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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

エヴァ新劇場版Qの脱宮崎駿と、新たな聖書についての予測 


■ ヱヴァンゲリヲン新劇場版Qは宮崎駿との決別宣言だ



『ヱヴァンゲリヲン新劇場版Q』を鑑賞しました。

以下ネタバレを含む感想のためご了承の上お進みください。





ストーリーは前作「破」から14年後の世界。

「破」のラスト、綾波を救うために引き起こされたニアサードインパクトによりシンジは初号機に取り込まれてしまい、それを奪還する作戦から「Q」は始まる。

アニメを知らない僕でも伝わってくるほどの衝撃的なアニメーション技術がめまぐるしく展開される。

ニアサードインパクトにより壊滅的打撃を受けた地球。
葛城ミサトを艦長とする巨大母艦AAAヴンダーに連れてこられたシンジは事態を飲み込めない。

碇ゲンドウがサードインパクトを目的としていたことに反旗を翻した者たちで結成されたヴィレは、ネルフと対立していたのだ。

ゲンドウは、シンジと渚カヲルをエヴァ13号機に乗せフォースインパクトを引き起こそうとする。
もう二度とサードインパクトのような事態を起こしたくない葛城大佐率いるヴィレ。


シンジは救ったはずの綾波を想う余り、クローンである綾波に誘引されネルフ側につく。

サードインパクトが起きたことで目的が達成されたゼーレの者たちはすでに電気信号のみの存在となっており、電源が落とされることでこの世から消え去った。
碇ゲンドウはファイナルインパクトを引き起こすために最後の仕上げを目論んでいるようだ。


シンジとカヲルにより引き起こされたフォースインパクト後の世界で、シンジとアスカとレイが歩みを始めようとしたところで物語は終了する。




今作は良い意味でも悪い意味でもファンを裏切った作品と言えるだろう。

「序」はオリジナルに対してアニメーション技術での圧倒的な差を見せつけた。
「破」はオリジナルとは違う急展開を見せつけた。
では今作「Q」では何をわれわれに見せつけてくれたのか。
それは『新世紀エヴァンゲリオン』との決別だ。



すでに指摘されているように、『新世紀エヴァンゲリオン』は碇ゲンドウである宮崎駿と碇シンジである庵野英明との関係性の物語だ。


宮崎作品でアニメーターとして活躍した庵野英明。
その呪縛から抜け出さないことには宮崎駿を越えることはできない。

碇ゲンドウからほめてもらいたいシンジ君。
そしてゲンドウを越えられないシンジ君。

庵野英明はガイナックスという「エヴァンゲリオン」を獲得したことにより、ゲンドウを乗り越えようとする。

宮崎作品のほぼすべてに登場する少女の主人公たち。
なので少女のヒロインにシンジが救われてしまうのでは宮崎駿の呪縛から抜け出せないままだ。

なので葛城ミサトが重要になってくる。


だが『新世紀エヴァンゲリオン』ではテレビシリーズでも劇場版でも乗り越えることはできなかった。
少女たちやゲンドウに祝福されて終わったり、ミサトではなくアスカを選ぶ結末しか用意できなかった。
ただ、そのロリータヒロインに「気持ち悪い」と言わせる程度に留まった。



■ オリジナルと新劇場版の違い



「Q」はオリジナルのエヴァンゲリオンを脱却するために作られた作品だ。
ガイナックスが生み出した化け物を乗り越えるための作品。
宮崎駿の呪縛から抜け出すための作品。


その方法はいささか強引だ。
すなわち、キャラクターを増やすことで希釈したのだ。

エヴァンゲリオンは13号機まであり、しかも初号機はすでに原型を留めていない。
女性キャラも増えており、しかもシンジが選ぶのは男の姿をしていて、さらに使途であるカヲルだ。
ロリ脱却の答えは腐女子だったのだ。

さらに言うと、このカヲルは第1使徒から第13使徒へと堕ちており、ここでもオリジナル版を希釈させるという徹底っぷり。


また、オリジナルではクローンであることが明かされる綾波だが、我々の前に登場した綾波は最後まで「綾波性」を保っていた。
だが「Q」ではよりクローンらしさを強調しており、「綾波性」は感じられない。
より人間らしさを失っており、シンジが差し出す本の意味すらも理解できない有様だ。


