実存浮遊
映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。
2012.08.25 Sat. 19:22 :edit
映画『桐島、部活辞めるってよ』から「うまく生きる」のではなく「輝いて生きる」ことを学ぶ
■ 映画『桐島、部活辞めるってよ』は青春映画なのか
『桐島、部活辞めるってよ』を見てきました。
評論家の中森明夫がおもしろい解釈をしていて、ツイッターでもおもしろいという声をよく見ていたのでどのような内容なのか気になって鑑賞しに行ってきました。
青春映画の最高傑作ではないし、日本の学校に存在する「あるある感」は描かれているので見る人によっては何か残る映画でしょう。
中森明夫の「桐島=キリスト」という解釈はおもしろいな、と思います。
「青春映画ではなく青春映画批評だ」というのも。
この映画は、桐島という人物に生徒たちが振り回される物語です。
その桐島という人物が劇中に登場せず、振り回される生徒たちの心情を察することで観客は桐島という人物を想像する。
そして対比するかのように「桐島に振り回されない人物」も描かれている。
以下、ネタバレを含む感想なので了承の上お進みください。
あらすじは簡単です。
学校で一番の有名人らしいバレー部部長(ポジション:リベロ)の高校2年生桐島がバレー部を辞めるらしいという噂が広まる。
親友の菊池も学校一人気女子で桐島の彼女である梨紗もそのことを知らされてなかった。
辞める理由もわからず、本人とも連絡がつかないまま土日へ。
桐島を欠いたバレー部は試合に惨敗し、菊池も梨紗もずっと連絡が取れないまま月曜日を迎える。
桐島が学校に来ているらしいという情報が入り必死に探し回る生徒たち。
だがすでに桐島の姿は無い。
喪失感を抱いたまま生徒たちは壊れてしまった学校生活に戻っていく。
■ 物語を進める3人の部長
冷静に考えてみるとこの物語は滑稽だ。
桐島というひとりの生徒に振り回され、必死に彼を求める姿は意味不明に映る。
ただ生徒たちの人間関係やセリフ、表情、居場所などを見ることで、それらが違和感無く入り込んでくる。
ここが「青春映画・胸に刺さる・過去を思い出す」という感想に結び付く理由だろう。
とても魅力的な菊池という生徒は、帰宅部同然ながら野球部の誰よりもうまくバスケットもうまいし、成績優秀らしく女子生徒にも人気の人物であるし、桐島の彼女は学校一人気の女子であるし彼女自身も「桐島が彼氏だ」ということがステータスと化している面もあるようだ。
この背景だけで「桐島ってどんだけ凄い奴なんだ」と我々に想いを抱かせる。
映画は『明日、君がいない』や『運命じゃない人』のように同じ時間を視点を変えることで何度も描く。
だがこの2作の映画と違うことは、視点を変えようが物語の謎は明らかにならないところだ。
桐島の謎は謎のままで、不安を抱えた彼らの視線だけが移り変わり、観客は謎と不安を増幅させられる。
この物語には桐島以外に3人のキャプテンが登場する。
主人公である映画部部長の前田涼也(神木隆之介)。吹奏楽部部長の沢島亜矢(大後寿々花)。野球部キャプテン(高橋周平)。
この3人が桐島と無縁の存在であることで、彼らと桐島に翻弄される生徒たちが関わることで物語は進行していく。
屋上でサックスの練習をするフリをしながらバスケで時間をつぶし桐島を待つ菊池を眺める少女。
菊池にすでに彼女がいることを知っているが、憧れる想いを捨て去ることはできない。
そして部長としてみんなをまとめるシーンでも全然魅力的では無い沢島亜矢。
だが彼女が菊池への恋を断念することで吹奏楽の演奏はこれまでにないほどの美しさを奏でる。
3年の野球部キャプテンは菊池から「夏が終わったのになぜ引退しないのか」と聞かれ「ドラフトが終わるまではな」と答える。
菊池よりもうまくないし、ドラフトの期待があるわけでもないのに(つまり強い動機、理由があるわけでもないのに)野球を続けるキャプテンの姿に菊池は自己が揺らぐ。
