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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

ドラマ版『時をかける少女』が少年を大人にする(はず) 


ドラマ版『時をかける少女』が全5話終了しました。
原作というよりはアニメ映画版の『時をかける少女』をモチーフに作られており、アニメ映画版が大好きな僕はずっと楽しみにしていました。
何より主人公の未羽役黒島結菜ちゃんはかわいいし、親友の吾朗役竹内涼真君は『仮面ライダードライブ』でずっと見ていたので好感が持てました。

以下、アニメ映画版と今回のドラマ版のネタバレを含む内容になっています。
なぜアニメ映画版は傑作だったのにドラマ版は残念な結果になってしまったのか。




■ 催眠術は必要だったのか

アニメ版との大きな違いは未来人が催眠術を使えるという点です。
ピラミッド型のアイテムを宙に投げるとその場の人たちは記憶を改ざんされてしまうのです。
個人的にはこのアイテムがこのドラマをダメにしたのではないかと思っています。
記憶の改ざんと歴史の改ざん。
未羽は翔平に記憶を改ざんされたまま歴史を改ざんし続けるわけです。

他にも、アニメ版はタイムリープの使用回数に制限がありましたが、ドラマ版は特に制約は無さそうでした。
ドラマ版第5話では、7年前という長い時間を戻ったせいなのか、その後タイムリープができなくなっていました。


アニメ版では未来人は転校生ということでクラスに入ります。
ドラマ版は手続きが面倒だったのかクラスに以前から居たように催眠術をかけ、忍び込んだ家の未亡人に息子であるかのように記憶を操作しました。


催眠術が万能なのでタイムリープのありがたみが薄れました。
歴史を改ざんするよりも記憶を改ざんする方が楽でリスクが少ないので、感動的な場面でも「催眠術使えばいいじゃん」となってしまいます。
タイムリープの唯一性、危険性、せつなさ、というものが削がれた気がします。


■ ドラマ版のタイムパラドクス

アニメ版では、タイムリープした主人公はその時間軸の自分になります。
つまりどの場所からタイムリープしても、その当時立っていた場所からスタートするわけです。
どういうことかと言うと、タイムリープした先に自分と同じ人物は存在しない、ということです。

例えば『ドラえもん』はタイムマシンを使うと昔ののび太を未来ののび太が目撃する、ということがあります。
アニメ版『時をかける少女』はこれとは違う、ということです。

ドラマ版の場合は好きな場所に飛ぶことが出来、しかも7年前にタイムリープしても未羽は高校生の姿のままでしたから、きっとその時は小学生の未羽も同時に存在していたことになります。
つまり、未羽がタイムリープすると、通常進行の未羽と未来から来た未羽が同じ時間軸に存在していることになります。

この問題は特に意識されてませんでしたが、実際は自分が居た場所を避けて過去にタイムリープすべきであり、もし二人も未羽が居たら大混乱となっていたことでしょう。
未羽のことなので、そうなったらまた過去に戻れば良いと思っているのでしょうが。


■ せつなさが損なわれる

ドラマ版はもっと良くなったはずなのに、どうしてこんな結末になってしまったのでしょう。
せつなさがまったく足りません。

アニメ版では未来人からの告白をタイムリープで何度も無かったことにします。
未来人を未来に戻す時になって主人公は好きだったんだと気付き、でももう一生会えないことを悟り、ありえたはずの初恋を自ら捨て去ってきたことを後悔し大泣きします。

一方ドラマ版では未羽は、吾朗ちゃんからの告白を何度も消し去り、幼少時の記憶を改ざんした翔平を好きになります。
そして数年で死んでしまう未来人翔平を未来に戻すため、タイムリープを獲得した時に戻ります。
そのまま実験器具を壊さなければ翔平は何も知らず未来に戻れました。
ですが未羽は自分が経験してきた思い出の写真アルバムを決して経験できるはずがない翔平に託すのです。
これから付き合うことになって、初めてキスもされて、と細かく説明もしました。
何もしていない翔平に責任感を負わせ、自分だけは「初恋を捨てて好きな人の命を守った」とヒロイックに打ちひしがれる。
アニメ版の主人公真琴と比べなんと無粋な少女なのでしょう。
黒島結菜ちゃんがこんな無粋な少女を演じていたのが不憫です。

吾朗ちゃんは歴史通りだと夏祭りの日に未羽に告白するのでしょう。
でも未羽は翔平のことを想っているので告白を断るのでしょう。もしかしたら夏祭りにすら一緒に行かないかも知れません。
幼少期の未羽の髪を切るはさみにすら嫉妬し、何年も想い続けてきた少年は、存在すらしない(しかも未羽の幼少期の記憶を改ざんし好きにならせるような)翔平により初恋が実らず終わってしまうのです。

なんとせつない物語なのでしょうか。
第5話では吾朗ちゃんはほとんど登場しません。
タイムリープ仲間なのに、未羽は吾朗ちゃんに相談すらしません。

時をかける少女は自分勝手な少女でしたが、時をかける少女に振り回される少年はとてもせつなかったです。

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