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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

有安杏果がいない世界を生きて行く 

昨日あんなに晴れていたのに、杏果ちゃんがいなくなって一日目の東京は真っ白な雪に覆われていて、まるで日常から全部の色が抜け落ちたかのようです。

ももいろクローバーZに有安杏果がいない。

言葉にしてみても何も実感が湧きません。
5人のももクロがあまりにも当たり前過ぎて、10周年を迎える前に誰かが卒業するだなんて微塵も想像しませんでした。


僕がももクロを知った時はすでにあかりんが脱退していました。
ももいろクローバーのことをよく知らないし、もちろんメンバーの人柄も知らず、名前すらおぼろげなまま見た『4.10中野サンプラザ大会 ももクロ春の一大事〜眩しさの中に君がいた〜』で大号泣しました。

ファンとも言えないままあかりん脱退で大泣きした僕が、今この状況で一人去る体験をしたら一体どうなってしまうのか、と不安もありつつ、ずっと現実感が無いまま1月21日を迎えました。

ライブ後一日経ってみて、いろんな記事を読みましたが、いまだに感覚が追い付いていきません。
言葉では「4人のももクロ」と認識できます。ですが日常が、肉体が、捉える視野が、れにちゃんへの想いが、「4人のももクロ」を認識してくれません。

ももクロを知ってから、つまらなくて苦痛な日常は熱くたぎる非日常へと彩られました。
やがてその非日常は日常化し、ももクロのことを考えるのが当然の毎日になりました。
だけど杏果ちゃんが卒業したことで、当たり前だった日常が再び混乱に満ちた非日常へと転じました。
ももクロを知った時の非日常から杏果ちゃん卒業後の世界を生きるという非日常へ。

4人での歌や立ち姿を見た時、正直なところそんなに違和感がありませんでした。ライブ中の興奮もあったでしょうし、さっきまで5人だったことが映像としてまだ目に焼き付いていたのかも知れません。
杏果ちゃんが4人でも遜色なくパフォーマンスができるように大切なものを託していったおかげかも知れない。
4人も杏果ちゃんが安心して卒業できるように踏ん張ったのかも知れない。
いろいろな思考が巡り、感情が揺さぶられました。
でも今考えると「4人のももクロ」をしっかりと認識できていなかったのも理由の一つかなと思います。例え4人しかステージに上がっていなくても、自動的に5人だと認識してしまうのです。


自己紹介。『Z伝説 終わりなき革命』での扇の組体操。曲中のメンバー間のアイコンタクト。いろんなことがステージ上で起こる度に、「あ、これがもう最後なんだ。見れなくなるんだ」と頭をよぎりました。
杏果ちゃんは毅然としていて、れにちゃんはところどころ涙ぐんでいました。
杏果ちゃんのソロパートの後でれにちゃんが画面に映し出されると、杏果ちゃんの方を向きながら泣き顔になっていることもありました。


れにちゃんは杏果ちゃんにこんな言葉を贈っていました。

「何度も考え直してくれないかなぁって言っちゃったと思うし、すごくしつこくなっちゃったかもしれない」

夏菜子ちゃんもしおりんもあーりんも、杏果ちゃんの決意が揺るがないことを察してしまったので強く引き止められなかったのだと思います。
れにちゃんも当然察したでしょう。もう後戻りできないところにまで来てしまっていることに気付き絶望したのかも知れません。
それでも。考え直してもらえないかとお願いし続けるれにちゃんを想うと涙が止まりませんでした。
杏果ちゃんが卒業を決意した原因のひとつにれにちゃんが関わってると考えてしまっている気がして、れにちゃん推しとしてはとても心配しています。



杏果ちゃんかられにちゃんへ、こんな言葉が贈られました。

「れにには、自分がどんなに苦しくて辛くても、相手のことを思いやれるあったかい優しさを教えてもらいました。たくさん助けてくれてありがとう」

大泣きするれにちゃんを見て大泣きしました。
中野の映像で見た、子供みたいに泣くれにちゃんを思い出してまた大泣きしました。

杏果ちゃんは8年で辞めてしまったのではなく、れにちゃんのおかげで8年も続けられたのだと受け取りたいです。


10周年を5人で迎えたいとこの日まで伝えられなかった夏菜子ちゃん。辞めなきゃよかったと思ってもらえるぐらい輝いていたいと宣言したあーりん。ももクロの情報がいやというほど目に入ってくるぐらい活躍していきたいと告げたしおりん。