そう、菊池はなんでもでき女子にもモテモテに見えるが、実は何もできない男なのだ。
桐島が意味不明な行動を取ったごときで、桐島が菊池の理解を超えた程度で動揺してしまうような男なのだ。
映画部部長の前田(神木隆之介)は、顧問から学園青春映画を撮れと言われるが自身が撮りたいゾンビ映画の撮影を敢行する。
当然顧問から目を付けられるが、部員たちからは「今までで一番楽しい」と評価を得る。
そして桐島を探しに駆けつけた生徒たちを襲うゾンビ映画を完成させる。
チープでグロく、無意味であり、フィルムも汚いゾンビ映画。
美少女のヒロインが美しく喰い殺される素晴らしいゾンビ映画。
フィルムにおさめる事はできなかったが前田は壊れてしまったビデオカメラでそれらを写し続ける。
そしてアカデミー賞を目指すでもなく、ただ映画を撮りたいという想いだけがある姿に、またしても菊池は打ちのめされるのだ。
■ 菊池が魅力を失う物語
言わば『桐島、部活辞めるってよ』は、菊池が打ちのめされる物語だ。
かわいい彼女がいて、学校一の人気者を親友に持ち、勉学もスポーツも優秀な菊池が、それでも救われない物語だ。
いつまでも野球を捨てられない3年キャプテンや、恋にやぶれた魅力的じゃない吹奏楽部部長や、ただゾンビ映画を撮りたいだけの映画小僧(彼の映画知識がまた絶妙だ。僕程度でもわかるような映画知識を得意げに披露するところが青春の痛々しさを表現している。塚本晋也監督の『鉄男』を見てる女の子に恋をしちゃうところなんてわかりやす過ぎる!)。
明らかに自分より下の奴らが輝いている事に打ちのめされる。
当然菊池は彼らを「下」に見てないしそんな表現はしない。
それぐらい菊池は「できた奴」なんだ。
この映画は極めて矮小であり、普通に考えれば「たったそれだけの事で?」と意味不明なことばかりだろう。
だが、うまく振舞って楽しそうに生活を送っている奴らが、実はまったく魅力的ではないことをあぶりだしている。
この物語に桐島が登場しないのは、登場できないからだ。
桐島を見たことがない我々の脳内でしか生きられない登場人物。
桐島と関わったことがある人物だけ見ていると、映画が終わりに近づくにつれて魅力を失っていくのがわかるだろう。
彼らだけが馬鹿みたいに校内を走り回る。
そしておそらく、彼らのような人物しかいない学校だからこそ桐島は飽きたのだ。
愚直なまでに野球を続けるキャプテン。
大人になることで美しい演奏を奏でる部長。
古き良き映画を撮り続けたい部長。
もし桐島が彼らと関わることがあったとしたら、それはとても凡庸ではあるがとても楽しい学園生活だったのではないかと、ありえない夢想をしてしまう。
(バレーボールにおいてリベロというのが特殊なポジションであることからも桐島を考察ことはできるだろう。リベロはバレーのローテーションによってコートに出たり入ったりするポジションであり、決して自分では点数を取ることができないポジション、攻撃ができないポジションなのだ)
作中、桐島が可視的になるシーンが2回ある。
屋上から下のフロアに飛び降りるシーンと、屋上の出入口から後光をまとい階段を降りるシーンだ。
校内を熟知しているであろう生徒達に出会うことも無く、彼はそのまま姿を消す。
ずっと見ることができなかった観客にとって桐島はようやく出現した人物、後光が差すほどの人物に映る。
だが偶然居合わせた前田涼也にとってはなんの感慨も無い場面にしか見えない。
彼にとってはゾンビ映画こそが美しい。
ゾンビ映画に出演すらできない菊池は、連絡がつかない桐島に電話をかけ続けてしまう。
『桐島、部活辞めるってよ』は良い奴で魅力的だったはずの菊池が色を失っていく映画なのだ。
『桐島、部活辞めるってよ』を見てきました。
評論家の中森明夫がおもしろい解釈をしていて、ツイッターでもおもしろいという声をよく見ていたのでどのような内容なのか気になって鑑賞しに行ってきました。
青春映画の最高傑作ではないし、日本の学校に存在する「あるある感」は描かれているので見る人によっては何か残る映画でしょう。
