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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

アイドル漫画論 


アイドルは週刊少年ジャンプのようでなければならない。

以前、ももクロと90年代後半の週刊少年ジャンプとの類似点について書きました。
ももクロは戦いというものを放棄した戦闘美少女であるという内容です。
90年代後半のジャンプは『スラムダンク』では全国大会の2回戦目に勝利したところで物語が終了し、『幽★遊★白書』では魔界統一トーナメントが開催されるも内容は描かれず、『ドラゴンボール』では天下一武道会が開催されるも魔人ブウの生まれ変わりを見つけた悟空は二人で修行の旅に出てしまい物語が終了します。
ジャンプの看板漫画がトーナメントものを否定しているのです。
これは国立競技場で百田夏菜子が「みんなに笑顔を届けるという部分で天下を取りたい」と宣言したこととつながってます。

『スラムダンク』や『幽★遊★白書』や『ドラゴンボール』やももクロは、いきなり戦いを放棄したわけではなく、その前の段階がありました。
それは強敵を倒し、さらに強い敵が登場し、敗北し、努力し、友情パワーで強敵を倒す、というジャンプ的展開です。
つまりある程度の規模になるまではジャンプ的展開がアイドルにも必要だということです。
ももクロもかつてはアウェイと思われる対バンでファンの声援とともに戦ってきました。
そして対バン相手をももクロファンにしてしまうという戦い方をしてきたのです。
アウェイであればあるほど輝きを増すももクロはまさに強敵を相手にワクワクするジャンプキャラのようです。


■ 悟空は誰か

モーニング娘。'15の鞘師里保が卒業した時にこのような記事を書きました。

鞘師里保以降の時代をどう生きるか

12歳でモー娘。に選ばれ17歳で卒業した彼女はまさにジャンプキャラのようでした。
センターを努めダンスパフォーマンスはどのメンバーよりも破壊力がありました。反面おっちょこちょいで食べ物をこぼしたり一般常識を知らないという場面もありました。
決めるときはかっこよく決めるのにドジなところがあり憎めない愛されキャラが鞘師里保です。
モー娘。の中で孫悟空を決めるとしたら間違いなく鞘師里保でしょう。そして先の記事ではベジータは石田亜佑美だとしました。
孫悟空無き今、モー娘。はどうなってしまうのか。
孫悟空がいない『ドラゴンボール』などありえないのと同じように、新たな孫悟空が誕生するのではないか、と期待しています。
原作になぞらえるならば、悟空がウーブを見つけたように、鞘師里保は佐藤優樹に可能性を見出したのではないかと信じています。
鞘師里保好きを公言している女優の松岡茉優は小田さくらのすごさも語っていました。佐藤優樹と小田さくらのダブル主人公も良いのではないでしょうか。

ももクロの場合は百田夏菜子が孫悟空で玉井詩織がベジータです。
百田夏菜子に大食いという設定が加わればほぼ孫悟空と一緒でしょう。
天真爛漫、知識が無い、みんなに愛される、本番に強いなどなど。

『アイドル感染拡大』の表紙を飾ってくださった2&Sakiも典型的な孫悟空タイプです。
普段は頼りないのにステージ上では異彩を放ちます。ですが知識が乏しい。
ここまで書くと、「センターはバカに任せろ」と読めてしまいますが、そこはみなさんの判断にゆだねます。

知っているアイドルグループの中に孫悟空タイプはいるか、ベジータタイプは誰かなど考えてみるのも楽しいかと思います。
そしてもし孫悟空タイプがいるとしたら絶対にセンターでなければなりません。ベジータタイプがセンターの場合売れないでしょう。


■ 『スラムダンク』から『弱虫ペダル』へ

ジャンプ的展開と言えば、「強敵を倒すとさらに強い敵が登場する」というストーリーのほかにも「強敵が仲間になる」というものがあります。
先程から名前が出ている『ドラゴンボール』のベジータや、『ダイの大冒険』のヒュンケル、『幽★遊★白書』の飛影など、強敵だったキャラがのちに仲間になります。

アイドルの場合は対バンした相手グループと一緒のグループになることはなかなか難しいです。
言わば部活動のようなもので、それぞれ別の高校同士でインターハイを目指しているような感覚と言えるでしょう。
この記事の最初の方で、戦いを放棄するのはある程度の規模になってからでなければならない、というようなことを書きました。
はじめはライバル校同士切磋琢磨することが大事なのです。

『スラムダンク』では翔陽を倒し、陵南を倒し、という具合に次々にライバル校を撃破していきますが、決して共に戦うことはありませんでした。
(ですので神奈川県オールスターズとも言えるイラストに大変興奮した記憶があります。まさに幻のドリームチームです)

ヒントは『弱虫ペダル』にあると思います。
ジャンプの漫画ではありませんが、『スラムダンク』を読んだ人が『弱虫ペダル』を読めば設定が似ていることに気付くはずです。
元気な赤毛の男、クールなオールラウンダー、頑固な主将、ど素人の主人公などなど、『スラムダンク』の主人公チームと設定が似ています。
言わば『スラムダンク』の意志を継いでいる漫画として取り上げさせていただきました。
『弱虫ペダル』にあって『スラムダンク』に無いもの。それは「協調」です。

「協調」とはライバル校同士で集団を作り先頭を走る選手を交互に入れ替えていくことです。
ライバルなのに協力して走ることに衝撃を受けました。
『スラムダンク』では絶対に起こらないことだったからです。
そしてここにアイドル界が更に発展するために必要なことが記されているのではないかと感じました。

FNS歌謡祭のアイドルコラボの時、指原莉乃とももクロプロデューサー川上アキラとである話がなされたそうです。
誰もが「第2回ゆび祭り」を思い浮かべたことでしょう。
FNS歌謡祭でもアイドルグループが混合で互いの代表曲を歌いました。
そこには互いのファン同士がひとつになるという幸せな空間が広がっていました。

自分の好きなものだけが絶対であり、それ以外をけなし続ける、ということを続けていては共に疲弊していくのが目に見えています。
お互いにたたえ合い、時には一緒になってひとつの目標に突き進む。
個が尊重され過ぎて孤独を加速させてしまった現代社会にとってこれは新たなる希望だと思います。
普段はお互いバラバラだけど、大事な時には共に協力し合う。

「好敵手と書いてライバルと読む」

アイドルもファンも、相手を潰せば勝ちという不毛なゲームで戯れるのではなく、共に成長していき時に協力し合う関係性こそが重要なのだと思います。


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