会場では『新しい青空へ』の歌詞が表示されていたのですが、夏菜子ちゃんが「その小さな体 抱きしめていた」と歌っていたところは「その小さな体 抱え込んでいた」という歌詞だったかと思います。
(記憶が定かではありません。ベスト盤特典にはぜひ歌詞カードも付けていただきたいです)

この歌詞にもあるように、杏果ちゃんは様々なことを抱え込んでいたのだと思います。

1年以上前から卒業を考えていて、それでも10周年は5人で迎えられると思っていた杏果ちゃん。
「奇跡の5人」の中に自分は不在で、5人目はファンのみんなだと思ってる杏果ちゃん。

れにちゃんの悲痛な涙や、自信なさげな夏菜子ちゃんの表情を見てしまうと、もっと別の方法があったんじゃないかと思ってしまいます。そして、メンバーの4人も後悔を抱え込んでしまっているのではないかと余計な心配をしてしまいます。

それでも4人は決断してくれました。解散せず4人で続けると。
れにちゃんも「ついてこい!」と言ってくれました。
その言葉を待っていたんです。

れにちゃんを信じる心がれにちゃんの力になるのなら全力であなたを信じます。



ももクロに有安杏果がいない世界を生きていきます。
その決意が杏果ちゃんへの恩返しになることを目指して。



この日はいろんな人に会えて、ライブ後は酒を飲みながら語り合いました。
紛れもなくももクロちゃんがいなければ一生出会わなかった人たちです。
ももクロちゃん。杏果ちゃん。本当にありがとう。
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この記事に対するコメント

さかもとさん、ご無沙汰しております。

久々に読ませていただきました。
救われた気がします。

さかもとさんも前記事で挙げた例のブログを始め、杏果に浴びせた様々な罵声を見て、モノノフというものに酷く絶望していました。
※今もそうですが…

そんな中、さかもとさんの記事を読み、杏果のこれまでの頑張りを理解して下さったことがよく伝わり、涙が溢れました。
ちゃんと、分かってくれる人がいて嬉しかったです。
ちゃんと見てくれていた人だからこそ、余計に。

モノノフへの疑念は、フォーク村の退場の時の異常なバッシングの頃から抱き始めていました。
そして、今回のことでその疑念が決定的になりました。

アイドルに限らず、誰かのファンになることは、その人の「人」のファンになるものだと思っていました。
しかし、モノノフの中には、5人ではなく、勝手に神格化した「偶像」のファンになる人たちがいたことに気づきました。
そういう人たちが、杏果を偶像を愚弄する異物と断罪したのだと思います。

勝手に神格化し、勝手に崇拝したのに、それに反する行為をしたと勝手に解釈した挙句、それを正義と信じ込み、勝手な正義を杏果に浴びせる…
杏果は、ファンを愛していました。
ファンのために笑顔を振りまき、ファンのために手を振り、いつもファンを思うコメントをしてくれた杏果。
罵声を浴びせるあなたを、杏果は最後まで愛していたのですよ!

僕は、この身勝手さを人間としてどうしても許せません。



さかもとさんの著書は、今でも読んでいます。
モノノフいや、ファンとして、ももクロに出会えた感動を色々な視点で捉え、表現されており、特に祭りと重ねられていた話は僕の感じた本質さと一致したこともあり、大きな発見と納得さを抱いた感覚は今でも覚えいます。

ももクロの神格化におぼれた人たちは、それと似た感動により、ももクロに依存してしまったのかもしれません。



神格化した「偶像」を崇拝する人たち。
そこに、本当の笑顔はあるのでしょうか。


ももクロは、特別な人間ではありません。
どこにでもいる普通の女の子たちです。
ただ、夢に向かって走り続いているただの人です。


杏果は「普通の女の子になりたい」と言いました。
普通ではなかった要因に、僕たちファンが作り上げてしまった「ももクロ像」があったのかもしれません。


僕たちは、その偶像を依存することから抜け出す必要があると思います。
偶像を愛するのではなく、今いるももクロ、そして杏果そのものを見る…
相手を考える想像力が必要なのだと思います。


