲学的なところでしょうか。
個人的にはパート1のようなタイトルが良かったんですけど、今回の「トリハダ4」は魅力的なタイトルが存在しません。
視聴者の知的レベルに合わせたという事なんでしょうか。

以前「理不尽・偶発性・ケータイ」というのを読み取り、同局の「世にも奇妙な物語」と区別する為には「不条理さを強く意識せよ」と書きました。

「トリハダ3」のある1話が最強に怖かったんですけど、今回の「トリハダ4」は趣向をこらしてるとは言え、改善点がまだまだある気がしました。


以下、「トリハダ4」のネタバレを含む感想の為、「ネットで動画探そ」とか思ってる人は、視聴してから読んだ方が良いです。
未見の方にもわかるように最低限の内容説明をしています。



シリーズ中、1と3の冒頭は、谷村美月が「トリハダ」という深夜番組を見ているというスタイルだったんですが、今回は深夜のコインランドリーで退屈そうにしている谷村美月からスタートしました。

ケータイでいたずら電話をして時間を潰している。
幼稚園で行われるバザーの手作りポスターに書かれている開催日時を、テキトーに打ち込んで電話をしてみる。
すると「しばらくお待ちください」という電子音声の後、「今日、2時5分、あなたは死亡します」という声が。
現在は深夜1時半。
「トリハダ4」が終わる頃に、谷村美月に何か起こるんだろうと想起させる。

「トリハダ1」でも最後に殺される話があり、今回もそういうものかな、と思って見てました。

物語の進行通りに感想を書いていきたいと思います。
谷村美月と関連するパターンもあったので。


・恐怖は常にあなたの隣に

冴えない男が、隣に住む美人OLの行動を監視する、というようなお話。
出勤のタイミングを見計らってドアの隙間から覗いたり。
壁に近付いて美人OLの咳払いなどを聞きながらオナニーしたり。
女性視聴者は嫌悪感と恐怖を抱くでしょう。

「トリハダ3」の最初の話も、隣の部屋のセックスを盗み聞きするやつで、なんか似たような話だな、と思って見てました。

美人OLが留守の時、酒が入ってたせいなのか、ベランダから隣の部屋に忍び込み、干してある下着を盗もうとする男。
案の定OLが帰宅しちゃうんですけど、出勤時間まで把握してるような男が、なんで帰宅時間に合わせて忍び込んだのか、ちょっと納得行かないです。

すぐにベッドの下に隠れ、興奮している男。
何かにいらつき外に出て、怒りながら隣の部屋のチャイムを鳴らす美人OL。
その男の部屋のドアを蹴ったりしてます。
当然男は部屋におらず、帰ってきた美人OLの手には包丁が。
恐怖で身を堅くする男のケータイが振動する。
するとベッドの上から顔を逆さにして覗き込む女が一言。

「さっき部屋にいなくてよかったな、お前」

次の日の朝。いつものように出勤する美人OL。
口元には笑みが。


という話ですが、セリフの意味わかんないよね。
都市伝説でも似たようなフレーズがあるけど、状況が違うので怖さよりも違和感の方が強い。

さっき部屋にいなくても、今殺そうとしてんじゃん、って話ですよ。

ここはやはり、
「チンポしごきながら殺されるのってどんな気分かなぁ?」
がトリハダフレーズでしょう。
「トリハダ」は殺すシーンを見せずに恐怖を演出という映画「サイコ」の手法を用いているので、セリフだけで視聴者に想像させる僕の案は良いんじゃないかと。

あなたなりのトリハダフレーズを考えてみてください。


・内面と外面の相違から起こる悲劇

電車でうたた寝をする女の子。
気付くと乗客は誰もいなくなっていた。目の前に立つ中年サラリーマンを除いては。

実際にあったら気持ち悪いですね。すいてるのに隣に座られるのとか。

怖くなって次の駅で降りるんだけど、その中年サラリーマンが女の子を電車内に引き戻そうとします。
必死で振りほどく女の子。ちなみにこの女の子かわいいです。

痴漢から逃れてほっとし、何かを感じて振り返ると、目の前で怪しげな男がニヤリ。
次のシーンで血痕が映り、女の子の死を予感させる、というお話。

これまた「トリハダ3」でも似たようなお話がありました。
駅のホームで音楽聞いてたら騒ぎに気付かずに殺人鬼に殺されるやつ。この時の女の子もかわいかった。
かわいい娘を殺しちゃダメって法律作った方がいいです。
(そもそも人殺しちゃダメって法律あるから)

