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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

映画『NINIFUNI』から唯一性の奇跡を見る 


ももいろクローバーが本人役で出演することで話題になった『NINIFUNI』を見た。
『ユリイカ』に出演した宮崎あおいの兄宮崎将が主演。

ネタバレを含むので了承の上お進みください。


タイトルは「而二不二」という仏教用語らしく、意味は「2つの面から見ること。だがそれはひとつであるということ」となるようです。


主人公は強盗をして逃亡中の男。
浜辺で車を停め練炭自殺をします。

その浜辺ではももいろクローバーが『行くぜっ!怪盗少女』を歌います。
歌の撮影に車が映り込むことはなく、自殺事件の存在はプロデューサーらしき男しか知りません。


ももクロの怪盗少女と言えば夏菜子ちゃんのえび反りジャンプが有名です。
この映画でもそのシーンはおさめられているのですが、それは自殺した男がいる車内から目張りされた窓ガラス越しに見させられるのです。遥か遠くで、こもった演奏とともに。


而二とは物事を二つの側面から見ること。
不二とは物事は二つで一つということ。


練炭自殺する男がいる空間も、ももクロが朝日に照らされてキラキラと輝きながら踊る空間も、すべてはひとつです。
それがこの世。
でもももクロ側からは練炭自殺の存在は見通せず、自殺した男の側(つまりももクロを知る前の我々!)からは音も小さくて聞こえず6人も遠くて何をやっているのかわかりません。


わかりやすい陰と陽。静と動。負と正。
「彼ももっと早くももクロに出会っていればもしかしたら」という問いかけは無駄であることが、すでに映画タイトルによって示されている。
自殺する者もいて、輝ける者もいるのがこの世だと。


そしてこの自殺した男が宮崎将という配役にも注目しておきたい。
彼は『ユリイカ』で殺人の敷居が低い少年を演じました。
いつでも人を殺せるような少年です。
つまり彼は元々この社会を生きていない男の象徴として配役されている。

社会に存在する何者も彼を社会にとどめておくことができない。
一方で強烈なまでにこの社会に引き止めてくれる存在としてももいろクローバーが配置されている。


だからこの映画を見た者はふたつの感想を用意しなければならない。

ひとつは、この社会は自分とはまったく無縁の酷薄なものである。
もうひとつは、この社会は光り輝くとてつもなく素晴らしいものである。


たまたま我々にはももいろクローバーが可視的であったに過ぎない。




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テーマ: 映画感想 - ジャンル: 映画

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