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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

ももクリ2014の感情を失ったままのロボットは何を意味するのか 

ももいろクリスマス2014をLV鑑賞してきました。

今回は「笑顔」がテーマだったということで、みなさんが指摘されているように国立2日目での夏菜子ちゃんの言葉に寄った演出だと思います。
物語はこうです。
ロボットがロボットを作ったのですが、どうしても笑顔になるという感情をプログラミングできません。
感情は合理的ではないとされ、少女型をしたロボットは笑顔を獲得しないまま社会を体験していきます。
やがて一粒の笑顔をもらうことでロボットは笑顔を獲得する。


ロボットというのはシステムの象徴だと思うんですけど、『世界が感情を取り戻す ももいろクローバーZ論』にも書いたように、社会システムは人々の感情を喪失させることで利便性を獲得してうまく回そうとしてきました。
わかりやすいのがコンビニです。
店員さんが誰なのかわからないけど買いたい物は苦労無く買えます。
一方昔ながらの八百屋さんなどは、店員さんの家族構成を知っていたり、店員さんもお客さんの息子が今年受験であることを知っていたり、そのおまけとして合格祈願に野菜を無料で追加してくれたりしました。
コンビニはスムーズ。昔ながらの八百屋は面倒です。手続きの面だけ見れば。

参照記事:世界が感情を取り戻す ももいろクローバーZ論
(注:本に収録したものの原型みたいなもので、加筆修正前のものです)


ではももクリ2014のオープニングに注目しましょう。

5人はそれぞれ白い仮面をかぶっており(演出上わかりませんがエンディングの映像でわかる)、そこに映像を映すという演出でした。
今はやりのプロジェクションマッピングというのでしょうか。
その映像は、最初ロボット化したれにちゃんが表情を変化させていき、やがていつもの笑顔のれにちゃんになる、というもの。
一人ずつそれを経て、最後の夏菜子ちゃんの番になると、他の4人の顔を様々に取り込んで、やがて笑顔の夏菜子ちゃんになる、という演出でした。

4人の笑顔を得て夏菜子ちゃんが笑顔になる、ということからひとつの文章が紡げそうですが、それは夏菜子ちゃん推しに任せましょう。
というかあえて書くまでもなくあの数秒にこれまでのももクロの物語が込められているし、フォーク村で披露されたkirorの『Best Friend』の歌詞にも描かれている通りです。


この記事で取り上げたいのは、「彼女たちもロボットだった」という点です。
つまりももクロは利便性を追求し感情が失われたシステムから脱却して笑顔になったということです。

わかりやすい話が、めんどくさいことをいっぱいしてきた、ということ。
めんどうなことの対価として笑顔を広められたのです。


オープニングのパフォーマンスでロボットが少女ロボットを作成しました。
少女ロボットはやがて笑顔を獲得します。
では少女ロボットを作ったロボットはどうなったのでしょう。

彼らはいまだ笑顔を獲得していません。
ももクロに出会えなかった彼ら(演出上、ももクロの衣装チェンジの時に登場しているので共演できない)は笑顔が獲得できない。
こういうストーリーがあった上で、ももクリ2日目の夏菜子ちゃんの最後の挨拶で「私たちのことを知らない人達は、みなさんが笑顔を広めていくことでみんなが笑顔になれば嬉しい」という主旨のことを言ったのではないでしょうか。


まとめます。
今回のストーリーには3つの背景があります。
一つ目はロボットだったももクロが笑顔になるストーリー。
二つ目はメインとなっている少女ロボットが笑顔を獲得するストーリー。
三つ目は少女ロボットを生み出したロボットはももクロと出会えずいまだに笑顔になっていないというストーリー。


一つ目はファンならばその歴史を知っているでしょう。
二つ目も自分自身を振り返ることで容易に蘇ってくるでしょう。
重要なのは三つ目です。
ももクロから何を学んだのか。そしてそれをどう表現していくか。

今回のももクリにはとても重要な社会的欠点が指摘されていたのでした。

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