どうやらさっきの痴漢サラリーマンは、彼女に危険をしらせてたみたいなんだけど、「トリハダ」に登場するこういう良い人は、どうしてなのか何も言わない事が多い。
あとTKOの木下に似てました。


・行き過ぎた愛情の記録

単身赴任先の夫に子供の成長記録を送る奥さん。
子供のDVDを見るのが唯一の楽しみらしく、早く次のDVDを見せてと催促の電話をしています。
三日ぐらいで届くかな、と奥さん。

ようやく届き、さっそく見ると、どうやら寝ている子供達の映像らしい。
寝顔もかわいいなぁ、と思っていると、隣のベッドには奥さんの姿が。
誰が撮影してんだ?

映像が奥さんに寄ると、血まみれですでに事切れてる様子。
パニックになりながら自宅に電話すると、テレビから知らない男の声が。
「しっかりこのDVDも届けるからな」
その男はなんと、さっき配達にきてた男だった、というお話。

よく出来た話ですね。
実際にあったら怖いんだけど、上手すぎて感心する方に意識行っちゃう。

室井滋さんの都市伝説として有名な話にも似た感じのがありますね。


各話の間に谷村美月のコインランドリー風景が挿入されるんだけど、今回の話の後はかなり重要です。
と言うのも、客として来てた男がなんと、さっきの配達人だったのです。
従来の「トリハダ」とは違い、物語が地続きであるというのが強調される。

「トリハダ1」の場合は視聴者=谷村美月で、最後に彼女に起こる恐怖が、そのままメタ構造で我々にも起こるかもしれないと思わせるような努力が見られた。

「トリハダ3」の場合は、序盤に視聴者だった谷村美月が、途中でテレビを消し、最終的に「トリハダ3」に登場してた男が隣のマンションで自殺してた、というオチを見せる。
視聴者に、現実と物語の曖昧さを打ち出していた。

ところが「トリハダ4」は、全編が物語でしかなく、視聴者はずっと視聴者のままで、安全さを確保されている。

以前も書いた事だが、物語重視に傾倒していくと、同局の「世にも奇妙な物語」との区別が無く、資本力に劣る「トリハダ」は成長しないだろう。
もしかしたら「トリハダ5」でやるかも知れないが、一つの案としてこういうのがあります。

谷村美月がテレビで「トリハダ」を見ている。
時間も放送時間と合わせます。
最終話のタイトルは無くてもいいんだけど、「テレビを凝視する事と現実を凝視する事のジレンマ」なんてのが「トリハダ」っぽいでしょうか。

5秒間隔ぐらいで、ある部屋に設置された隠しカメラの映像が切り替わります。
玄関、バスルーム、台所、ベッドの下などなど、ありふれた一般的な部屋がいい。
それで良いタイミングで谷村美月が映し出される。
そのテレビを見て凍りつく谷村美月。するとメールで友達から「なんか変じゃない?」みたいなメールが。


なんかありきたりですけどね。
別の案は、谷村美月が「トリハダ5」を見てるのは一緒。
殺されるオチの話が終わり、谷村美月の連作短編に移るんだけど、丁度オチを見逃してるんですよ、谷村美月が。
そういうのが何度か続き、最終話。
外に出た谷村美月が「妻を返せ!!」と叫ぶ狂乱男に殺されます。
というのも、各話のオチで人を殺してたのがなんと谷村美月が演じる誰かだったんですね。
そっくりだったので間違って復讐された、というようなものです。
指名手配になってたとかでもいいんだけど、なんか「世にも」っぽさが強いです。


