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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

『Z女戦争』の悲壮感 

■ ももクロにとって敵とは何か


『Z女戦争』のPVが解禁となりました。

相変わらず賛否両論の嵐。
僕は「否」です。

わざわざ説明することではありませんが、全曲を肯定できるはず無いし、いろいろな層に向けて波状攻撃を仕掛けているももクロにとって賛否が出るのは喜ばしいことだと思います。
なぜならそれだけいろんな楽曲が作られている、ということですから。

人気曲に似た曲を作ってもオリジナルを超えないでしょう。それはそのまま頭打ちになり衰退するという結末がまってます。


僕は「今年も紅白は出れないかもしれない」と考えています。
残念ながらその論を強めてしまったのが『Z女戦争』です。
夏以降に発売するであろうシングル次第だとは思いますけど、今のままでは今年出場は無理ではないかな、と。

紅白で『Z女戦争』を歌ってる姿が想像できるでしょうか。
『走れ!』『ももクロのニッポン万歳!』の方がしっくりくるのではないでしょうか。
つまりファンの中で過去曲を超えてない。過去曲で紅白に出れてないんだから今のままで出れるはずがありません。

なぜここまで紅白の出方にこだわるかと言うと、日経エンタテインメントのあーりんの言葉があるからです。

「運じゃなく実力で出たい」

ももクロの中でもアイドルとしての核を担っている彼女が紅白出場の過程にこだわっている。
ならそれについていくだけです。


■ 『Z女戦争』の歌詞とPVに描かれる世界設定


すでに多くの方が鋭い考察をなさっています。
その中でも多く囁かれているのが、「敵=AKB48」ではないか、というもの。

歌詞にある「3時の方向」というのが秋葉原を指している、という意見があります。
またPVでのミサイルの弾道が「4」と「8」を示していると。
そのあとのシーンでミサイルの煙が「Z」を描いているので、弾道が何かを表しているのは確実でしょう。


そうなると大きな不信感が生まれます。

「運営はなんてことをももクロに課したのか」と。
(まさか僕が運営批判をすることになるとは。運営もスタッフも推してる「広義の箱推し」なんですけどね)


僕はももクロのすごさは敵を作らずにみんなを仲間にしていくところだと思っています。
参考:Aで始まる戦国絵巻はZが締める

ゼロ年代バトルロワイヤル形式に、戦うこと自体をエンターテインメントにしたAKB48に対し、90年代ジャンプ形式に、トーナメント方式自体を否定し「努力・友情・勝利」を魅せてくれるももクロ。


みんなに笑顔を届けるのがメンバー全員の願い。
何よりももクロのみんなはAKB48が大好きです。
その彼女たちに対し、意図とは無関係に「秋葉原方向に敵を発見。すべて叩き潰せ」と歌わせるなんて。

戦って勝つのではなく、戦いそのもののシステムを見直し全員笑顔になるのが願いだったのではなかったか。


僕は『Z女戦争』という「戦争」を冠するタイトルと、作詞作曲を手掛けたやくしまるえつこ氏の「私たち、この戦いが終わったら、みんなで合唱コンクールするんだ」というキャッチフレーズに強い期待を抱きました。

「これはものすごい曲がくるかもしれない」と。

ところが蓋を開けてみれば敵を叩き潰す物語。

『試練の七番勝負エピソード2』の「国際情勢」で獲得した彼女たちの想いはなんら反映されていない。

『Z伝説 終わりなき革命』は震災以降という強烈な物語、明確な敵が背景にあったけど、『Z女戦争』は戦争と名がついてるが戦争らしさが一切無い。
僕は本気でももクロは戦争を終結させるほどの凄さをもっていると信じて疑わないんだけど、曲からは戦争を止める気概が音からも声からも歌詞からも感じられず。

戦争という概念そのものをぶち壊す、戦争そのものを無くすためのデストロイなら大歓迎だった。
でもこの曲ではきっちりと「アイドル戦国時代」に組み込まれてしまっている。


「越えてゆけ屍も」という歌詞があるが、倒れた者を踏み台にするのではなく、倒れている者を起き上がらせるのがももクロではなかったか。

『Chai Maxx』が描くように、「敵は自分の中にあった」と、用意された大きな壁を乗り越えていくのがももクロではなかったのか。


僕は『Z女戦争』からは、運営側からの悪意を勝手に嗅ぎ取ってしまう。

当然ももクロはこんな壁すらも凌駕していくだろう。
でも一ファンの僕が「運営側はももクロちゃんのこと本当に理解してんのかよ」と思ってしまう。

もし遊び心で「3時の方向」と「ミサイルの弾道で4と8」をやったのだとしたら、ももクロちゃんに対して残酷なことをしているのだと自覚していただきたい。


■ 『Z伝説』と『Z女戦争』


「Z」を名に冠するのは『Z女戦争』が2曲目です。

『Z伝説 終わりなき革命』は、ももいろクローバーからももいろクローバーZになった出発の曲。
つまり『Z女戦争』は第2章ということでしょう。
参考:『Chai Maxx』から『PUSH』へ ももクロ新章突入

震災以降の物語に注目していた僕は『Z伝説 終わりなき革命』に魂を揺さぶられました。

ここで描かれている敵と救うべき存在は明確です。

敵は「悲しみの涙」であり、救うべき存在は「泣いている人」です。

大きな悲劇に見舞われ泣いている人に対し、全力で歌って踊ることで涙をぶちのめし、泣いている人と共に立ち上がり突き進む。

この単純で当たり前過ぎる力強さに僕は撃ち抜かれた。

みんなを笑顔にすることを絶対にあきらめない!もっと強くなれる!

