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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

玉井詩織はなぜ尾崎豊の『卒業』を歌ったのか 【玄冬LV観戦記】 

ももいろよばなし第2弾『玄冬』のライブビューイングを観戦してきました。

正直なところさほど期待はしておらず、むしろ翌日同会場で行われる「おしいろマンハッタンなんてこったパンナコッタ」の方がオールスタンディングということもあって大変気になっていたのでした。
運良く両日新宿LVチケットを取れたので映画館で優雅にれにちゃん鑑賞でもしよう、という程度の心構え。

そもそも前回の『白秋』は『お台場フォーク村』でのあーりんの失敗(とも思えませんでしたがあーりん自身課題が明確になったのだと思います)を挽回するために設けられたライブだと考えていて、それの第2弾で『玄冬』ですから、「誰かリベンジを誓ってるメンバーがいるのかな」と思考しておりました。
そしたら「もしやしおりんかな」などと考えておったのでした。

変声期なのか高音域が出づらい印象があるのと、メンバーの中での彼女のあえて前に出ない事を選んで場をコントロールできてしまう部分がむしろ「ももいろクローバーZ」としては弱みになっている、というのが一人立ちできない原因だと運営側が判断したのかな、と思ったからです。

そういうこともあり今回はれにちゃんだけでなくしおりんにも注目しようと思ったのですが、これがまた大変興味深かったです。



■ 玉井詩織はなぜ尾崎豊の『卒業』を歌ったのか

まずは尾崎豊の『卒業』をご覧下さい。
特に意味は無いので見なくてもいいですが。

僕は中学生の頃尾崎豊ばかり聞いていました。
なのでしおりんが白いTシャツにジーパン姿で出てきた時はプルってなった。
そしてとても脳を刺激されました。
見ながら「なぜしおりんが尾崎の卒業なのかを書きたい!」と思ってました。

元女性アイドルでクリスマスドラマで共演した斉藤由貴の『卒業』でも良かったはずで、もしそうなら「今年で卒業だし共演者だからこの選曲ね」と納得しやすかった。
ではなぜ今、しおりんが尾崎なのか。

それはしおりんがシステム管理者だからである。


『卒業』の歌詞は一度聞けば大体わかるように(昔の曲はこれがほんと素晴らしいと思います。歌詞が聞き取りやすいし口ずさんでしまう)卒業して大人になることを描いている。

空虚な自分。自分は何かすごい事ができるはずだと思っていても実際には喧嘩自慢などで強さを競い合うことしかできない。
恋愛をして愛を知ったつもりになるけどそもそも愛がなんなのかわからない。
親や教師みたいな信用できない大人になんかならない。とにかく今この瞬間から卒業するんだ。

このような内容です。
大人になってしまった我々はすでに知っています。それが大人になることなのだ、と。
ダメな大人になんかならないと思ってたはずが、いつしか学生に疎まれる大人にすでになっていた。

何が言いたいかと言うと、「システムを抜け出したはずがその先もシステム内である」ということです。
これはみなさまもご存知の映画『マトリックスリローデッド』の構図と同じです。
バーチャル空間で日常生活を送るネオは自身がバーチャル空間の存在であると自覚することで超人的な身体能力を駆使できるようになります。
そしてシステムを改編しようとする。
だけどマトリックスシステムは、ネオのように自身の存在に気付いてシステムを改編しようと躍起になるプログラムが生まれる可能性をあらかじめ組み込んでいたのです。

この社会も同じです。
「ダメな大人になんかなりたくない」という子供が発生することはすでに了承済みであり、結局そういう子供たちの多くがダメな大人になっていきます。
学校システムを破壊しようとしていた若者たちがすでにシステムに組み込まれていたのです。


これらを踏まえてもう一度なぜ玉井詩織なのかについて考えてみたい。

彼女は川上アキラのセリフを代弁する者であり(「この場所がアイドル界のど真ん中だ!」「歌う前から盛り上がらない事考える馬鹿いるかよ!」など多数)、バラエティなどでは話の切り出しや話題になっているテーマを他のメンバーに振るという役目を自ら背負っている。
おそらくがんばってやっているのではなく、彼女の自然な能力なのだろう。

