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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

『「Z」の誓い』は誰のための歌なのか 【時空を離れた孤独な戦士へ向けて】 



『ドラゴンボールZ 復活の「F」』を鑑賞しました。
この映画に対して言いたいことはいっぱいあるんですけど、それは置いておくとして、エンディングテーマがももクロの新曲『「Z」の誓い』で、しかも歌詞付きでフルバージョンでした。
歌詞を読んでいるとドラゴンボールのあるキャラクターが頭に浮かびました。
それは本作には登場しないキャラクター(厳密には回想シーンのみ登場)です。

以下「復活のF」の軽いネタバレも含むので了承の上お読みくださいませ。



■ 誰が歌っているのか

以前この曲についてももクロの「Z3部作だ」と興奮気味に書きました。

参照:誓いを立てる覚悟はできたか 【Z3部作に描かれる戦いの歴史について】


今回アニメを見てからこの曲を歌詞と照らし合わせて聞くと、本作に登場しないキャラクターのための曲なのではないか、との思いが湧き上がってきました。

それはトランクスです。

彼はとても哲学的な存在です。未来から来たトランクスがいることで『ドラゴンボール』の世界はとても深みが増しています。

悟空が心臓病で死亡した世界。そしてその後人造人間17号18号がトランクスの父ベジータやピッコロ、クリリンなどを殺害した世界。
悟飯に弟子入りしたトランクスはその悟飯すらも殺されてしまいます。
それがきっかけでスーパーサイヤ人になったトランクス。でもまだ人造人間には敵いません。

過去に戻り孫悟空に心臓病の薬を渡します。それがきっかけで過去が改変されてしまいました。セルが誕生するもZ戦士の活躍により倒すことができ、トランクスは未来に戻ります。
しかしその未来というのは、歴史の改変の影響を一切受けないそうなのです。つまりトランクスはそのまま悟飯や父親を死なせた世界を生きていくのです。
強くなったトランクスは人造人間を一蹴し、ようやく平和が訪れました。多くの犠牲を払って。
(この世界はピッコロも神様も殺されてドラゴンボールが使えない世界なのです)


ではこれらを踏まえて『「Z」の誓い』の歌詞を読んでみましょう。


「悲劇が起きたら誰から勇気を教わればいいの」

「永遠だったはずの未来でさえも コワレモノと知って 人は戦士に生まれ変わる」

「未来守る者をHEROと呼ぶ この星ではずっと愛や希望が継がれてきた」


象徴的な3つを抜き出してみましたが、まさにトランクスのことを歌っていると感じます。

前回の記事で「Z3部作というのは震災後を描いた曲だ」としました。
「永遠だったはずの未来が壊れた」というのは3.11のことだと感じ、そこからスーパーヒロインにならざるを得なかったももクロを想起したからです。

ですがトランクスの物語を知ると、仲間や師匠悟飯が殺され誰からも勇気を教われなかったトランクスが過去の戦士たちから勇気を学び、修復不可能な未来(つまりトランクスにとっての現在)を覚悟して戦士となり、孤独でも未来を守り続けたトランクスのための歌であると気付きます。


■ 破壊神ビルスは今後何を破壊するのか

ここから先は完全なる僕の妄想です。

前作『ドラゴンボールZ 神と神』では破壊神ビルスという万物の頂点に立つ絶対者が登場しました。
付き人としてウイスもいますが、実力から見てもビルスを導いているのはこのウイスなのでしょう。
そして今回ウイスは数分だけ時間を巻き戻せることを明かしました。

次回作はきっとトランクスがメインで、ビルスとウイスが関係するお話になるでしょう。
そのためエンディング曲が『「Z」の誓い』だったのです。
「復活のF」のエンディング曲であり、次回作のオープニング曲でもあったわけです。


未来に戻ったトランクスが孤独のヒーローとなり地球を救った世界。
そこに悪の心に染まった魔人ブウが出現します。
もはや助かる道が無いと悟ったトランクスは、母のブルマが作った手料理を最後の晩餐とします。
ブルマは誰ともなく天にこの世界を救って欲しいとヤケクソ気味で叫びます。
するとウイスがブルマからご馳走の報告が来たと勘違いし、修行中の悟空とベジータと寝起きのビルスを連れて違う宇宙へと飛び立ちます。

魔人ブウが人々をお菓子にするも、それが不味そうに感じ、それよりもブルマの手料理に舌つづみを打つビルスとウイスは、この世界の魔人ブウを破壊することに決めます。
ですが互角の勝負となり決着がつかずにやがて双方とも勝負に飽きてしまいます。

スーパーサイヤ人ゴッドの力を持つベジータとトランクスのフュージョンにより魔人ブウを撃破。
時空を超えて父から多くを学んだトランクスは、ウイスからすべての時間を巻き戻し悟空が死ななかった世界と統一しないかと提案されます。トランクスが存在する宇宙を破壊することで時空を統一しようということらしいのです。おそらく違う時空のブルマに呼ばれたと勘違いしたことが絶対者として恥ずかしかったのでしょう。
でもトランクスはその提案を断ります。

なぜなら
「次は私の番 小さな夢を守るんだね 闇のその先には朝が待っている」からであり、「悩み迷うことも任務さチームZ」だからです。
過去に飛び立ち多くの仲間から学び、現在に戻ってきて再び父親から大切なものを得たトランクスは、すべてなかったことにするという楽な選択肢は選ばないのです。
失ったものはもう戻らない。それでも生き残ったものたちだけで生きていく。それが戦士トランクスの決意でした。それこそが「Zの誓い」なのです。


トランクスが主人公となる映画をぜひ作っていただきたいですね。
そして『「Z]の誓い』が破壊神ビルス3部作のラストを飾るテーマソングになることを祈って。



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