中森明夫の「桐島=キリスト」という解釈はおもしろいな、と思います。
「青春映画ではなく青春映画批評だ」というのも。
この映画は、桐島という人物に生徒たちが振り回される物語です。
その桐島という人物が劇中に登場せず、振り回される生徒たちの心情を察することで観客は桐島という人物を想像する。
そして対比するかのように「桐島に振り回されない人物」も描かれている。
以下、ネタバレを含む感想なので了承の上お進みください。
あらすじは簡単です。
学校で一番の有名人らしいバレー部部長(ポジション:リベロ)の高校2年生桐島がバレー部を辞めるらしいという噂が広まる。
親友の菊池も学校一人気女子で桐島の彼女である梨紗もそのことを知らされてなかった。
辞める理由もわからず、本人とも連絡がつかないまま土日へ。
桐島を欠いたバレー部は試合に惨敗し、菊池も梨紗もずっと連絡が取れないまま月曜日を迎える。
桐島が学校に来ているらしいという情報が入り必死に探し回る生徒たち。
だがすでに桐島の姿は無い。
喪失感を抱いたまま生徒たちは壊れてしまった学校生活に戻っていく。
■ 物語を進める3人の部長
冷静に考えてみるとこの物語は滑稽だ。
桐島というひとりの生徒に振り回され、必死に彼を求める姿は意味不明に映る。
ただ生徒たちの人間関係やセリフ、表情、居場所などを見ることで、それらが違和感無く入り込んでくる。
ここが「青春映画・胸に刺さる・過去を思い出す」という感想に結び付く理由だろう。
とても魅力的な菊池という生徒は、帰宅部同然ながら野球部の誰よりもうまくバスケットもうまいし、成績優秀らしく女子生徒にも人気の人物であるし、桐島の彼女は学校一人気の女子であるし彼女自身も「桐島が彼氏だ」ということがステータスと化している面もあるようだ。
この背景だけで「桐島ってどんだけ凄い奴なんだ」と我々に想いを抱かせる。
映画は『明日、君がいない』や『運命じゃない人』のように同じ時間を視点を変えることで何度も描く。
だがこの2作の映画と違うことは、視点を変えようが物語の謎は明らかにならないところだ。
桐島の謎は謎のままで、不安を抱えた彼らの視線だけが移り変わり、観客は謎と不安を増幅させられる。
この物語には桐島以外に3人のキャプテンが登場する。
主人公である映画部部長の前田涼也(神木隆之介)。吹奏楽部部長の沢島亜矢(大後寿々花)。野球部キャプテン(高橋周平)。
この3人が桐島と無縁の存在であることで、彼らと桐島に翻弄される生徒たちが関わることで物語は進行していく。
屋上でサックスの練習をするフリをしながらバスケで時間をつぶし桐島を待つ菊池を眺める少女。
菊池にすでに彼女がいることを知っているが、憧れる想いを捨て去ることはできない。
そして部長としてみんなをまとめるシーンでも全然魅力的では無い沢島亜矢。
だが彼女が菊池への恋を断念することで吹奏楽の演奏はこれまでにないほどの美しさを奏でる。
3年の野球部キャプテンは菊池から「夏が終わったのになぜ引退しないのか」と聞かれ「ドラフトが終わるまではな」と答える。
菊池よりもうまくないし、ドラフトの期待があるわけでもないのに(つまり強い動機、理由があるわけでもないのに)野球を続けるキャプテンの姿に菊池は自己が揺らぐ。
そう、菊池はなんでもでき女子にもモテモテに見えるが、実は何もできない男なのだ。
桐島が意味不明な行動を取ったごときで、桐島が菊池の理解を超えた程度で動揺してしまうような男なのだ。
映画部部長の前田(神木隆之介)は、顧問から学園青春映画を撮れと言われるが自身が撮りたいゾンビ映画の撮影を敢行する。
当然顧問から目を付けられるが、部員たちからは「今までで一番楽しい」と評価を得る。
そして桐島を探しに駆けつけた生徒たちを襲うゾンビ映画を完成させる。
チープでグロく、無意味であり、フィルムも汚いゾンビ映画。
美少女のヒロインが美しく喰い殺される素晴らしいゾンビ映画。
フィルムにおさめる事はできなかったが前田は壊れてしまったビデオカメラでそれらを写し続ける。
