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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

『コングレス未来学会議』が突きつける地獄 

先日『コングレス未来学会議』という映画を見ました。
以下ネタバレを含むあらすじです。


落ち目のハリウッド女優ロビン・ライトが自身をデータとしてハリウッドに売ることで、映像として永遠に若いまま映画女優となり、本人は表舞台から去る。
当初はハリウッド側のこの提案にプライドが許さなかったが、視力と聴力を失う難病の息子の医療費のためにデータを売り女優をやめることにしました。

本人は年老いていくのに映画女優としての彼女はデータのまま永遠に美しく、様々なアクションなどもこなし世界で一番有名なハリウッド女優となりました。

映像の中で永遠に生きるハリウッド女優。その後女優の名が付けられたクスリが開発されました。そのクスリを飲めば自分の望む姿になれるのです。ただし脳内でのみ。
誰でもハリウッド女優になれるし、鳥になって飛ぶこともできる。さらにはこの世のものとは思えないほどの極彩色を放って輝き続けることも可能です。

現実を捨て夢の世界で生きるクスリを快く思わないロビン・ライトは、暴動に巻き込まれ長い眠りにつきます。
ロビン・ライトが目覚めるとみんなクスリを服用して極楽のような社会を生きていました。
置いてきた息子が心配になり現実の社会に戻ろうとするロビン・ライト。その現実は極楽とは正反対の、灰色をした生き地獄のような社会でした。
そこで息子を探しますが見つからず、主治医の先生からは「ロビンがいつまで経っても帰ってこないのでクスリを飲んで旅立ってしまった」と告げられます。
息子を追うために自らもクスリを飲み自分ではないものになるロビン。ロビンは自身の息子として再び生まれることで足跡を追おうとしたのでした。

ロビンの子供としてこの世に生まれ、ロビンに抱かれ、ロビンにほほえまれ、難病が発覚する。様々なことを追体験します。そして難病が発症しない身体として大人になるまで生き続け、やがてロビンと出会いこの映画は終わります。



■ この社会は地獄なのか極楽なのか

『コングレス未来学会議』は、「自身の体感を捨てても名声が得られるのはいいことなのか」と、「クスリを飲むことで自己を失い強烈な快楽を得ることはいいことなのか」という二つの大きな問いを見る者にぶつけてきます。
その回答次第では、最後の「息子となることで息子と出会えた奇跡」という結末の印象が大きく変わります。

女優としてのデータを売ることで女優を辞めさせられたロビンは、一番の人気女優になりました。ですがそれは本人の実力ではなくあくまで映像の中にあるデータが人気なだけです。
だからロビンは後悔を抱いています。

ですがロビンは息子と会えないとわかるとクスリを飲んでしまう。
実際のところクスリを飲んでしまったロビンは永遠に息子と会えない。なぜなら姿かたちがまるっきり変わってしまうからです。
だからラストの彼女は、息子を探すためにクスリを飲んだのではなく、ありえた未来を夢見るためにあえて現実を捨てたのです。

でもこれはクスリを飲んでいない我々だからこそ言える意見であり、ロビン自身はクスリを飲んだことで「他ではありえないこの現実」を生き、息子と会えたのです。


この社会は地獄です。さまざまなニュースを読めば嫌でもそれがわかるでしょう。
でもだからと言って生きるに値しないわけではありません。
クスリを注入することで極楽にもなりえる。
そのクスリは、ある人はライブだったり、映画だったり、酒だったり、ドライブだったり、焚き火だったりするでしょう。
酷薄な生をそのまま生きていくには、この社会はあまりにも厳しすぎます。だから自分を変えていかなければならない。
自分を変えたくない場合はこの社会を変えるしかない。

自己を変えて地獄を極楽と思い込むか。社会を変え地獄を極楽に向かわせるか。
「未来学会議」とは今まさに我々が真っ先にしなければならないことなんだ。
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