つまりしおりんはシステム管理者だ。
ももいろクローバーZというシステムがどのように構成されているかを理解し、自分の立ち位置が百田夏菜子を支え引き立たせる役目であると割り切って振舞っている。

そのしおりんがシステムを破壊したいと叫ぶ『卒業』を歌ったのである。
そこには「高校卒業だから」以上の意味が込められている。
僕にはしおりんがしおりん自身の殻を蹴破った高らかな宣言だと受け取った。

所詮システムの外部には出られない。
ももいろクローバーZの枠を飛び越えてもアイドルを飛び越えることはできないということだ。
それでも今あるシステムを破壊したい。システム管理者である役目を蹴破りたい。
これらがあの絶唱に加わって大変素晴らしいパフォーマンスになったのだった。

その後も5人の中で一人だけジーンズにTシャツという格好のままライブが進行していった。しおりんのみがあの場で異物だったのだ。
自身の殻を破るには自分がどうしたいかが重要だ。



まとめます。
・尾崎豊の『卒業』はシステムに抗いつつもすでにそれをも含めた巨大システムの歌
・しおりんは5人の中でシステム管理者の役割を担っている
・そのしおりんがしおりんを脱却しようとしている


これからのしおりんに大いなる期待を込めて終わります。
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テーマ: ももいろクローバーZ - ジャンル: アイドル・芸能

この記事に対するコメント

参戦できて、羨ましいです

さかもとさん。
ご無沙汰しております。

玄冬とパンナコッタ、仕事で参戦できなかったので、ネットのライブレポートを読んだのですが、歯がなくなるくらいグギギな内容でした。

小箱ならではの実験的な内容で、ももクロらしい攻めの内容だったと思います。

これを機に、大箱と小箱では趣向を変えていくのかもしれません。
だとすると、エンターテイメントとしての幅がかなり広がりますね。

今回の2企画は、ライブ映像として記録しないかもしれません。
見に来た人だけが思い出にできる一度きりのライブ。
そんなプレミアムを付けることで、ライブへの誘致を促進させようとしているのかもしれないと思います。




玉さんの「卒業」は、話題になっていました。

僕は直接聴いていませんが、気迫がすごかったと聞きます。

そう聞いて、玉さんらしくない。だから、意義深いと感じました。


玉さんは、メンバーの中ではあまり感情を出さないタイプかなと思っています。
正確には、どこか冷めている感じがする。

多分、頭の回転が早い子だからなんだと思います。
気が付いてしまうし、見えてしまう。
感情よりも理性が先に働いているように見えます。


しかし、本当は内に熱いものを持っているのではないかと思います。

7番勝負のときに言った
「山ちゃんの企画が通らない番組なんて、こっちから願い下げだー!」
なんて、本当に思ってないと言えませんよ。



今回の「卒業」のパフォーマンスで、そんな玉さんの内なる感情が爆発したのかもしれません。

歌でもソツなくこなし、あまり感情をだす歌い方をしない玉さんが、感情を丸出しにまるで命を削るが如く叫ぶように歌う尾崎豊を歌う。

玉さん自身、器用貧乏気味な自分にコンプレックスを抱いていたのかもしれません。
周りは、感情丸出しの個性派揃いですからね。

玉さんは、尾崎豊を歌うことで、自分と戦おうとしていたのかもしれません。
内なる自分を引きずり出すように。

ライブレポートでは、歌っている途中、目付きが変わったというコメントがありました。
直接見たわけではないので、推論になりますが、あの瞬間、内なる自分を引きずり出したのかもしれません。


ああ、見たかった・・
グギギ・・・

URL | yoturn #-

2014/02/22 02:10 * 編集 *

yoturnさんへ

コメントありがとうございます!


