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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

PASSPO☆の形骸化について考えた夜にBABYMETALはパフォーマンスから這い出た 

PASSPO☆のライブに誘われて行ってきました。
小雨が降り注ぐSHIBUYA-AXでのライブだったのですが、この会場はGO!GO!7188以来です。
入った瞬間に思い出のイメージよりも狭いことに驚く。


PASSPO☆は事前におすすめ動画を教えていただいてそれを流して見た程度で、ライブに参戦する者としてはまったく準備が出来ていないでしょう。
それなのにPASSPO☆批評をするというのは適していないというのは承知しているつもりです。

さらに僕の近くのファンが厄介でかなりイライラしてしまい純粋にライブを楽しめず、まったくのめり込めず、そのためにかなり批判的な内容になります。
ですので全然客観的な批評ではなく、極めて個人的な感想となります。

早い話が曲知らないしメンバーもあんにゃ(玉井杏奈さん、紫担当)とまこちゃん(奥仲麻琴、ピンク担当。仮面ライダーウィザードに出た女の子)しか知らない上に、ファンにイライラしてて冷静に見れてないよ、ってことです。

振り付け担当の竹中夏海さんはダンスに関する著書を読み、この方の考え方などに大変興味を覚え、しかもダンスがかなり上手だというあんにゃのパフォーマンスをかなり見たいと思っていました。

ももクロファンから入り地下アイドルも見るようになりまして、その中間にいるライブアイドルを見た感想からパフォーマンス論を展開できればなと思います。


■ 石川ゆみVS竹中夏海


PASSPO☆の特徴は9人によるダンス編成とダンス経験者であるあんにゃとさこてぃ(槙田紗子、黄緑担当)を主軸としたダンスパフォーマンス、ロックサウンド、フライトアテンダントをモチーフとした設定などがあります。
PASSPO☆結成時から振り付けを担当している竹中夏海さんはダンス表現というものをかなり大切にしているようで、著書などからもメンバーへの愛があふれていて、大変好感が持てる人物です。

ただPASSPO☆の今後を考えるのであれば彼女を専属の振り付けから外した方が良いと思います。

初めてライブパフォーマンスを見たということで判断するには回数が少な過ぎると思いますし、オールスタンディングでの鑑賞だったのでダンスをしっかり見られたわけでもありません。
そこで感じたのは、ももクロに対する石川ゆみというような物凄い効果を生み出せていない気がしました。


ももクロのダンスの特徴は、必ず一箇所インパクトのある振り付けがある、ということです。
おそらくファンであればそのインパクトのある振り付けの写真を見ただけで曲を当てられるでしょう。
そしてそこはフックとなり振りコピをする動機付けにもなります。

一方PASSPO☆は「この振り付けはこの曲」というのが少なく、ダンス表現が曲を印象付けることになっていません。
(繰り返しますがこれは僕が曲を知らないだけで、今回のライブ中もファン全員で振り付けを合わせる曲も数曲ありました)
そして隊列を変えながらのパフォーマンスも、9人による大迫力、ということが無く各メンバーを強調するというよりはフォーメーションの美しさを特化させようとしている気がしました。


期待して見たあんにゃですが、ダンスの上手さはわかりましたが熱量が感じられませんでした。
他のメンバーの力量に合わせているようにも見え、飛び抜けたダンス表現ではなくあくまで協調性を意識したパフォーマンスだった気がします。
なぜそう感じたかと言うと、彼女はダンス中に表情を変えません。
プロのダンサーのように表情を変えずに振り付け通りに踊る。

ももクロはまず表情に出ます。
ダンスを見るというよりも表情に目を奪われる。

あんにゃのそう言ったクレバーな部分、自分のダンススキルを誇示するよりもメンバー全体のダンススキルの統制を計るような振る舞い。
そう言ったものがダンス表現としての熱量を損なっている気がしました。

個人的な考えを言うと、ダンスというのは統制の取れた表現ではなくて非日常を漂わす表出であるべきです。
「表現」というのは相手に伝わることを大事にするメッセージ。
「表出」というのは相手に伝わるかどうかではなく自分の内から沸き上がるものを吐き出す行為。
「表現」は相手に伝わったことで成功と判断でき、「表出」は自分自身がすっきりしたかどうかで成功と判断します。

あんにゃのダンスは「表現」です。
彼女が踊りたいように踊っている感じは受けず、「このように踊るのが正解だからこのように踊るんだ」という印象です。
一方ももクロのれにちゃんのダンスは「表出」です。
教えられた振り付けを超えて踊り乱れます。そして表情も崩れる。