という事で次の脚本家は僕にしてください。

さて、「トリハダ4」の話に戻りましょうか。


・好奇心が猜疑心を超えた結末

ぶっさんが出てたドラマ「SP」で見た事ある男の人。
眼鏡でぽっちゃり。
自動販売機の中に手紙が入ってて、女の子の文字で「100m先まで来て」と。
それに従うと、公衆電話にも手紙があり、「かっこよかったら50m先まで」とある。
好奇心を抑え切れず、次々と指示通りに歩いて行くと、路上にチョークでハートマークが描かれている。
「ハートマークの上で電話して」と。
電話しても誰も出ず、「やっぱりいたずらか」とハートーマークから出た所でドサッという音が。
振り返るとハートマークの上に少女が飛び降り自殺してました。

これもまぁよく出来た話だけど、もう一ひねり欲しかったかなぁ、って。
少女が最後の手紙を持ってるとかね。


この話の後の谷村美月パート。
2時5分に、さっきの配達人の男が血染めの洗濯ものを出している所を目撃する。
ここで死んじゃうのか、と思ってたところで別の客が来て、配達人の男は逃げるようにコインランドリーを出て行く。
2時5分に死なないじゃん、と次の話へ。


・いつか尽きる求愛のカタチ

木南晴夏ちゃんが主人公でした。
スーパーかわいい。
「20世紀少年」に大抜擢されたので、今後ぜひ人気女優になっていただきたい。

さて内容ですが、出勤中に困ってる男にちょっとした親切をしたところから始まります。
家に帰るとドアノブに袋が下がっている。
中身は婚約指輪を入れるような小さな箱。
ふたを開けると2本の歯が入っていた。
次の日。
まだドアノブに袋が下がっていて、中には頭髪が。
さっきすれ違った男は坊主になっていた。
どうやら身体の一部を彼女に届けているらしい。

また次の日。
男は眼帯をしていた。
その夜、彼女の部屋の前に五目丼のような料理が置いてあった。
うずらの卵のように見えたそれと目が合い絶叫。
というようなお話。

それにしても木南晴夏ちゃんはかわいい。
フジテレビの松尾翠アナと同じ顔してる。

んでオチだけど、もう一個先があった方いいかなぁ、と。
中くらいの段ボール箱とかね。あの男が折り畳められて入ってんじゃないか、と想像させる。
あと革張りの椅子とか。毛が残ってたりして。
あと大きめの水筒とか。「中に血液が?」って感じの。

まぁそんな事より木南晴夏ちゃんがかわいいからいいです。


谷村美月パート。
結局2時5分に死なず、好きな人とファミレスで待ち合わせをする事に。
良かった良かった。


・誰もが持つ恐ろしい人間の本性

最終話です。
出会い系の待ち合わせをファミレスでする女子高生。
メールで相手と目印を教え合ったりしてる。
赤いバッグと高校の制服が目印だと教えるも、男からは何も教えてくれない。
そしたら女性が殺されてる画像とか送られてきて怖くなってトイレに逃げた。
そして「見つけた」というメール。
店内は大騒ぎに。

オチとしては、谷村美月がこのファミレスに来てて、昼の2時5分に間違われて殺されてしまいました、というもの。



今回の「トリハダ4」もやたらと人が死にました。
不条理に殺されるのは確かに怖いんだけど、「死」というのはそもそも不条理です。
いくら健康に気をつかってもガンになるし、どんなに善い行いをしてても車にひかれたりする。

だから今後は、殺されないけど怖いオチを期待します。
まぁ、死者の多さで「世にも奇妙な物語」と差別化を図ってるかも知れませんけどね。

テーマ: 哲学/倫理学 - ジャンル: 学問・文化・芸術

密室講義と怖い話 [2008年09月20日(土)] 

ミステリーアンソロジー「大密室」を読みました。
やっぱ法月綸太郎のが良かった。

「密室」はパターンが出尽くしていると言われている。
赤川次郎が「三毛猫ホームズの推理」で新パターンを生み出したそうだが、どんな天才が何人も頭を悩ませても、新たな密室は生まれない。