次回作のタイトルは『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。
オリジナル版の表記に戻しています。
正式な表記はサイトを見ていただきたいのですが、タイトルの最後に記号がついています。
これは音楽の記号みたいで、ループを意味するようです。

新たなエヴァンゲリオンに着地するのか。
それとも「神」となったエヴァンゲリオンを見せるのか。


ユイの魂の中に入り、ユイの肉体とも言えるレイを助けたことで引き起こされたニアサードインパクト。
母胎での近親相姦という何重にも重なったタブーを犯した罰であるかのようです。
しかも新劇場版ではインパクトも段階を踏む必要があるらしいのです。

14歳の男の子を愛することで使徒から堕天使となったカヲル。
シンジはここでも何もできないままフォースインパクトを引き起こしてしまいます。


彼は何も知らされないし、何もできない。
物語の冒頭で目覚めた時にミサトさんから詳しい説明を受けていればエヴァ13号機に乗ることも、ネルフ側につくこともなかったのに、彼は何も教えてもらえません。


『新世紀エヴァンゲリオン』のままでは宮崎駿を乗り越えることができず、タイトルを変え、設定を変え、エヴァンゲリオンらしさを抜いたが、結局はアスカとレイ(の姿をしたクローン)と3人で歩む道を選ぶより他なかった。

過去を脱ぎ捨て、エヴァンゲリオンらしさも捨てた「Q」。
だがまだまだエヴァンゲリオンを越えていない。
シンジとアスカとレイ。
エヴァを象徴するこの3人でのエンディングはまさにそういうことだろう。

そしていよいよ『シン・エヴァンゲリオン』である。

新たなエヴァンゲリオン。
宮崎駿を脱却するためのエヴァンゲリオン。

そのための「序・破・Q」であるはずだ。
14年前に死ななかったミサトさんが大きな鍵になるのではないかと予想している。

ヴンダーの艦長であるミサト。
そしてヴンダーとはエヴァ初号機をベースに作られている。

ユイでもレイでもなく、エヴァパイロットでもないミサトとセックスをすることでシンジはやっと大人になれるのではないか。
オリジナル版での「大人のキスよ、帰ってきたら続きをしましょ」というセリフの答えが描かれるのではないだろうか。


ロリではなく熟女。
エヴァではなくヴンダー。
セックスできないままアスカでオナニーするだけで終わってしまった旧エヴァ。

つまり、永久にセックスしない宮崎駿作品に対し、主人公とヒロインがセックスする作品へ。

母胎から引きずりおろされ、母親のクローンすら失った少年は、熟女であるミサトとセックスすることで大人になる。

宮崎駿に勝てるのは主人公がセックスするかしないか、ということ。
そして、「新たな聖書を作れるのか」ということだ。



■ 聖書を塗り替えるヱヴァンゲリヲン


『シン・エヴァンゲリオン』は新たな聖書になろうとしている。

エヴァンゲリオン自体は人が作ったもの。
ゲンドウが操るものでしかない。

なのでエヴァンゲリオンでの世界の更新はありえない。
なぜならこれでは庵野は何も乗り越えていないからだ。


庵野はあらたな聖書を創り出そうとしているのだ。

だからゼーレをあっさり退出させた。
ゼーレとは人類に知恵を与えたとされる上位の存在だった。
言わばエヴァンゲリオンというストーリーを操り、セカンドインパクトを起こした存在。
そのゼーレすら必要としないエヴァ新劇場版。


あらたなキリストとしてのシンジ。

キリストはさまざまな苦難の果てに奇跡を起こすが、シンジは「シン」でどんな姿を我々に見せてくれるのだろうか。
名のとおり「神」へとなってしまうのか。
それとも聖書を越えられずキリスト同様磔刑になってしまうのか。

庵野英明の聖書越えに注目したい。
エヴァは2000年語り継がれるアニメとなるのだろうか。





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