実存浮遊
映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。
2015.09.29 Tue. 01:07 :edit
今、『内村さまぁ~ず THE MOVIE エンジェル』を見なければならない
誰にでも決して譲れないものがある。それを失ったら自分が自分で無くなってしまうというものが誰にでも存在する。
それは尊厳と呼ばれるもので、今この瞬間、我々は尊厳の危機にさらされ続けている。
安保法案という耳心地のいい単語だけど実際は憲法を踏みにじるような法案だったり、国会の存在意義を崩壊させるような強行採決だったり。あるいは児童ポルノ法という名で、被害者の児童がいないにも関わらずイラスト表現を規制しようとしたり。
日々尊厳喪失の危機にさらされまくっていて、もはや一人がすべてを把握することなど不可能な状況だ。そしてきっとこれらは国民をバカだと思ってる偉い奴らが波状攻撃を仕掛けてる。
その「頭が良い偉い奴ら」は特定の人たちではなく、おそらく「多数派の意見」や「思い込みの善意」や「私利私欲」や「見栄」や「他国への配慮」などなどが絶妙で極悪なバランスでぐちゃぐちゃに混ざり合った何かだ。
だから何かを批判したり攻撃したりしたところで、言ったその人がすっきりするだけで終わってしまい、結局またあらたにぐちゃぐちゃとブレンドされてもっと取り返しのつかない厄介な何かに変貌を遂げていく。
前置きが長くなったけど、僕にとって尊厳とは「おもしろいこと」であり、「お笑い表現」が封殺されたらもう終わりだと思っている。だからこそみんなで『内村さまぁ~ず エンジェル』を見ようぜ!と大きな声で言いたい。早い話が。
内村さまぁ~ずTHE MOVIE エンジェル公式サイト
■ 内さまとゴッドタン
映画『内村さまぁ~ず』は、現在配信中・テレビ放映中の『内村さまぁ~ず』とは関係無い。だから番組のファンじゃなくても100%楽しめる。関わっている人たちが『内村さまぁ~ず』スタッフ多めというぐらい。それと物語中に登場するちょい役の芸人達はかつてこの番組に登場したことがある人たちがほとんどだが、だからと言ってその役と番組ゲスト回の関連があったわけではないので、「内さま」を見たことがなくても楽しめる。
バラエティ番組の名前で映画になることも珍しいし、その映画がバラエティとまったく関係無い物語であるということもおかしい。
ただ『内村さまぁ~ず』という言葉がそこにあるだけで素晴らしいと思わずにいられない。
『内村プロデュース』の後発番組として位置づけられていると思うが、「内P」は毎週革新的なことを披露して熱狂的なファンを多く生み出したのに対し、「内さま」は毎回ゲストMCが代わり企画も様々あるが、基本はウッチャンとさまぁ~ずのトリオがそこにいる、というスタイルでファンを増やしている。
またよしもと芸人が出られないということも大きいのではないかと思う。バラエティ番組を見ればよしもと所属芸人が毎日のように登場し、非よしもと芸人のみというのはあまり無い。
これに近いものでテレビ東京の『ゴッドタン』がある。こちらもよしもと芸人があまり出ず、10年近く続いており、しかも番組のコーナー名がつけられた映画が2本も作られている。
バラエティ番組は僕にとってとても大事なものだ。
小学六年の時にはウッチャンナンチャンの『SHA.LA.LA』やダウンタウンの『ガキの使いやあらへんで』を見まくっていたから、24年ぐらいお笑い好きだ。
今のバラエティ番組は昔の「ヤバさ」が一切無くなってしまった。すでにお笑い表現は規制されまくっているのだ。
これ以上お笑いが侵害されては困る。「いやいや、これ以上は規制されないでしょ。ゴッドタンはまだしも内さまに限って規制されるようなことはないでしょ」などとおっしゃる方もいるでしょう。
でもたばこ税や酒税を見てください。いくらでも税金が上がっていきます。特にたばこは嫌いな人も多いせいか歯止めが利かない有様です。
誰かに嫌われるだけで虐げられてしまうような社会になってしまったのです。
■ 表現を守る戦い
『ポルノグラフィ防衛論』という著書でフェミニストに、ポルノ嫌いの法学者ナディーン・ストロッセンの、表現の自由を守るためにポルノ表現を守るという決意が記されています。
つまり自分の好き嫌いとは別の場所に表現の自由を守る意義があるのです。
自分が嫌いだから無視したり否定したりすることがゆくゆくは表現の自由(つまり尊厳)が奪われてしまうことになるのです。
ここで僕は提唱したい。
「表現を守る戦い」から「表現を見守る笑い」へ、と。
『内村さまぁ~ず』は危険な表現やヤバい表現などありません。(ただ、三村さんが下ネタを言うのでこれに嫌悪した人が規制を訴える可能性もありえますが)
ですが、批判派がいなくても賛成派が少なければ終わってしまいます。
視聴率ではもはやおもしろさなど測れません。みんなで見て、みんなでおもしろいと口々に言い続けるしかないのです。
行動しないせいで自分たちの手でお笑い表現を無くしてしまう。こんな愚かなことはあるでしょうか。
ただこの映画を見て、笑って、見守っているだけで、素晴らしいお笑い表現は生き残っていくと思います。
民意とは行動によって表現されます。何もしなければ失敗とみなされて終わりなのです。
自分たちの好きなものを自分たちの行動をきっかけにしてみんなで守っていく。
『内村さまぁ~ず THE MOVIE』は今見なければならない映画です。
わざわざ映画館に行き、チケット代を払って、85分間暗闇の中で静かにする(実際は笑わずにいられませんが)。
めんどくさいことを乗り越えて獲得しなければならないもの。それが尊厳なのです。
同じ過ちを繰り返してはいけません。
自分たちの尊厳は自分たちの行動で民意を表明し、守り抜く。
「内さま」を見てるだけで幸福な社会に近づけるのですから儲けものです。
最寄りの「内さま」上映劇場を調べ、スケジュールを組みましょう。
まずはそこからです。
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