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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

『魔銃ドナークロニクル』が倫理観を揺さぶる 

舞台『魔銃ドナークロニクル』初日を観劇してきました。

吸血鬼がテーマということを知り期待が高まる。
というのもモー娘。とスマイレージの舞台『LILIUM 少女純潔歌劇』が大好きで、こちらも吸血鬼のお話。
「リリウム」とはおそらく「リリス」と「サナトリウム」の造語。

では『魔銃ドナークロニクル』とは何かと言うと、人を不老不死の吸血鬼にしてしまうバイツを倒すための道具「魔銃」とその魔銃を使える適合者「ドナー」の物語ということ。
そして「クロニクル(年代記)という言葉が観劇後大きな意味を持つ。


魔銃に充填するのは呪われた血液とされるもので、そのマイノリティな血液型を持つ者は常に全身に痛みが走る奇病に蝕まれている。この血液がバイツにとって猛毒という設定だ。
妹のために戦う浅倉神酒と、才能を持つ者をバイツにする御船彼岸子の壮絶な血の戦争が始まる、かと思いきや物語はここから二転三転していく。

ネタバレをしないために多くは語らないが藤子不二雄『流血鬼』という漫画がとても参考になるだろう。
この漫画は、通常は忌み嫌われる吸血鬼だが、実際に噛まれ吸血鬼になると人間だった時よりも夜の美しい輝きを浴びることができ、吸血鬼同士幸福に人生を過ごすことができると描かれる。吸血鬼を殺そうとする人間こそが「流血鬼」という名の殺戮者だ、という指摘が込められているのだ。

100年生きない人と、1000年以上も生きる吸血鬼とではそもそも倫理観が違う。
人は人としての、吸血鬼は吸血鬼としての倫理観に沿って生きている。
『魔銃ドナークロニクル』でもバイツは理想に生き、ドナーは現実に生きる。
観客は人側の倫理観しか持ち合わせていないため、苦痛を抱えるドナーに感情移入せざるを得ない。
だが御船彼岸子の愛くるしいキャラクターと最後に明かされる真実により倫理観が揺らぐだろう。

この物語はいつから始まりいつまで続くのかわからない。だからクロニクルなのだ。



以下はネタバレ込みの「こうしてくれたら大好きだった案」です。
単純に僕の好きな展開、というだけです。



1、浅倉姉妹二人で血液充填すれば熱かった
姉の血液量が限界となったところで妹が血を差し出しましたが、ここは妹も出血多量で限界という展開にし、一発の弾丸に姉妹で半分ずつ出し合って魔銃に充填した、という流れにするとかなり高まります。

2、御船との約束はバイツになることだった
終盤で御船と浅倉姉がある約束をするのですが(観客にはこの時何を約束したかわからない)、バイツとなって千年王国に入れ、という約束だったらもっと深くなった気がする。
妹を救うために人を捨てバイツになる姉。妹は病気が治るが姉を失う。姉は妹が助かるが自身の生きる糧を失う。
そうして妹の血を飲んで死ぬとかドナーだった時の自分の魔銃で自殺するとかいろいろおもしろい(というか根暗?)な展開になってかなり高まります。

3、御船とハイネの関係性をもっと強烈に
ラストで御船の想いがわかるわけですけど、ここはとても素敵なのでもっとわかりやすくというかインパクトを強く描いて欲しかった気がします。
貴族種ハイネととバイツ御船の関係をもっと描かれていたらより感動的だったかなぁ、と。


ということでいろいろ書きましたけど単純におもしろかったです。
みなさんかわいいということもあってかなり引き込まれました。
マイクを使っていないので聞き取りにくい部分もありましたけど、120分があっという間で、チケット代が高いと感じませんでした。
お怪我や風邪などに注意して最後まで乗り切っていただきたいです。

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