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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

害悪アプリ『カレログ』から監視社会の処方箋を理解する 

監視社会に対していろいろ言及してきました。

単純に言うと「監視社会は最悪」というものです。


恋人の居場所を追跡できるアプリ『カレログ』の監視は、信頼を深めるためのものではなく、むしろ証拠をおさえて相手を追い詰めるためのものです。

相手を追い詰めようとしている人物が信頼できるか。

そんなわけありませんよね。

相手を信頼するということは、絆コストを支払うことなのです。

絆コストを支払わず、抜け駆けに怯えて相手を追い詰めることしかできない人物を、そもそも信頼できない。

つまり、最初から信頼関係を結べない、ということです。


「防犯カメラ」と称して「監視カメラ」を各所に設置する政府と、それを甘んじて受け入れる国民との信頼関係はどうか。

当然信頼は築けない。

いつでも我々を逮捕することが可能な法整備があり、いつでも証拠を突きつけることができる監視カメラを配置する政府。
そんな組織を信頼せよ、という方が暴力的です。


つまり「カレログ」は現在の社会が生み出した凶器だ。

国民はこんな政府に立ち向かわなければならない。

それなのに国民がこんな不信装置「カレログ」を開発するなんて。



処方箋として2点ある。


・社会学的素養を身につけさせよう

・「冒険→失敗→再スタート」ができる環境を作ろう



一つ目について。

社会学的に「信頼」について考えさせる必要がある。
「信頼」とは何か。
「信頼」とは、そもそも成立するはずもないものが成立していることの奇跡、です。
例えば、コンビニにいって欲しい商品をレジに出し、お金を払うと欲しい商品が手に入る、というシステムがあります。
なぜこれが成立しているのでしょうか。
弁当をレジに出したらレジ打ちの彼がその弁当を食べ出すかも知れず、お金を出すとそのまま彼はお金をポケットに入れるかも知れず、弁当を買って外に出ると「金を払ってない」と通報されるかも知れない。
なぜならあなたはコンビニのレジ打ちのことを何も知らないからだ。
それなのにコンビニの売買システムは成立している。

「信頼」とは最初からありえないものだ。
だから社会が不安定にあると、「信頼」のありえなさが明るみになり、いよいよ人々は不信から人間関係に入っていく。


なので、「信頼」は最初から成立していることがすごい社会システムなんだと理解することが必要です。
成立するはずが無いのに、成立していることの凄さを撃ち抜かれる体験が必要。
そうすることで「相手に信頼を裏切られた」という期待はずれに対処でき、相手を監視せずにいられない、という腐った人間は減ります。



二つ目について。

「冒険→失敗→再スタート」をすることで、相手を見抜く力を育てることが必要です。
でもそのためには、そういう環境が必要です。
信頼が傷つくのを恐れ、相手の信頼を失うと自分が自分でなくなるかもしれない、という不安に怯えているようでは、冒険に踏み出せません。

相手の信頼を失ったとしても、その先の自分の成長のためになり、よりよい信頼関係をやがて築けるのだ、という安心が無いと冒険に踏み出せない。


なので冒険し、失敗することを奨励し、失敗してもいつでも帰って来られる場所を作ることが必要です。



この二つの処方箋で、人々はより深い信頼関係を築くことができるでしょう。

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テーマ: 哲学/倫理学 - ジャンル: 学問・文化・芸術

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