きれいなダンスを見せるというのが目的になっている振り付けやフォーメーションと、ダンスは想いを伝えるひとつの手段でしかなく大事なのは伝えたいという強い気持ちだという熱量。
この両者の違いを感じました。

そのためPASSPO☆専属振り付け師の竹中夏海さんを外し別の振り付け師に頼んだほうがいいと思いました。
ももクロはダンスの上手さを一番に置いておらず、それよりもお客さんに楽しんでもらいたい、という想いが強い。
だから思わず笑顔になります。自分たちも存分に楽しんでいるので。


あんにゃに勝手に期待して勝手に落ち込んだ僕はもりし(森詩織、黄色担当)に目を奪われます。
彼女の躍動感と魂の熱量、ファンを巻き込むライブ感、はじける笑顔などなどが小さい身体から噴き出していました。
もりしは自身の体力がカラッカラになるのをいとわずに後先考えず踊りまくってる感じでした。
間違いなくPASSPO☆はもりしがいないと成立しないグループです。
今回ライブに参戦し、彼女の存在を知れただけでもかなりの収穫でした。それぐらい彼女の存在感は大きく、ライブ会場全体を掌握していた気がします。

あとはリーダーのあいぽん(根岸愛、白担当)もMCがグッときました。
とてもきれいなので思わず見てしまうんですが、ソロパートも多くどことなく悲壮感も漂わせていて何故か惹かれてしまう感じがあります。

あんにゃは表情を変えずクールにプロのダンスを見せるというので今後も行くのであれば、もっと妖艶さを意識して欲しいと思いました。
表情にエロさがあれば例え表情が変わらなくても見ている者を魅了するダンスになります。
例えばBABYMETALのMOAMETALは中学生であるにも関わらず表情がかなりエロいです。
平民どもを見下すような強烈な表情を上から放っており、その扇情的な表情と激しいダンスにより見ている者を魅了します。
あんにゃは動きが美しいんですけど表情が変わらないのでアンバランスな印象を受けます。
それに彼女自身かなりおもしろく頭の良さも伝わってくるので、もっと自分を押し付けてきて良いと思いました。
彼女が暑苦しいぐらいガンガン出て来ないとPASSPO☆はこのまま何も変わらないと思います。



■ 統一感と非統一感のどちらを優先すべきか


PASSPO☆は歌もダンスも基礎がしっかりしていると思います。
なので安心して見ていられます。
でも悪く言うとつまらなさにつながります。ドキドキしないのです。

例えば僕の好きなももクロのれにちゃんは見ていてハラハラします。
常に何か起こるんじゃないかと思わせる不安定さと、ダンスを逸脱した乱舞を披露してくれる。
(ただ最近の楽曲のダンスは5人で統一させる傾向にあります)

PASSPO☆の統一感は歌声にまで及び、歌っているのが誰なのか判別できません。
もちろん何度も言うように僕がまったく聞き込めてないせいなのですが、全員同じ声に聞こえます。

ももクロの場合まず杏果ちゃんのハスキーでパワフルな歌声が耳につき、あーりんのアイドルっぽさを強くした歌声も判別でき、夏菜子ちゃんのかわいらしい声やれにちゃんのか細いけど優しげな歌声がそれぞれ区別できます。
しおりんはあまり特徴的じゃないですが、4人とは違うからしおりんだ、という区別の仕方ができます。

PASSPO☆の場合はメインボーカルが固定されており、かなりの部分歌っているということもあって、基本各メンバーの個性が見えにくい構成になっています。

つまりここまででまとめると、PASSPO☆は没個性的な構成になっている、ということです。

個人的には各メンバーのパーソナルな部分が強烈に押し出されたものが見たいので、ダンスのフォーメーションや歌声など均質的になっているのは物足りなさを感じます。
そして楽曲も安定しており特殊性を感じさせるものはありませんでした。


ただ、法被を着て「最高最高」叫びまくる歌はかなり良かったです。
お祭り感がありでたらめさがありました。
ユニット曲みたいですが、そこでも黄色のもりしがかなり重要な役割を担っていました。

それと衣装ですが、キャビンアテンダントの格好の時は面白味に欠けましたが、アンコール後に登場した時のTシャツに各メンバーカラーのスカート、というシンプルな衣装はかなり魅力的に写りました。


やはり統一感を出すよりも、みんなバラバラな感じが良いです。
統一感というのは演出するものではなくにじみ出てしまうものの方が感情に訴えかけてくると思います。

統一感を演出すると、どうしても作り物であることが強調されてしまいます。
ライブというのは非日常であるべきで、そこに作り物という日常性が強烈に存在すると非日常への扉が閉ざされてしまいます。
非日常のお祭りを楽しむにはでたらめなのがいい。
みんなで非日常を笑顔で楽しんでいる、という統一感がにじみ出ていれば、それこそが立派なチームに見えるはずです。