そしてアカデミー賞を目指すでもなく、ただ映画を撮りたいという想いだけがある姿に、またしても菊池は打ちのめされるのだ。
■ 菊池が魅力を失う物語
言わば『桐島、部活辞めるってよ』は、菊池が打ちのめされる物語だ。
かわいい彼女がいて、学校一の人気者を親友に持ち、勉学もスポーツも優秀な菊池が、それでも救われない物語だ。
いつまでも野球を捨てられない3年キャプテンや、恋にやぶれた魅力的じゃない吹奏楽部部長や、ただゾンビ映画を撮りたいだけの映画小僧(彼の映画知識がまた絶妙だ。僕程度でもわかるような映画知識を得意げに披露するところが青春の痛々しさを表現している。塚本晋也監督の『鉄男』を見てる女の子に恋をしちゃうところなんてわかりやす過ぎる!)。
明らかに自分より下の奴らが輝いている事に打ちのめされる。
当然菊池は彼らを「下」に見てないしそんな表現はしない。
それぐらい菊池は「できた奴」なんだ。
この映画は極めて矮小であり、普通に考えれば「たったそれだけの事で?」と意味不明なことばかりだろう。
だが、うまく振舞って楽しそうに生活を送っている奴らが、実はまったく魅力的ではないことをあぶりだしている。
この物語に桐島が登場しないのは、登場できないからだ。
桐島を見たことがない我々の脳内でしか生きられない登場人物。
桐島と関わったことがある人物だけ見ていると、映画が終わりに近づくにつれて魅力を失っていくのがわかるだろう。
彼らだけが馬鹿みたいに校内を走り回る。
そしておそらく、彼らのような人物しかいない学校だからこそ桐島は飽きたのだ。
愚直なまでに野球を続けるキャプテン。
大人になることで美しい演奏を奏でる部長。
古き良き映画を撮り続けたい部長。
もし桐島が彼らと関わることがあったとしたら、それはとても凡庸ではあるがとても楽しい学園生活だったのではないかと、ありえない夢想をしてしまう。
(バレーボールにおいてリベロというのが特殊なポジションであることからも桐島を考察ことはできるだろう。リベロはバレーのローテーションによってコートに出たり入ったりするポジションであり、決して自分では点数を取ることができないポジション、攻撃ができないポジションなのだ)
作中、桐島が可視的になるシーンが2回ある。
屋上から下のフロアに飛び降りるシーンと、屋上の出入口から後光をまとい階段を降りるシーンだ。
校内を熟知しているであろう生徒達に出会うことも無く、彼はそのまま姿を消す。
ずっと見ることができなかった観客にとって桐島はようやく出現した人物、後光が差すほどの人物に映る。
だが偶然居合わせた前田涼也にとってはなんの感慨も無い場面にしか見えない。
彼にとってはゾンビ映画こそが美しい。
ゾンビ映画に出演すらできない菊池は、連絡がつかない桐島に電話をかけ続けてしまう。
『桐島、部活辞めるってよ』は良い奴で魅力的だったはずの菊池が色を失っていく映画なのだ。
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« 08/25のツイートまとめ
08/24のツイートまとめ »
この記事に対するコメント
さかもとさんこんばんわ!
桐島。
神木君(前田)が主役かと思いきや菊池の映画でしたねw
何でもこなしてしまうカッコイイ野郎が他人の青春に触れ「俺ってなんもねえ・・・。」と涙を流す。
菊池の心が動いていく様が、特にキャプテンの素振りをする姿を見つけて咄嗟に物陰に身を隠すシーン、あれはとても印象深いです。
っと、菊池はもちろんですが、この映画では登場キャラ全員がとても愛おしい!w
捨てキャラ0ですね!
特に沢島さんのいじらしさったらもうっ!w
梨紗と沙奈の薄っぺらいクソアマっぷりも最高!笑
タケちゃんみたいな友達いたいた!w
みたいな笑
この群像劇は観客として客観的に観る事ははもちろん、
「あ、俺あの世界にいたぞ」ってな具合に錯覚出来るくらいの距離感でストーリーを描いている所が素敵だなー、と。
観ていてかなり心地よかったです。
桐島キリスト説は面白いですね!
