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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

地下アイドルの激増と相互救済 

ここ最近地下アイドルのイベントにばかり参加している。

ライブハウスなどで行われる地下アイドルのパフォーマンスはまるでインディーズロックバンドのような熱量で迫ってくる。
そしてバラエティ豊かなキャラクター設定は、まるで乱立した頃のインディーズプロレス団体のようだ。

インディーズロックバンドも、インディーズプロレス団体も、どちらもファンは応援の仕方が一方向的であり単調と言える。インディーズアイドルのオタクの振る舞いに比べると。


地下アイドルのファン達はまさに有象無象。
地下アイドルのファン(以下地下ヲタとする)は「TO」と呼ばれるトップオタや「おまいつ」(お前いつでもいるな、の略)と呼ばれる名物地下ヲタなどが場の空気を支配する。

地下アイドルはこの気違いじみた狂乱の中パフォーマンスを披露する。
ちなみに僕の「気違い」は褒め言葉だ。
「混沌こそ我が墓碑銘」
混乱し、破壊してこその人生。


ロックもプロレスも、ファンの声援に左右される事はあまり無いだろう。
だが地下アイドルはファンに大きく左右される。
正確には、ファンに左右されているように見える。


地下アイドルの数だけ狂乱がある。
ライブ会場に行くと地下アイドルよりも地下ヲタに目を奪われる事が多々ある。

メジャーアイドルのファンの場合、小規模では「レス」と呼ばれるアイドルからの目配せや指差しをもらうための振る舞いや格好となる。主にアイドル公式のTシャツやペンライトやサイリウム、または特殊な声援方法などだ。
大規模になるほどファンは画一的になる。なぜならアイドルは数千人のファンのすべてに目が届くわけがなく、ステージに近ければレスをもらいに行く振る舞いができるが、ステージから遠くなることでレスをもらうアピールは「やっても無駄感」が出る。

地下ヲタの場合、キャパシティが100人以下のところが多く、客が20人に満たない場合もあるので、全員がレスをもらえる。
つまりレスをもらいに行く振る舞いなどそもそもしなくていいのである。
それよりもいかに現場を盛り上げるかに力を注ぐ。
純粋に地下アイドルの応援ということに純化している地下ヲタもいれば、ただ騒ぐ事に特化している地下ヲタもいる。
多種多様で地下ヲタの数ほど騒ぎ方が存在する。


まだまだアーティストとして未熟とも言える地下アイドルの後押しをするように多彩な応援を見せる地下ヲタ。


地下ヲタに対抗するために地下アイドルはアーティスト的パフォーマンスに特化していくグループがいる一方で、独自の路線を開発していくグループも存在する。
むしろアーティスト系に特化していくグループはヲタ芸ができずに会場では盛り上がらず、独自路線で突き進むグループはヲタ芸も共に育っていき会場は熱狂に包まれる。

個人的には祭り騒ぎが好きなので独自路線系が好き。
歌やダンスがうまい人を見ても、「うまいな」とは思うけどそれ以上にならない。


■ 地下アイドルの多様性


数少ない現場経験の中から出会ったグループの中から、特に目を引いたグループを紹介したい。

ももクロファンの僕としてはやはりももクロコピーユニットでかなり高まる。
最近のももクロは座席があって振りコピがやりづらいが、地下現場は客数が少なくスペースが広いため自由に振りコピができる。
振りコピ以外にも地下ヲタの多種多様な応援の仕方を見ることができるのが地下現場のおもしろいところだ。


まずは「クレヨン日記

リアル姉妹ユニットで、なぜかいつもゴーグル。
ももクロのコピーや他にも様々なメジャーアイドルのコピーがメイン。
元々ももクロファンからのつながりで紹介してもらったのだが、クレヨン日記を皮切りに様々な地下アイドルに出会うことができた。
ここの強ヲタが最高に良い人たちで落ち着く。

ちなみに僕は妹のゆーちちゃん推しです。


クレヨン日記と仲が良い5人組ユニット「PIECE

燃焼系ユニットを自称しており、ライブ中の盛り上がりがすごい。
特にステージと観客席を掌握するリーダーの池城由美さん(ちゃん付けできない。なんか)の人間的な力強さはぜひとも見て欲しい。
パフォーマンスとして特筆すべきは、由美さんが観客席に降りてきて脚立に上がり誘導棒を光らせて観客を煽る姿は唯一無二だ。

ちなみに僕はあやぴーちゃん推しです。
ショートカットの杏ちゃんもかわいいんですけどね。


大和撫子

先日見て度肝抜かれたのがこのグループ。
歌唱力が高いんだけど、それよりもすごいのがパフォーマンス。
曲中にファンと酒を酌み交わすのだ。
ある時には一升瓶をファンと回し飲みするらしい。
ファンと杯を交わすという任侠。
AKB48の高橋みなみ似の牡丹さんが姉御肌っぽくて人間味が出ています。


