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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

「トリハダ6」は都市伝説化する [2009年10月10日(土)] 

「トリハダ6」が放送されました。

今回も前作通り、谷村美月のお話の合間に各話が挿入されます。
「トリハダ1」とは違い、各話と谷村美月の話とはリンクしてない部分が多いので、谷村美月の話の感想は最後にします。


「計画された別れの演出と戦慄」

別れを切り出す男。
去り際に段ボールをプレゼントする女。
「前から欲しがってたパソコン。明日誕生日でしょ」

女が部屋から出たあとでベランダに出て電話をする男。
どうやら浮気相手に電話したようだ。
でも出ない。

部屋に戻りもう一度浮気相手に電話をすると、彼女がプレゼントした段ボール箱からケータイの振動音が。

段ボールの穴から覗くと死体と目が合う。


「トリハダ6」はタイトルの出し方を意識してたみたいで、オチのあとでタイトル出したりしてました。
タイトルでネタバレしてたのとかあったからね。
でもそういう演出はいらないかもね。
ネタバレしたくなかったらもっと意味不明なタイトルにすりゃあいいだけです。


「日常に潜む不条理の確率」

ホリプロスカウトキャラバンの女の子が主人公かな。
コインロッカーに制服の着替えを預ける女子高生。
コインロッカーの中には別の番号の鍵が。
そこのロッカーを開けると、500万円の小切手とまた別のロッカーの鍵。
次のロッカーには臓器提供カードに全部チェックされてるものが置かれてる。そして別の種類の鍵が。

外の大きいコインロッカーの鍵だった。
だが開けるのをやめて帰ろうとする少女。
うしろを向くとコインロッカーが開く音がして少女が振り返ると恐怖におののく。
車が去るカットで終わり。


少女が金の代わりに臓器を売られる、という暗示。
最近の「トリハダ」シリーズは、こういう「だんだん核心に近づく」ってのが多いですね。
ゲームのように被害者女性の殺人に関わるアイテムを拾っていったり。
誘導されるままに投身自殺の現場に居合わせたり。

「だんだん近づくオチ」は序盤で読まれるのが欠点ですね。
よっぽどの大逆転が無いと恐怖も驚きもしないでしょう。

大きなコインロッカーを開けて「おかあさん!!」って叫ぶのはありきたりですけども、そういうのでもいいかも。

以前からずっと言ってますけど、オチはわかりにくくていいと思います。
「トリハダ」ってそういうもんでしょ。


「保身に必要な最低限の代償」

ダメな女性社員を持つ女性の上司。
何を頼んでも仕事ができない社員にイライラする。
そのイライラでますます萎縮する女性社員。

上司と別の部下が俳優と写真を撮ったことで盛り上がっている。
上司と韓国俳優(?)とのツーショット写真。

ダメな部下はいらない書類と一緒にその写真を間違ってシュレッダーにかけてしまう。
裁断したことに気付き恐れおののく部下。
そのことに気付かれそうになった部下は、自分の指をシュレッダーに入れた。
さっきまであんなに怒ってた上司が、自分のために救急車を呼んでくれる。
そう思うとようやく安堵の表情を浮かべるダメな部下。


これも微妙ですね。
自分を傷つける話は木南晴夏ちゃんが出演した回でもありましたけど、前回は愛情で今回は謝罪ですか。

ここはダメ社員が、上司と俳優話してた社員を殺しちゃうのはどうでしょう。
「この社員を殺したから、もう俳優自慢する相手がいなくなって問題解決でしょ」という理論です。
根本的な考え方からしてもうダメな社員だったんだ、という恐怖。
話が通じないって怖いですね。


「持たざる者の恐怖と狂気」

タクシーに乗り込む横柄な会社員。
ちょっとトロい感じのドライバー。

目的地と全然関係無いとこで停車するドライバー。
このドライバー。リストラにあって今月で失職するらしい。
それを告げると急発進をする。
そのまま横断歩道を渡る女性を轢く。

おびえる客に対して「今の浮気してる妻なんですよ」と告げ、目的地まで走り始める。


すべてを失った者が自暴自棄になって、そこに居合わせた一般人、って構図。
例えば、深夜の山奥でタクシーに乗ってるとしましょう。
乗客は電話とかメールに夢中なんですよ。
んで何かをひく衝撃がタクシーに伝わる。
「どうせイノシシかなんかでしょう。山だから多いんですよ」
しばらくすると、さっきよりも大きな衝撃が。
「どうせイノシシでしょう。山だから多いんですよ」