まあキリストに関しての知識はほぼ0ですが笑
桐島神格化。
彼は作中で唯一「あるある」ではない登場人物でした。
完全に余談ですが、僕は桐島という人物にはまったく魅力を感じなかったのですが、それは僕が無宗教だからでしょうか?笑(どうでもいい)
話を菊池に戻して、
おっしゃるとおり、周りを決して下に見ない「できた奴」っぷりには、僕は人としての憧れを抱かざるを得ませんでした。
うっかりナメてしまいそうなほど弱弱しいキャプテンへの受け答えですとか(菊池がそういう奴だってことをわかっているからこそ、キャプテンも心を許しているのかも)、
ラストの屋上での前田との会話であったりとか。
そんなできた奴も、クソアマ同様(失礼)現代病ともいえるようなよくある言ってしまえば虚無の学生生活を送る学生でした。
夢とか希望とか特に無く、ただ日常を浪費するだけの・・・。
ある時、夜遅くにキャプテンがひたむきにバットを振り「夢」を実現するべく努力している姿に遭遇してしまう。
そこに何か後ろめたさを感じ、咄嗟に身を隠す菊池。すごく好きなシーンです。
この時に彼のクールな心が動き出した訳ですね。
後日、学校で偶然キャプテンと会った時の会話でキャプテンの現実と捨てきれない夢に触発され、
日曜の試合に出ると伝えようとするも、キャプテンに遮られてしまう・・・。
ラストの屋上での前田との会話。
カメラの事を嬉しそうに楽しそうに話す前田に、菊池は軽い気持ちで「夢は映画監督ですか?笑」と。
フィルムカメラのセンチメンタルな画を通して帰ってきた前田の答えは意外にも重たく、「そうなれれば最高だけど、僕は無理かな・・・。」
ここでも現実と夢を突きつけられた菊池に、カメラを向けて前田が聞き返す。
自分には何も、何も無いことに気付き、泣きながらオロオロしだす菊池。
彼はクールで多くを語らず一見ミステリアスでなんでも出来ちゃうひたすらにカッケェ奴ですが、ここで見せた人間味には感動させられました。
最後の最後、涙目で校舎を後にするシーン。
野球部の練習に足を止める菊池。
(これは蛇足ですが、菊池はこの後野球部に戻ったのではないでしょうか。)
そんなこんなで、僕は虚無の菊池に色が付いた(色が戻った)映画だと解釈しました。
いやはやお目汚し失礼致しました。
すごく回りくどく感想なんだかよくわからない文になってしまいましたが、投下させて頂きますっ!笑
お恥ずかしい話ですが普段文を書かないものですから、推敲も特にしておりませんw
お手柔らかにお願いしますw
今作は見終わった直後よりも、後からじわじわ効いてくる映画でした。
大して本数見ておりませんが、今まで見た邦画の中でもかなり好きな作品です。
桐島。
神木君(前田)が主役かと思いきや菊池の映画でしたねw
何でもこなしてしまうカッコイイ野郎が他人の青春に触れ「俺ってなんもねえ・・・。」と涙を流す。
菊池の心が動いていく様が、特にキャプテンの素振りをする姿を見つけて咄嗟に物陰に身を隠すシーン、あれはとても印象深いです。
っと、菊池はもちろんですが、この映画では登場キャラ全員がとても愛おしい!w
捨てキャラ0ですね!
特に沢島さんのいじらしさったらもうっ!w
梨紗と沙奈の薄っぺらいクソアマっぷりも最高!笑
タケちゃんみたいな友達いたいた!w
みたいな笑
この群像劇は観客として客観的に観る事ははもちろん、
「あ、俺あの世界にいたぞ」ってな具合に錯覚出来るくらいの距離感でストーリーを描いている所が素敵だなー、と。
観ていてかなり心地よかったです。
桐島キリスト説は面白いですね!
まあキリストに関しての知識はほぼ0ですが笑
桐島神格化。
彼は作中で唯一「あるある」ではない登場人物でした。
完全に余談ですが、僕は桐島という人物にはまったく魅力を感じなかったのですが、それは僕が無宗教だからでしょうか?笑(どうでもいい)
話を菊池に戻して、
おっしゃるとおり、周りを決して下に見ない「できた奴」っぷりには、僕は人としての憧れを抱かざるを得ませんでした。
うっかりナメてしまいそうなほど弱弱しいキャプテンへの受け答えですとか(菊池がそういう奴だってことをわかっているからこそ、キャプテンも心を許しているのかも)、
ラストの屋上での前田との会話であったりとか。
そんなできた奴も、クソアマ同様(失礼)現代病ともいえるようなよくある言ってしまえば虚無の学生生活を送る学生でした。
夢とか希望とか特に無く、ただ日常を浪費するだけの・・・。
ある時、夜遅くにキャプテンがひたむきにバットを振り「夢」を実現するべく努力している姿に遭遇してしまう。
そこに何か後ろめたさを感じ、咄嗟に身を隠す菊池。すごく好きなシーンです。
この時に彼のクールな心が動き出した訳ですね。
後日、学校で偶然キャプテンと会った時の会話でキャプテンの現実と捨てきれない夢に触発され、
日曜の試合に出ると伝えようとするも、キャプテンに遮られてしまう・・・。
ラストの屋上での前田との会話。
カメラの事を嬉しそうに楽しそうに話す前田に、菊池は軽い気持ちで「夢は映画監督ですか?笑」と。
フィルムカメラのセンチメンタルな画を通して帰ってきた前田の答えは意外にも重たく、「そうなれれば最高だけど、僕は無理かな・・・。」
ここでも現実と夢を突きつけられた菊池に、カメラを向けて前田が聞き返す。
自分には何も、何も無いことに気付き、泣きながらオロオロしだす菊池。
彼はクールで多くを語らず一見ミステリアスでなんでも出来ちゃうひたすらにカッケェ奴ですが、ここで見せた人間味には感動させられました。
最後の最後、涙目で校舎を後にするシーン。
野球部の練習に足を止める菊池。
(これは蛇足ですが、菊池はこの後野球部に戻ったのではないでしょうか。)
そんなこんなで、僕は虚無の菊池に色が付いた(色が戻った)映画だと解釈しました。
いやはやお目汚し失礼致しました。
すごく回りくどく感想なんだかよくわからない文になってしまいましたが、投下させて頂きますっ!笑
お恥ずかしい話ですが普段文を書かないものですから、推敲も特にしておりませんw
お手柔らかにお願いしますw
今作は見終わった直後よりも、後からじわじわ効いてくる映画でした。
大して本数見ておりませんが、今まで見た邦画の中でもかなり好きな作品です。
URL | MaBoRoSy #mQop/nM.