ミステリの衰退を救うパターンとして「叙述トリック」があるが、これもある程度パターンが出揃ってきた感がある。
そして最大の難点として「叙述トリックだと知って読むと、衝撃が激減してしまう」というのがある。
(「叙述トリック」というのは、作品内の登場人物ではなく、読者が騙されるトリック。女かと思ってたら男だった、というような。叙述トリック小説だと知ってて読むと、ストーリーじゃない部分も疑ってしまいます)


以下、何個か密室のネタばらしをするので、これからミステリ好きになろうかな、と思ってる人は読まない方が良いです。



密室殺人のパターンと言えば、被害者が鍵をかける、建物の構造上密閉された、目撃者が部屋を誤認した、外部から殺した、後から部屋を作った、などが挙げられます。
他にも、実は自殺だった、犯人が室内にいたなどなど、趣向を凝らして我々を楽しませてくれる。


「金田一少年の事件簿」のエピソード「異人館ホテル殺人事件」に赤い部屋の密室が登場します。
上記では「目撃者が部屋を誤認した」というのにあたります。



ほんとは「密室」の事じゃなく、「怖い話」を書こうと思ってたんですよ。
というのも、「密室」と恐怖が結び付いているという文章を読んだからです。

密室って安全じゃないですか。
家にいる時に施錠してる人が多いと思いますけど、それは安全だと思ってるからです。
外部から人がやってこない。

安全な領域で殺人が行われるわけですから、恐怖以外の何ものでもありません。

それは幽霊も一緒。
どんな密室でも気付くと幽霊がうしろにいる。


という事で怖い話を書きます。



怖い話が好きな僕は、心霊写真集とか、ネットの心霊動画とかをよく見るんです。
その日も、何か怖い動画が無いかとネットで探してました。
怖い怖いと話題になっている動画があったので、あまり期待せずにクリックしてみました。
幽霊が出現すると言われている再生時間になりましたが、一回見た限りではどこに出現しているかわかりませんでした。
何度か見てもわからなかったので、ガセだと思ってネットをやめました。

部屋の中が急に重くなった気がして、嫌な感じだったので、その日は早めに寝ました。

次の日。起きてなんとなく違和感があったので、窓の方に視線を移すと、窓に赤い染みのようなものが見えました。

近付いてみると、それは小さい子供の手形のようでした。
しかも、外側ではなく内側に手形がついていたのです。



終わり。
密室なのに中に誰かがいた、という恐怖。

次は、モデルの間で有名になっているお話を。



ウェディングドレスのファッションショーがあり、そのモデルはドレスを持って家に帰ったそうです。
そのウェディングドレスはいわくつきらしく、数々のモデルの手を渡ってきたそうです。
そのドレスを着るモデルは、必ず悪夢を見る。

噂通り、ドレスを持って帰ったモデルは怖い夢を見ました。
青白い女性がずっとこっちを見てる夢です。

ファッションショーがあるのでお祓いしてもらおうと、ある霊媒師の所へ行くと、部屋の四隅に塩を盛れば大丈夫だと言われました。

さっそく部屋に塩を盛り、安心して眠りに就きました。
すると前回の夢と違い、青白い女性は鬼の形相をして、こちらをにらんでいます。
今にも殺されそうな雰囲気で、叫ぶように夢から覚めました。

寝汗びっしょりで、「今の夢はなんだったんだろう」と思ってふと部屋の角を見ると、盛られていた塩が全部巻き散らかされていました。



終わり。
怖いでしょ。

なんかね、塩って別に効果無いんだってさ。

テーマ: 哲学/倫理学 - ジャンル: 学問・文化・芸術

恐怖は内部からやってくる [2008年09月18日(木)] 

以下の文章は、精神的に蝕まれる可能性がありますので、気持ち悪いものに対する耐性がある方でなければ読まない方が良いと思います。
自己判断でお願いします。
お食事中の方も読まない方が良いかもしれません。