■ チームを壊さないように振る舞うことがチームを壊してしまう逆説


PASSPO☆は見ていると危うさを感じさせない事で余計に危うく感じます。

深く知りもせずにライブを一回見ただけですが、そこで感じたのは「PASSPO☆というチームが解散しないようにメンバーのスキルを一定に保ち、突出した者がいないようにする」という居心地の悪さでした。
ただもりしがそこを上手く壊していて素晴らしかったです。でも統一感を出そうとしているチームに彼女が存在することで、他のメンバーの熱量が低いんじゃないか、と思ってしまいました。

9人もいれば肌が合わない人も出て来ると思いますが、彼女たちがケンカをする光景をイメージできません。
仲が悪くならないように当たり障りのない関係性を保っているような印象を受けるのです。
そこも統一感と没個性に関係しています。


私立恵比寿中学はマネージャーの考えであえて統一感を出さないようにしています。
そのために9人(今後メンバーの入れ替えがあり8人になる)という人数の多さを大事にしているそうです。
ももクロの5人やチームしゃちほこの6人など、これぐらいの人数はひとつの目標に向かって一丸となって挑みやすい。
でも9人だとそれぞれ個人の目標があってバラバラな方向を向いていて統一感が無いけど、そのわちゃわちゃした感じがおもしろい、というマネージャーの考えがあると発言していました。
そのための中学校なわけです。


PASSPO☆の場合はキャビンアテンダントということですでに設定が閉じています。
中学校は運動会や学芸会や登下校など、いろいろなイベントがあり、中学生としてのドキドキ感を追体験できるようになっています。言わば予測不可能です。
キャビンアテンダントにフライトのお手伝いをしてもらう、というのはもうそこで完成してしまってます。
出発地点から目的地についたらもうフライトは終わりです。
この固定された設定が9人の魅力を半減させていると思います。


ここまででまとめると、
(1)竹中夏海さんを外す、もしくは振り付け師を増やす(メンバーの振り付けではないもの)
(2)プロデューサーである機長の楽曲を減らす
(3)キャビンアテンダントという設定を無くす
(4)統一感を無くしメンバーひとりひとりの個性が際立つようなダンス割り、ソロパート割りにする
という感じです。


今回ライブに誘ってくれた方が、「こんなにいい子達だしダンスも歌もいいのになんで売れないんだろう」と言っていたのですが、初見ではどれだけいい子達なのかわからず、かと言って個人個人をもっと知りたい!と思わせるような仕掛けも存在しないので「上手だしみんなかわいいしいいんじゃない?」で終わってしまいます。
まこちゃんなどは仮面ライダーのヒロインに選ばれるほどかわいく誰もが愛でたくなるほどの容姿だと思うのですがいまいちパッとしないのはライブでの魅力に欠けるからでしょう。



PASSPO☆は枠にとらわれ過ぎで、そこを壊してはいけない、という事に意識が向き過ぎている気がしました。
9人それぞれの魅力が見えづらく、それゆえに「PASSPO☆」というチームの魅力もよくわかりません。
今すぐ枠組みを破壊すべきです。


などと考えながら、ライブ後の感想戦をしていました。
そしてツイッターを確認するとBABYMETALの武道館公演でとんでもない事件が起きていたことを知ります。
YUIMETALが舞台上から転落してしまったそうです。
そのまま演奏は続行され、舞台上に残された2人のままでパフォーマンスは続けられたそうです。
その後YUIMETALは無事舞台上に戻ってきて最後までパフォーマンスを続けて終了した、という事まで把握しました。

この一連の事件により武道館はかなりの盛り上がりだったそうです。
ライブというのは非日常でなければならない。
まさしくこの日BABYMETALはパフォーマンスを超えました。
歌もダンスも完璧に合わせるこの3人組がおそらく初めてこのような緊急事態に陥り、そして固定されていたパフォーマンスを超越して観客を熱狂させた。


枠にこだわり過ぎて矮小化してしまうPASSPO☆と異常事態によりパフォーマンスという枠組みを破壊したBABYMETAL。
人々を非日常に誘い熱狂させるのがどちらかというのは言うまでもないことだ。

PASSPO☆はメンバーそれぞれが楽器を担当しバンド体制でニューシングルを出すそうだが、試行錯誤の末に大きな変化を遂げるとしたらかなりおもしろい事になりそうです。
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テーマ: アイドル達 - ジャンル: アイドル・芸能

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