2012/08/26 01:34 * 編集 *
大事なことを書き忘れました。
橋本愛は美しい
・・・笑
橋本愛は美しい
・・・笑
URL | MaBoRoSy #mQop/nM.
2012/08/26 01:54 * 編集 *
MaBoRoSyさんへ
コメントありがとうございます!> 桐島神格化。
> 彼は作中で唯一「あるある」ではない登場人物でした。
> 完全に余談ですが、僕は桐島という人物にはまったく魅力を感じなかったのですが、それは僕が無宗教だからでしょうか?笑(どうでもいい)
桐島がどういう人物か描かれてませんからね。
しかも物語が進むにつれて桐島崇拝者の脆弱性があらわになっていく。
結局ダセエ奴らの集まりだっただけ?みたいな。
唯一すれ違った映画部員の彼らは桐島に気付くことすらありませんでしたからね。
> そんなできた奴も、クソアマ同様(失礼)現代病ともいえるようなよくある言ってしまえば虚無の学生生活を送る学生でした。
> 夢とか希望とか特に無く、ただ日常を浪費するだけの・・・。
思えば菊池は一切笑うことがありませんでしたね。確か。
飯食ってるところも無いし。
全然人間味がありませんでした。
> 最後の最後、涙目で校舎を後にするシーン。
> 野球部の練習に足を止める菊池。
> (これは蛇足ですが、菊池はこの後野球部に戻ったのではないでしょうか。)
なるほど。
僕は永遠に現れない桐島をいつまでも待ち続けるような気がしてなりません。
「できる奴はなんだってできるし、できない奴は何もできない」というセリフで、我々には菊池こそが前者だと思い込んでましたが、実は後者だったということではないかな、と。
当然野球の試合に出れば彼の活躍で勝つんでしょうけど、菊池にとって野球の勝利は無意味の最たるものなわけですからね。
> 今作は見終わった直後よりも、後からじわじわ効いてくる映画でした。
> 大して本数見ておりませんが、今まで見た邦画の中でもかなり好きな作品です。
この秋に『鍵泥棒のメソッド』が公開されますが、同監督の『運命じゃない人』もぜひご覧になってください!
あと僕はショートカットの女の子が好みでした!(笑)。
URL | さかもと #-
2012/08/26 09:20 * 編集 *
実果ちゃんですかね!
彼女も良かった!
あどけない顔立ちをしていますが、無表情にとても魅力がありました。
終幕後に菊池が野球部に戻るというくだりは、完全に憧れからくる希望的観測ですw
故に、物語的にも映画的にも完全に蛇足ですw
エンドロールでは登場人物の名前の横に所属する部活が()内に書かれていましたが、菊池のところだけは空白でした。
なぜここまで菊池に惹かれるのか、先の感想を書きながら一つの説が浮かんできました。
菊池と玉井詩織は似ている。
僕が以前から玉ちゃんに対して感じていた魅力の一つに菊池は通ずるところがある気がしました。
この説は酒の席での与太話として是非披露したいので、今度遊んでください笑
菊池に飯の描写がないのは確かに!ですね。
これも関係ない話になりますが、僕の聞いているラジオ番組で
映画(創作物全般)に対してのFOOD理論を提唱している回があります。
とても面白いのでお暇がありましたら聞いてみてください!w
彼女にかかればクライマックスのゾンビが食い散らかすシーンもFOOD描写になるのでしょうw
http://www.tbsradio.jp/utamaru/2009/11/food.html
http://www.tbsradio.jp/utamaru/2009/11/food_1.html
http://www.tbsradio.jp/utamaru/2012/04/421_food.html
http://www.tbsradio.jp/utamaru/2012/04/421_food_1.html
鍵泥棒のメソッド、予告編で気になりました!