恐怖にはさまざまな形態があります。
映画でも「スプラッター」や「ホラー」や「スリラー」など、いろいろ分けられます。
恐怖マンガも、犬木加奈子や御茶漬海苔。そして僕の好きな楳図かずお先生など、絵柄やストーリーにそれぞれ特徴があります。
僕は楳図先生の本しか知らないので、楳図作品を例に出します。

楳図作品は、恐怖顔という記号や、毛が生えているような叫び声の文字など、いろいろな発明がなされています。
ストーリーも恐怖に覆われている。

妊婦の腹から、殺した女の生首が産まれる。
母親が娘の肉体を奪う為に脳をすげ替える。
母親が蛇女に変わる。

手塚治虫の影響を受け、いままでに無いジャンルに挑戦しようと思い「恐怖マンガ」を描いた、というのは有名な話です。


さて、ここから気持ち悪い話になるので、一旦トイレ行っておいた方がいいですよ。


恐怖パターンのひとつに「自分の中に何かがいる」というのがあります。
サスペンス映画によくある設定の「多重人格」もそのひとつと言えるでしょう。
広義では、「記憶喪失」も含まれるかも知れません。
知らない過去の業と過去の自分が、揺るがない事実として自分の中に存在する。

幽霊にとり憑かれているというものになると「ホラー」になりますね。


僕が一番怖いと思うのは「虫」です。

井上夢人の「あくむ」というホラー短編を読んでいて、「ゴールデンケージ」一編が強く印象に残りました。
軽くストーリーを紹介します。
優等生の兄と不良の弟がいる。
兄は両親から期待され、将来も社長の座が待っている。
弟は誰からも期待されてないが、密かに兄だけは自由奔放な弟に憧れを抱いている。

ある日突然、兄の左足に、白いひっかき傷のようなものが浮かび上がる。
だが波状のそれは、どうもひっかいて出来たものではなさそうだ。医学書を調べてみるが、どの病気にも当てはまらない。
痛みもかゆみも無いのでほっとくと、いつしかそれは腰まで伸びていた。
ナイフで薄く切ると、そこから茶色く細長い虫が出てきて、白く見えてたものは実は虫の卵だった。

こんな話です。
やがて腹や背中、首にまで網状に広がり、兄は虫と卵を取り出そうと、全身を切り刻む、という展開に。


どうですか。
怖いでしょ。

自分の中に何かいる。


中島らもの名作「ガダラの豚」に似たような話が出てきます。
アフリカの奥地。神父が朝起きて鏡を見ると、ほっぺがミミズ腫れになっている。
何かと思って腫れた部分を触ると、ミミズ腫れの部分がにゅるりと目の方に移動した。
というお話。

気持ち悪い。


都市伝説でも、海でケガをして、ずっと痛みが引かないから病院に行ってケガをした部分を切開すると、フジツボがぎっしりつまってた、というものがあります。


自分の中に、得体の知れない生物がいる。
操作できないそれは、「怒り」や「嫌悪感」などの感情の操作出来なさにも通じる。
「恐怖」は内部に存在し、自分ではどうしようもないものだ。


実際、心臓も胃も、自分では動いてる事も確認できないし、あるのかどうかもわからない。
心臓も胃も、そういう働きをする臓器だ、という知識があとから得られたから良いけど、自分の身体の中って何もわからないですよね。

精神的不安。目に見える恐怖。
すべて自分から生み出される。


内部に存在する恐怖と、外部からやってくる恐怖もありますね。
殺人鬼に襲われるなどがそれに当たります。
殺人鬼って倒せる可能性があるけど、自分の中身が終わりだったら、もう終わりだよね。
病気の恐怖と似ている。


井上夢人「あくむ」は、ほとんどが「内部の恐怖」だ。
なぜかそうなっている。
自分が信じていたものが揺らぐ。

テーマ: 哲学/倫理学 - ジャンル: 学問・文化・芸術

怖い話を [2008年08月11日(月)] 

