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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

「私たちは負けない」の先の祝祭 氣志團万博2014 

翔さんがエビ中を紹介する時「スケバン衣装でビシッとキメて来たのに開始2分でただの中坊になった」というようなことを言っていました。
そう。去年のエビ中はやりたい事がやらせてもらえなかったのでした。


■ 負けない私立恵比寿中学に訪れた祝祭


エビ中が出演する直前に叩きつけるような大雨が会場全体を襲い、彼女たちはそれに翻弄され、機材トラブルにも見舞われました。
雨でステージがすべり満足のいくダンスも披露できなかったことでしょう。
大雨によりスケバンという装飾を奪われ、マイクの故障で歌声も奪われ、ステージが濡れてダンスパフォーマンスも奪われてしまったのでした。


僕は、アイドルとは過剰装飾である、と思っています。
まず女の子がいて、そこに衣装や楽曲やダンスなどをゴテゴテと加えていったのがアイドルである、と。
これは『アイドル感染拡大』にも執筆してくれているくらさんが「世界が感情を取り戻す その後」という『イルミナーレ』刊行記念トークイベントで発言したことです。
まさにそのとおりだなと思います。
(もちろん80年代アイドルとかは違います。これは主にライブアイドルについてです。このことについては『アイドル感染拡大』に詳しく書いています)

その過剰装飾がすべてはがされたのが氣志團万博2013の私立恵比寿中学です。
そこには『大人はわかってくれない』と叫ぶ少女たちの姿がありました。
「雨よ降れ風よ吹け 私たちは負けない」
雨に打たれながら少女が叫んでいました。
様々なトラブルに見舞われ練習していたのとは程遠いものだったでしょう。

僕はこれを見て、奇跡は起きなかった。それでも祝福はされた。こう思いました。
先程までが嘘だったかのように晴れ、彼女たちは「負けなかったのだ」と。


今年の氣志團万博では、『放課後ゲタ箱ロックンロールMX』と『大人はわかってくれない』を2013年と同じセットリストで行うという趣向でした。
しかもその時の映像をバックに映し、現在の映像を両サイドの画面に映すというとんでもないことをしたのです。

もちろんそこには転校して行った3人のメンバーも歌っていました。

なぜ2013年の時のメンバーは今年もスケバン衣装だったのか(美怜ちゃんを除く)。
それはあからさまに大雨の時のリベンジです。
あれからずっと負けないで努力し続けてきた彼女たちへの祝祭が「ビッグアーティストと同じ舞台に立てる」ということであり、「あの時できなかったパフォーマンスをもう一度披露する」ということなのでしょう。

今年の氣志團万博は私立恵比寿中学を歓迎するかのような晴天でした。

もちろん2013年の豪雨の中での絶唱に敵いませんでしたが、パフォーマンスとしては今年の方が上に決まっています。
少年マンガで例えるなら、ボロボロになった主人公がそれでも立ち上がることに対する感動が2013年です。決して強いはずがないんだけど、立ち上がり続けることに理解不可能な凄みを感じ、思わず感動します。
今年は修行を重ねた主人公が、かつて倒せなかった敵を余裕で倒したような安心感がありました。展開的にはハラハラドキドキしないのですが、見ていて爽快感があります。


あの時大雨に打たれ、修行し、同じ衣装でリベンジができたメンバーは真山りか、安本彩花、廣田あいか、松野莉奈、柏木ひなたの5人です。

星名美怜だけがスケバンの格好をさせてもらえませんでした。


■ なぜ星名美怜はコギャルにさせられたのか


転入してきた二人は去年のステージに立っていないので、ストーリーテラー的な立ち位置で、ガリ勉の格好で「前回までのあらすじ」と導入部を語ってくれました。

そこで登場したのはスケバン姿の5人と、ただひとりコギャルの格好で登場した星名美怜でした。

つまりここで去年のリベンジを行うことが展開されていくわけですが、スケバン世代とコギャル世代とでは時代が分断されています。
なぜ星名美怜はみんなと一緒にリベンジをさせてもらえなかったのでしょう。

コギャルはスケバンよりもかなり先の年代です。
年数で言うと20年ぐらいの感覚です。

つまりエビ中運営はこう言いたいのではないでしょうか。
「私立恵比寿中学の先を走るのは星名美怜である」と。

彼女はリベンジなどしている場合ではなく、常にみんなの先を走る宿命にあるのでしょう。

360度どこから見てもアイドル、という過剰なまでに装飾されたアイドル性と、ももクロのあーりんを推すという体裁を取らずにれにちゃん推しを公表する真面目さ。かつてはただのレッスンの一環だったグループに入り、みんなの空気を一変させた「紅白出場」という目標。

そう星名美怜だけが私立恵比寿中学の中でも異質な存在であり、運営としても彼女こそがキーパーソンだと期待しているという表れなのではないでしょうか。


僕は今年の氣志團万博のエビ中を見て、リベンジという大事なストーリーテラーを任された2人と、リベンジを見事達成した5人と、そこから断絶されながらも突き進む星名美怜を見て感情が揺さぶられました。

過剰に装飾されるのがアイドルだとしたら、星名美怜ほど残酷なまでに装飾され続けるアイドルは他に思い浮かびません。
そして彼女こそがエビ中にとって大きな役割を果たすことになると思えてならないのです。


「雨よ降れ風よ吹け 星名美怜は負けない」


星名美怜に大いなる祝福が訪れることを願って。

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