その後ドライバーが語り始める。
「妻が子供を連れて出て行きましてね。新しい男のところに」


たぶんこれだけで十分伝わると思います。


「天使の中にある恐るべき残酷」

これは1カットの長回しだったと思います。
母親がホームビデオで息子を撮影してる、という内容。
遊園地でクマのきぐるみの戯れる息子。
そこに別の子供が現れ、クマを蹴ったりしている。
いつの間にかクマのきぐるみと蹴った子供がいなくなる。

クマだけが戻ってきたので再び息子が駆け寄る。
クマに抱きつく息子。
離れると、息子の顔にべったりと血のあとが。

という内容ですね。
もったいないのところが2点。
「長回しの意味がわからない」
「撮影者を最後まで隠しておくことでオチをより効果的にできたのでは」

せっかくの長回しなんだから、何かやれた気がします。
あと、撮影者が最後まで顔を出さなかったんだけど、これを使えたらなぁ、と思いました。
母親が、息子に悪影響を与える存在すべてを消し去ってた、とかね。


「無欲で得た悲劇の主人公の座」

ネットで質問するサイトを見てると「人を殺しちゃったんですけど」の書き込みが。
おもしろがって返信する男。
「細かく刻めば?」
それに対してまた書き込みが。
次はどうすれば。
「生ごみと一緒に出しちゃえ」

書き込み数もかなり盛り上がってきたころ、「信じてない人が多いので証拠を見せる。この公園まで来い」との書き込みが。
主人公の男の家から近い。
深夜。公園に行くと箱があり、開けるとビデオカメラが。開けた人物を撮影するようにレンズが向いている。
すると男の背後から忍び寄る影。
その後、男が殺される映像がネットで配信された。


都市伝説っぽい構成ですね。
自分が殺されるシーンをネットでみんなに見られる。
「トリハダ6」はケータイ絡みの話がめっきり減りました。その代わりパソコンになった。
オチもわかりやすいし。

基本的に「トリハダ」は好奇心を持つと悪い結果を生みます。


そして谷村美月の物語へ。
各話の間に少しずつ話が進むんですけど、分ける意味がかなり薄れてます。
何度も言ってますが、「トリハダ1」は視聴者の一人として谷村美月がいました。
「トリハダ」を見て友達とケータイで電話する、という位置です。

でも最近の傾向では、各話の中に谷村美月が入り込んでいる、というものになっています。


谷村美月が家に帰るとトイレの便座が上がってる。
不審に思い友達を家に呼ぶが、今度は歯ブラシが使ってもないのにぬれている感じだ。
怖くなり、部屋に監視カメラを取り付け、帰ってきてからパソコンで確認できるようにした。

次の日の夜。仕事から帰ってきてさっそくパソコンで監視カメラの映像をチェックする。
谷村美月が部屋を出てからの映像を見るも別に異変は無い。
早送りをし夜に近づくと、知らない男が部屋に上がり込んできた。
勝手にパソコンをいじる男。
すると男は慌てて押入れに隠れた。
すぐあとに谷村美月が帰宅。
凍りつく谷村美月。
パソコンの映像の谷村美月はそのままパソコンを開く。
すぐうしろの押入れにまさに今、知らない男がいる。

次のカットでネットの質問サイトで「人を殺しちゃったんですけど」の書き込みがなされる。
投稿者は谷村美月。


このひとつ前の話とつながりました。
トリハダ4もトリハダ5もこんな感じでしたね。

「トリハダ6」は「中に何かひそむ恐怖」というのを出してきました。
段ボール箱に死体。
コインロッカーに誘拐犯。
押入れにストーカー。

確かに押入れにストーカーがいたら怖い。
なんだけど、答えがわかってるので了解しやすい。
物語の構成としてすっきりしてます。
なので見終わったあとに「あーおもしろかった」「あーつまらなかった」という感想しか残らない。
シリーズを重ね「トリハダ」という番組がどういうものかわかった上で見るからしょうがないんですけど、別の感情を抱かせて欲しい。
前から言ってるけど「なんだったんだ、今の」って感情です。
漠然としててつかみ所の無い、なんか怖い、という感情。

物語の意味とか、なんで死んだかという理由付けなんかいらない。
もっと理不尽さを。
この世界はもともと理不尽です。
「トリハダ」の中が理路整然としてたら、この世界の理不尽さに負けてしまいます。
何が起こったのか。この先何が起こるのかわからない。
でもショートムービーで唐突に話が途切れる。
そんな話を2本ぐらい入れてみたらどうでしょうか。
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テーマ: 哲学/倫理学 - ジャンル: 学問・文化・芸術