このメッセージに涙をこぼしました。


そして『Z女戦争』へ。

これまでのももクロの曲では「学生とアイドルの両立」を比喩的に描いたものが少ない。

例えば『オレンジノート』などは学生の青春を描いているが、アイドルとの二足のワラジの苦悩は描いていない。

代表曲『行くぜ!怪盗少女』では比喩的に、日中学生で週末は怪盗になり笑顔と歌声を届ける、ということを描いている。


『Z女戦争』は等身大のももいろクローバーZを描いていると言えます。
普段は学生をしているが、敵を発見したらメカ女子高生に変身する。

学校生活も楽しみたい。学校生活を壊す奴は許さない。
戦いを繰り返しボロボロになった制服。
それでも彼女たちは戦うことをやめない。

このような内容です。

確かに彼女たちはボロボロになるまで戦ってくれたかもしれない。それをさせているのは我々かもしれない。

でも悲壮感は無かった。
無かったと思い込みたいだけかも知れません。
確かに彼女たちはプロで、振り付けの先生や演出家やマネージャーに毎日叱られているだろう。
それでも、「みんなを笑顔にする」という強い想いが彼女たち自身をも元気にしてきたと思い込んできました。


でも『Z女戦争』で描かれるのは、「もっと青春していたい」「ずっとみんなとはしゃいでいたい」「ほんとは誰かに甘えたい」という、女子高生とアイドルの両立に苦悩している姿だ。


あーりん論でも書いたが、確かに彼女たちは多くのものを失っている。
10代というはかなくて貴重で大切な時間をアイドルになることに使っている。

そんなことはわざわざ歌わせなくてもわかっている。
この曲のコンセプトを発注した人は何がしたいのか。
同情を買いたいのか?


Z伝説第1章として力強いスタートを切り、大躍進を続けている彼女たち。
2章のスタートにしてはいささかスピードダウンではないだろうか。


そして何度も言うが、戦場カメラマンの渡部陽一さんの言葉を受けての『コノウタ』、そしてハワイアンズでの『ももクロのニッポン万歳!』
その強い気持ちを反映させた曲を作るべきだったのではないか。

敵なんかいないんだ、と。
もっともっと笑顔にできる人たちが世界中で待ってるんだ、と。


敵を発見し、デストロイ(破壊)する姿はももクロからは想像できない。


■ 『Z女戦争』→『PUSH』→『みてみて☆こっちっち』


『Z女戦争』のPVでリーダーの百田夏菜子が道着を持っている。
これは『PUSH』へとつながっているのだろうとのご指摘があり、大変鋭いと思った。

彼女たちは戦い続けボロボロになった制服を脱ぎ捨て禁断のスイッチをPUSHすることで少女を超越していく。

そこには悲壮感など皆無だ。
もうあの時の友達のような関係には戻れない。
その覚悟を持ってスイッチを押す。

人間を超越した力を得た彼女たちはやがてトップに立つ。


その後「見て見て、見ててくれたらハッピーになれるよ」と、『Z女戦争』の頃の願いが叶う。
最高級のハッピーを届けるために戦ってきた少女たちは、ようやく報われたのだ。


そう考えると『Z女戦争』での運営側の悪意も意図が読めてくる。
あの時に漂ってた悲壮感は、このシングル3曲の助走期間のようなもの。
成長の幅をわかりやすくするための演出だったのか。


例えそうだとしてもAKB48敵視というのは受け入れることができないが。


AKB48を叩き潰すことが紅白への道なのか?
CD売り上げでAKB48よりも上位に来るのは紅白に大きく近づく一歩だろうけど、それは叩き潰すことではないだろう。


デストロイではなく、「負けたくない!」という姿から壁を乗り越え、その感動物語を見続ける。


『みてみて☆こっちっち』で描かれる下らないわちゃわちゃ感。
ものまねしたりバタ足したり逆立ちしたり。
5人が楽しそうに騒いでる姿が用意に想像できます。

そして「見ててくれたら頑張れる!」と言ってくれてます。


このシングルの最後が『みてみて☆こっちっち』で本当に良かったです。

この多幸感しかない曲。ずっと彼女たちを見続けたいと思わせる。
そして曲調もイントロとか途中のメロディとかすごいかっこいいし。



散々批判しましたが、ライブでの『Z女戦争』はすごくかわいいしかっこいいし盛り上がります!


ただ、過剰な文脈読みとしては我慢できないので批判させていただきました。


楽曲的に、ファンのこともしっかり考えコールも入れやすく、ももクロちゃんへの愛情あふれるのはやはり前山田さんですね。

彼女たちのこの限られた時間を描くのがとても上手なのはツキダタダシさんですね。

次のシングルはこのどちらかのA面曲で紅白出場だ!

テーマ: ☆女性アイドル☆ - ジャンル: アイドル・芸能