> これを機に、大箱と小箱では趣向を変えていくのかもしれません。
> だとすると、エンターテイメントとしての幅がかなり広がりますね。

ツアーも今や10,000人規模のホールですからね。
たまにこういう狭い会場でやってくれるのはいいですね。


> 今回の2企画は、ライブ映像として記録しないかもしれません。
> 見に来た人だけが思い出にできる一度きりのライブ。


白秋はCSかなんかで見れたと思うので、今回の2公演もいずれ見れるんじゃないかなと思います。
EXシアターというのがライブをテレビで放送するのも目的みたいなので。
なのでぜひお見逃しなく!


> 今回の「卒業」のパフォーマンスで、そんな玉さんの内なる感情が爆発したのかもしれません。
>
> 歌でもソツなくこなし、あまり感情をだす歌い方をしない玉さんが、感情を丸出しにまるで命を削るが如く叫ぶように歌う尾崎豊を歌う。


しおりんのブログにもありましたが何か変われたと実感したことでしょう。
おそらく現在歌声が出づらい状況だからこそ、『卒業』の後半畳み掛けるシャウトが歌声ではない叫びとして発することができたのではないかと思います。
メロディ通りに歌うことだけが歌ではない。感情を込めてライブ感が出る事で歌が下手なのにすごく響くということが十分ありえる、というのが見ている人も伝わったのではないでしょうか。

URL | さかもと #-

2014/02/23 14:06 * 編集 *

2日間とも幸運にも残業なくLVで観戦できたのが幸運でした。

特に玄冬は、もちろんれにちゃんのHello Goodbeyも最高でしたけど、しおりんの卒業の印象が一番でしたね。

おそらく、しおりんの歌で涙が出たのは初めてだったと思います。
ラストのMCとか泣ける場面はありました。
でも純粋にしおりんの歌だけで泣かされたのはこれが初めて。

やはり守道さんもそこは敢えて挑戦させたいと思ったんでしょうね。
何かのインタビューでKwkmさんが「シビアに言えばメンバー間でも差は出ている」と仰ってたのを思い出しました。

歌に関して言えば、去年からみんな歌のレベルがどんどん上がっているけど、正直しおりんはというと声がわりなどで逆に苦しんでるように思えました。
前のような高音が出なくて、内心もがきながらもクールを装って、でも焦ってたんじゃないかなーって。(勝手な憶測ですが・・・)

だから、音域だとか、技術とかじゃなくて「歌に気持ちを込める」
これを国立の前に知って欲しくて挑戦させたのかなーと。

卒業を聴いていて、2番あたりから何かが吹っ切れたように見受けられました。
そこからの歌いっぷりは圧巻だったと思います。
ほんと、自然と涙が出ましたもん。

そして、新しいしおりんを目撃したのではないかと思います。

URL | noz_web #-

2014/02/24 00:16 * 編集 *

noz_webさんへ

コメントありがとうございます!
いつもお世話になっております(笑)。


> 2日間とも幸運にも残業なくLVで観戦できたのが幸運でした。

やっぱももクロは見れる時に見ておかないとダメだな、と痛感しました。
正直玄冬は白秋の第二弾という感じだったので期待してなかったんですけども。
何が起こるかわかりませんね。


> おそらく、しおりんの歌で涙が出たのは初めてだったと思います。
> ラストのMCとか泣ける場面はありました。
> でも純粋にしおりんの歌だけで泣かされたのはこれが初めて。


僕もそうかも知れません。
しおりんはいつも涼やかに歌ってる印象があって、最近は声が出しづらそうだな、と感じてましたが、この前の『卒業』はそのかすれた声が尾崎の歌い方を思い起こさせてすごく良かったです。
普段れにちゃんのブログにしかコメントしませんが今回はしおりんのブログにも賞賛のコメントを書き込んでしまいました。


> だから、音域だとか、技術とかじゃなくて「歌に気持ちを込める」
> これを国立の前に知って欲しくて挑戦させたのかなーと。


そうですね。
なんでもこなせてしまうしおりんが挑む壁というのが明確になった気がします。
元々ももクロに歌もダンスもMCもうまさなんて求めてないんですから(笑)。
何かぶつけてくる熱量の方が大事ですね。

URL | さかもと #-

2014/02/24 01:04 * 編集 *

え?

URL | #/rItj/Do

2014/05/07 09:22 * 編集 *

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