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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

『トランセンデンセス』の統合失調症っぽさと『渇き。』のファンタジーさについて 

『トランセンデンス』と『渇き。』を見ました。

『トランセンデンス』は『インセプション』や『ダークナイト』などの監督を務めたクリストファー・ノーラン製作総指揮。
『渇き。』は『告白』の中島哲也監督。

以下ネタバレを含むので了承の上お進みください。



■ 『トランセンデンス』の人工知能と人間の曖昧さについて


『トランセンデンス』は天才学者の脳をデジタル化してネットに接続したよ、というお話。
楳図かずお『わたしは真悟』も機械が意志を持つという部分では似ています。
こちらは小学生二人が工業用ロボットに様々なデータをインプットします。
この二人が離れ離れになることとなり、最後に子供はどうやってできるのかを工業用ロボットに質問しました。
333カラトビウツレ
という回答があり東京タワーのてっぺんからヘリコプターに飛び移った二人。この瞬間に奇跡が起き、工業用ロボットに意識が芽生えました。
結末はぜひ原作をお読みくださいませ。大傑作です。

さて『トランセンデンス』ですが、とても不思議な描かれ方をしています。
それは、本当に天才学者の脳がデジタル化できていたのか曖昧に描かれているからです。

見ようによっては、序盤の展開はただ学者である妻の思い込みのようにも受け取れます。
ジョニー・デップ演じるウィル。同じぐらい頭が良い妻エヴリン。
ウィルの脳(魂)がデータ化されネットに接続されたようにももちろん見えます。
ですが、天才エヴリンが超高機能AIの開発に成功しただけにも見えます。

ウィルが開発した高機能AIである「PINN」は人間とジョークを交えつつ会話できるレベルなのですが、ウィルが乗り移ったとされるAIと初対面した親友に対し「PINN」と同じセリフを言います。

ここも「結局PINNのコピーでしかない」とも読み取れるし、「以前したPINNとの会話を覚えてるから紛れもなくウィルなのだ」とも読み取れます。


『メメント』では記憶の曖昧さ。
『プレステージ』では自己の存在の曖昧さ。
『インセプション』では夢と現実の曖昧さ。
『ダークナイト』では善と悪の曖昧さ。
このようにクリストファー・ノーラン監督は常に曖昧さをキーワードにしてきました。

はたしてウィルはデータ化され蘇ったのでしょうか。
それともウィルを渇望した最愛の妻が生み出した人工知能が世界を混乱に導いただけなのでしょうか。



■ 『渇き。』の幻想感

『告白』が大変素晴らしかったので『渇き。』も期待して見ました。

結論から言うと、少年少女売買春の手引きをした美少女と、それを探す父親の話をファンタジー要素を盛り込んで描いただけの映画でした。
オープニングが70年代刑事もの探偵ものドラマっぽいというのを見ても、中島監督は単純におしゃれな映画を作りたかったんだろうな、という感じでした。

『嫌われ松子の一生』で主演を務めた中谷美紀がかなり良いところを持っていっちゃいます。
妻夫木くん(なんか妻夫木くんって言いたくなりますね。IWGP)も良い役どころです。


ただ小松菜奈が大人たちを狂わす美少女に思えないんですよね。
もちろんかわいいし演技もうまいんだと思います(演技のうまい下手がよくわからない僕です)。
きっと二階堂ふみならこの役を完璧に演じきったと思いますが、「二階堂ふみ」という役者にいろんな情報が乗っかかり過ぎちゃって、「天使か悪魔かわからない行方不明中の美少女」という役がぶれちゃう気がします。


この加奈子という役は、汚れても汚れない天使性が無ければならないんですよ。
『渇き。』の加奈子はただのかわいい極悪人なだけで、映画として別におもしろくもなんともありません。
ただおしゃれ好きな人たちが食いつきそうなアイテムを散りばめただけの映画です。

『渇き。』とか『悪人』とか『凶悪』とか、二文字系映画に出て来る悪人のつまらなさよ。
悪人ってもっと普通で、その辺にいるような、自分が悪人と思ったこともないような、わかりにくくて、わかりやすい、すごく良い人たちのことなんだ。


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