いつの大河か覚えていませんが、香川照之が豊臣秀吉を演じていらっしゃいましたが、その頃から香川さんは何か好きな役者さんです。
運命じゃない人、是非観てみようと思います!
レンタルショップで単館系のDVD探すと、なかなか見つからないですよねー><;;
最後に実果役の清水くるみちゃんの画像置いていきますw
http://matome.naver.jp/odai/2132313930102947701/2132314320103045303
ではまた!
彼女も良かった!
あどけない顔立ちをしていますが、無表情にとても魅力がありました。
終幕後に菊池が野球部に戻るというくだりは、完全に憧れからくる希望的観測ですw
故に、物語的にも映画的にも完全に蛇足ですw
エンドロールでは登場人物の名前の横に所属する部活が()内に書かれていましたが、菊池のところだけは空白でした。
なぜここまで菊池に惹かれるのか、先の感想を書きながら一つの説が浮かんできました。
菊池と玉井詩織は似ている。
僕が以前から玉ちゃんに対して感じていた魅力の一つに菊池は通ずるところがある気がしました。
この説は酒の席での与太話として是非披露したいので、今度遊んでください笑
菊池に飯の描写がないのは確かに!ですね。
これも関係ない話になりますが、僕の聞いているラジオ番組で
映画(創作物全般)に対してのFOOD理論を提唱している回があります。
とても面白いのでお暇がありましたら聞いてみてください!w
彼女にかかればクライマックスのゾンビが食い散らかすシーンもFOOD描写になるのでしょうw
http://www.tbsradio.jp/utamaru/2009/11/food.html
http://www.tbsradio.jp/utamaru/2009/11/food_1.html
http://www.tbsradio.jp/utamaru/2012/04/421_food.html
http://www.tbsradio.jp/utamaru/2012/04/421_food_1.html
鍵泥棒のメソッド、予告編で気になりました!
いつの大河か覚えていませんが、香川照之が豊臣秀吉を演じていらっしゃいましたが、その頃から香川さんは何か好きな役者さんです。
運命じゃない人、是非観てみようと思います!
レンタルショップで単館系のDVD探すと、なかなか見つからないですよねー><;;
最後に実果役の清水くるみちゃんの画像置いていきますw
http://matome.naver.jp/odai/2132313930102947701/2132314320103045303
ではまた!
URL | MaBoRoSy #mQop/nM.
2012/08/26 11:24 * 編集 *
MaBoRoSyさんへ
コメントありがとうございます!> あどけない顔立ちをしていますが、無表情にとても魅力がありました。
ショートカット好きなんですよね(笑)。
立場的にも上位グループに合わせて生きるという微妙な位置で良かったです。
> エンドロールでは登場人物の名前の横に所属する部活が()内に書かれていましたが、菊池のところだけは空白でした。
> なぜここまで菊池に惹かれるのか、先の感想を書きながら一つの説が浮かんできました。
確かに彼だけが()でしたね。
いろいろ想像させる感じでした。
> 僕が以前から玉ちゃんに対して感じていた魅力の一つに菊池は通ずるところがある気がしました。
> この説は酒の席での与太話として是非披露したいので、今度遊んでください笑
ぜひまた集まりましょう!
モノノフシネマハスラー会やりましょう!(笑)。
> これも関係ない話になりますが、僕の聞いているラジオ番組で
> 映画(創作物全般)に対してのFOOD理論を提唱している回があります。
シネマハスラーの本持ってます!
『冷たい熱帯魚』のコーヒーについて論じたところは確かになと思わされました。
ジョジョでも敵役はおいしそうに食事をするシーンが描かれません。
> 運命じゃない人、是非観てみようと思います!