幽霊的な怖い話と、人間的な怖い話とで分けると、断然後者が好き。

幽霊の話って「そう来られたらもうどうしようも無いじゃないか」って展開が多い。
例えば、幽霊に遭遇し、なんとか振り切って突き放したと思ったら目の前にさっきの幽霊がいる、とか。
「それオッケーならなんでも有りじゃん的な道具」を出されると、怖さよりもあきらめが先に来る。
僕は諦めが早いんだ。


一方、人間的な怖い話は「有り得た感」と「避けられたであろう感」がある。
携帯電話に間違って来たメールに返信し、やがて送り主に殺される、という話は、有り得そうで、かつ、避けられたはずだ。

そして一番大事なのが、幽霊は見えない人には見えないが、人間は常に接する、という点。
楳図かずお先生は、お母さんが大蛇に変身するという「身近な者が激変する恐怖」を描いたが、恐怖というのはそういうものだ。
人間は、怖い。


「身近な者が激変する恐怖」と書いたが、「身近な者」の部分に「日常」を入れても成立する。
いつもの日常だと思っていたものが激変していたら。
その人は恐怖に頭を鷲づかみにされる事になる。



引っ越しも一段落し、家具や電化製品も一通り設置し、テレビと向かい合った。
チャンネル合わせをしなければならないのだが、最近のテレビは便利で、自動的にチャンネルを設定してくれる。

すぐに終了し、ためしにいろいろなチャンネルを見る。
どうやら自動設定では他県のローカル局がはじかれるようで、東京の局しか映らない。
しょうがなく、もう一度チャンネル設定の画面にし、今度は手動設定にする。

12チャンネルまでは自動設定ですでに終了していたので、それ以降のチャンネルを合わせる。
19チャンネルの砂嵐の画面から20チャンネルへ。
鮮明になった画面には、斜め上から見た、テレビの前で座っている僕の姿が映し出された。



いかがでしょうか。
オチとしては、自分が殺される瞬間を目撃したりとか、いろいろバリエーションが考えられそうです。



もし、自分の携帯電話に、登録した覚えの無い名前がメモリーに追加されていたら、気持ち悪くても削除しないでください。

電話やメールをする人はいないと思いますが、当然これもいけません。

携帯電話は常に電波を送受信しているのはご存知だと思います。
近くのアンテナから送受信し、人工衛星でGPS機能も使えるようになっている。

登録した覚えの無い名前からメールが来た場合、無視してれば問題はありません。
でも登録を削除した場合。迷惑メールを受信しない設定の人は、それがそのまま送信者に送り返されます。
どういう事かと言うと、それであなたの位置がその人物にばれてしまうという事なのです。

もしあなたが自分の家にいない時に、この見えないやりとりが行われているとしたら。
送信者はすでに、誰もいないあなたの家に侵入しているかもしれませんよ。



いかがでしょうか。
ありえそうだから怖いですね。


最後に、FUJIWARA原西の少年時代に起こった実話を。



原西が中学生ぐらいの時だったか、友達と3人で夜中遊ぶ約束をしていたそうです。
原西とA君はすでに待ち合わせ場所に集合していましたが、B君がなかなか来ません。
A君が途中まで迎えに行ってみる、と言い出したのでお願いし、原西は待っていました。

何分かして、向こうからA君とB君が走ってきました。
「白い女がいる」
3人で目撃した場所に行ってみると、確かにブランコに座ってうつむいている真っ白な女性がいました。
顔は髪に隠れて見えませんが、服装はもちろんの事、肌も白く、その人の周りもぼんやりと白く見えます。

怖くなった3人は走って逃げ出し、遠く離れたところで落ち着きました。

原西が「めっちゃ怖かったな。顔は良く見えんかったけど」と言うと、B君が
「何言っとんねん。こっち見て笑ってたやないか」
と。

次の日、B君は事故で亡くなったそうです。



これはなかなかうまいお話ですよね。
3つの内どれが好きですか?
最初の2個は僕が作りました。

テーマ: 哲学/倫理学 - ジャンル: 学問・文化・芸術