童謡アレンジ「さっちゃん

童謡をロック調やテクノ調にアレンジして歌うアイドル。
ここはヲタとの掛け合いがすごくおもしろい。
曲中の熱狂っぷりもすごいが、MC時の干しっぷりがすごい。
拍手も無し。自己紹介をしても声援も無し。「次が最後の曲です」と宣言しても無反応。仕舞いには全員座り込む始末。
もちろんこれらすべてがヲタ芸なのだが、こういうのは今まで見たことがなかったのでとても新鮮だった。
応援しないことが応援。しかもパフォーマンス中はしっかり盛り上げる。
干されっぷりとのギャップがかなりおもしろい。


柊木りお

さっちゃんとは正反対の凄みを見せつけるのが「りおりお」こと柊りおだ。
抜群の歌唱力と、それを上回るほどの扇動力。
彼女のパフォーマンスはもはや柊りおという宗教だ。
イメージカラーの黄色で彩られた観客席は煌々と黄色のペンライトが光る。
「りおりおを推す義務を与える」という名のレス配りは一見の価値有り。
ここまで明確に「私だけを推して」と訴えるアイドルはなかなかいない。



■ 「さっちゃん」と「りおりお」の予期理論


宮台真司の論文に『権力の予期理論』というのがある。

権力についての論考であり、かなり高度な論文で高卒の僕にはしっかり読み込めていないのだが、とてもわかりやすい例題が載っていてこれが強烈に残っている。

「予期」というのは「あらかじめ期待していること」ということです。
社会というのは「信頼」を「期待」することで回ります。
例えば会ったことも無いし素性もわからないような人物にお金を渡し、望んでた商品が手元に来ると思えるのはお会計システムを信頼し、そのようになると予期しているからです。

宮台真司は「おだてられることでサービスしてしまう八百屋店主」の例を出す。
この店主はおだてに弱く、客が店主を褒めるとサービスで野菜をあげてしまう。

この場合、店主と客のどちらが権力者なのか。
客としては褒めれば野菜がもらえるわけだから、店主を操ることができると言える。
だが逆に考えると、店主は野菜をあげることで褒めてもらえるわけで、店主としては客を操作しているとも言えるのだ。


では「さっちゃん」と「りおりお」に話を移す。
この二人はファンの応援が正反対だが方向性は同じだ。

りおりおは「私を推しなさい」とわかりやすい。
さっちゃんはファンに声援をもらえないという干されっぷりを見せるが、これは彼女があえて干させている。
つまり彼女はこの状況で声援が欲しいのではなく、声援が起こらないで欲しいのだ。
その意味で彼女はしっかり観客を操作している。


これは「マゾ的サド」「サド的マゾ」という構図でも説明できる。
「マゾ的なサド」はマゾに奉仕する振る舞いのサディストである。
「サド的なマゾ」はサドにいじめさせてやるという主導権を持つマゾヒストである。

あえてあてはめると、りおりおがマゾ的サド。
さっちゃんがサド的マゾ、という構図だ。


ここで強引だが結論を出す。
地下アイドルと地下ヲタは相互に熱狂していく構図が重要だ。
これにはお互いの信頼が重要であり、一方的な独りよがりなパフォーマンス(ヲタも含む)では盛り上がらない。

アイドルのパフォーマンスに惹きつけられファンが独自の声援を送る。
それを受けてアイドルがパフォーマンスに変化を加え、それに答えるようにまたファンがさらに進化した応援法を編み出す。

この相互作用により会場は見たこともないような状況になる。


これはあくまで独自路線系アイドルのほんの一例であり、アーティスト系に突出したアイドルもいればカメラ小僧をメインの客層にしているアイドルもいる。
だが僕がももクロから得たものが一番色濃く感じ取れるのはこの「独自路線系」のアイドルだ。

ももクロは独自のMIXがあったりメンバーの名前を含むコールがあったりと、ファンの応援の仕方に独自性がある。
現在はかなり一般層がファンになっており、ヲタ成分がかなり薄まっている。
なので地下ヲタのような気違いじみた応援法は今後確立されることが無い。
(ももクロ運営はファンがペンライトや同一コールで一体化することを演出の一部にしようとしているので、それはそれでありだと思っています)


最後に、地下アイドルは「物販ブース」もかなり重要な要素であり、物販芸も考察すべきなのだが、時間がまったく足りないのでこのフィールドワークのまとめはいずれ行いたい。


最後の最後に、クレヨン日記に誘ってくれた方が言った「ヲタが推せないとアイドルも推せない」というのは名言だと思った。

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テーマ: LIVE、イベント - ジャンル: 音楽

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この記事に対するコメント

同郷の

同郷のアイドル・伊藤桃さんも
チェックしてみて下さいな。
彼女のライブ、行ってみたいです。

URL | にしま #-

2013/07/08 23:55 * 編集 *

にしまさんへ

コメントありがとうございます!


> 同郷のアイドル・伊藤桃さんも
> チェックしてみて下さいな。
> 彼女のライブ、行ってみたいです。


まだ見たことないですね。
青森にこんなかわいい子いたんですね(笑)。

原宿のアストロホールでワンマンってすごいですね!
行ける時にイベント行っといた方いいですよー。
地下アイドルは売れちゃって会えなくなる可能性と辞めちゃう可能性と両方ありますから。

URL | さかもと #-

2013/07/09 08:13 * 編集 *

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