> レンタルショップで単館系のDVD探すと、なかなか見つからないですよねー><;;
そうなんすよね。TSUTAYAにはあると思うんですけどね。
『アフタースクール』がメジャーデビュー作みたいになってますけど、僕は『運命じゃない人』の方が好きです。
本当は『明日、君がいない』も見ていただきたいところです。
こちらはとても悲しい物語です。
どちらも「桐島」の金曜日のように視点を変えて描いていきます。
URL | さかもと #-
2012/08/26 19:23 * 編集 *
正に『無駄に生きるな、熱く死ね!』ですね。(なんてキャッチフレーズの映画が昔あったような…)
『桐島…』見たいですね!菊地は天才故の苦悩みたいな感じなんですかね?器用貧乏?とにかく最近ももクロ三昧で映画から離れていたので、久しぶりに見に行こうと思いました。
とは言ったものの、長野県はいつから上映されるのか?から調査しないと…下手すれば上映しないという…
私も『運命じゃない人』好きで、人にお勧めの邦画を聞かれた時は毎回『運命じゃない人』を紹介してます。
しかし、大抵発見できないという報告が…
『桐島…』見たいですね!菊地は天才故の苦悩みたいな感じなんですかね?器用貧乏?とにかく最近ももクロ三昧で映画から離れていたので、久しぶりに見に行こうと思いました。
とは言ったものの、長野県はいつから上映されるのか?から調査しないと…下手すれば上映しないという…
私も『運命じゃない人』好きで、人にお勧めの邦画を聞かれた時は毎回『運命じゃない人』を紹介してます。
しかし、大抵発見できないという報告が…
URL | J・フェニックス #-
2012/08/27 16:54 * 編集 *
J・フェニックスさんへ
コメントありがとうございます!> 正に『無駄に生きるな、熱く死ね!』ですね。(なんてキャッチフレーズの映画が昔あったような…)
なんでしたっけね。聞いたことありますが。
> 『桐島…』見たいですね!菊地は天才故の苦悩みたいな感じなんですかね?器用貧乏?とにかく最近ももクロ三昧で映画から離れていたので、久しぶりに見に行こうと思いました。
賞賛コメントが多いので期待値が上がってしまいましたが、僕はDVD買うほどではないと思います。
僕の中ではDVD買いたくなるかどうかが基準です。
まぁ飽きずに最後まで見れたのでよかったのではないかなと。
> 私も『運命じゃない人』好きで、人にお勧めの邦画を聞かれた時は毎回『運命じゃない人』を紹介してます。
>
> しかし、大抵発見できないという報告が…
青森のビデオレンタル店なんて全然置いてないっすよ!
おもしろいと思うんですけどねぇ。
主人公の友人の探偵さんが好きで、彼が他のドラマ見てるとつい良い奴だと思ってしまいます(笑)。
URL | さかもと #-
2012/08/27 21:32 * 編集 *
通りすがりに失礼します。
こんにちは。最近、桐島を見たばっかりで、とても興味深い記事だったのでコメントさせていただきました。
最後、菊池は何で泣いたのか。
ずっと、疑問に思っていました。
〉明らかに自分より下の奴らが輝いている事に打ちのめされる。
当然菊池は彼らを「下」に見てないしそんな表現はしない。
それぐらい菊池は「できた奴」なんだ。
そうなんですよね、本来(の彼のポジション)ならば、野球部のキャプテンや前田の姿に打ちのめされるはずがないだろう。もし、本当に彼らを下に見ていたのならば。
だけど、彼は「できた奴」なんですよね。だからこそ、劣等感は無くとも、コンプレックスは無くとも、自分という存在を客観視も主観視もできた。そして・・・。
何が正解かはわからないし、見た人の分だけ色々な解釈がある。
だけど、この記事を見させていただいて、私の中で、すこし謎が解けた気がしてうれしくなり、コメントさせていただきました。ありがとうございます。
では、ずいぶん前の記事へのコメント、失礼しました。笑
URL | ちびた #-
2013/03/25 00:25 * 編集 *
ちびたさんへ
コメントありがとうございます!> だけど、彼は「できた奴」なんですよね。だからこそ、劣等感は無くとも、コンプレックスは無くとも、自分という存在を客観視も主観視もできた。そして・・・。
>
> 何が正解かはわからないし、見た人の分だけ色々な解釈がある。
> だけど、この記事を見させていただいて、私の中で、すこし謎が解けた気がしてうれしくなり、コメントさせていただきました。ありがとうございます。
>
> では、ずいぶん前の記事へのコメント、失礼しました。笑
映画の感想についてコメントをもらえないのでかなりありがたいです(笑)。
この映画は神木隆之介君が輝く映画というよりも、菊池が段々輝きを失っていく映画だと思いました。
桐島が隣にいたことで輝いてたのが、不在になった途端に輝きを失う。
なんでも器用にこなせるがゆえに不器用な人たちの輝きに負けてしまう。
彼には理解できませんがすごさが伝わってきたはずです。
桐島もすごい。でも映画とか野球にただ意味も無く打ち込み続けている彼らもすごい。
自分に何も無いことに気付いた菊池は野球部の輝きには入り込めなかったんじゃないかな、とラスト思いました。
でも最後野球部に参加したと見る人もいますね。
いろんな解釈ができておもしろい映画でした。
URL | さかもと #-
2013/03/26 06:29 * 編集 *
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