もう、ももクロに背負わせるのはやめましょう。
理想に潰されてしまうその前に。



絶望の中、さかもとさんの記事が読めたことは、僕には救いでした。

URL | yoturn #-

2018/02/04 19:17 * 編集 *

yoturnさんへ

ご無沙汰しております。
コメントありがとうございます。


> 久々に読ませていただきました。
> 救われた気がします。

そう言っていただけるととても嬉しいです。
書いて良かったです。


> さかもとさんも前記事で挙げた例のブログを始め、杏果に浴びせた様々な罵声を見て、モノノフというものに酷く絶望していました。
> ※今もそうですが…

なぜわざわざ嫌いと言えるのでしょう。
もちろん突然過ぎる発表というのはありますが、そこは杏果ちゃんのせいでは無いわけです。
それに1年以上考えて考え抜いて出した結論なわけですから、嫌いと切り捨てるにはまだ思考が浅いと感じました。


> アイドルに限らず、誰かのファンになることは、その人の「人」のファンになるものだと思っていました。
> しかし、モノノフの中には、5人ではなく、勝手に神格化した「偶像」のファンになる人たちがいたことに気づきました。
> そういう人たちが、杏果を偶像を愚弄する異物と断罪したのだと思います。


僕は『キン肉マン』のジェロニモに例えられると考えています。
超人の中でただひとり人間だったジェロニモと、アイドルとして人を超えた存在に装飾された4人と人間の感性を失わない杏果ちゃんが、どこかシンクロする気がします。

僕も含めももクロを神のように扱っていたのだな、と感じました。


> ファンのために笑顔を振りまき、ファンのために手を振り、いつもファンを思うコメントをしてくれた杏果。
> 罵声を浴びせるあなたを、杏果は最後まで愛していたのですよ!

まさに「無限の愛」ですよね。
早い段階であの曲が生まれ、そして杏果ちゃんも好きだというのが素晴らしいと思います。


> さかもとさんの著書は、今でも読んでいます。
> モノノフいや、ファンとして、ももクロに出会えた感動を色々な視点で捉え、表現されており、特に祭りと重ねられていた話は僕の感じた本質さと一致したこともあり、大きな発見と納得さを抱いた感覚は今でも覚えいます。

ありがとうございます。
ももクロは宗教ではなくお祭りだというのが今では本当にしっくりきますね。
崇め奉る存在ではなく、一緒になってバカ騒ぎする存在なんですよね。


> もう、ももクロに背負わせるのはやめましょう。
> 理想に潰されてしまうその前に。


みんなももクロの一員というのを忘れず、誇りを持って行動したいですね。
ももクロの一員なら、ももクロを抜ける人を糾弾することなどありえないはずですからね。

URL | さかもと #-

2018/02/04 20:04 * 編集 *

さかもとさん
ありがとうございます。

「崇め奉る存在ではなく、一緒になってバカ騒ぎする存在」
本当に、その通りです。
そして、これこそが笑顔の天下だと思います。
だって、その祭りは笑顔に溢れていますからね。

>みんなももクロの一員というのを忘れず、誇りを持って
微妙くも、杏果が残した「4人とモノノフで、奇跡の5人」と重なります。
あの言葉は、杏果の願いだったのかもしれません。



僕は、これから杏果との思い出と共に生きていこうと思っています。
新しいももクロは、遠くから見守ります。

これからどうなっていくのかは、わかりません。
でも、彼女たち5人の自由で良いと思っています。

ももクロの物語は、あの子たちの物語なのですから。


末長く続くグループとか
モノノフのためにとか
パフォーマンスがどうとか


そんな鎖に縛られず、自由にすれば良いと思います。




さかもとさん、ありがとうございました。
以前、酷いコメントをしました。
僕は、とても幼稚だったと思います。
ですが、真剣に議論できたことは、今思うと幸せでした。
意見は違えども、想いは同じ…

世界もそうなってほしいと思います。

そのためにも、僕はもっと学ばなければなりません。
自分と違う意見にもっと触れなければなりません。
違う意見を理解する努力をしなければいけません。

想像力と寛容さを学んでいきます。


この出会いに、感謝します。

URL | yoturn #-

2018/02/04 20:50 * 編集 *

yoturnさん

コメントありがとうございます。


> 僕は、これから杏果との思い出と共に生きていこうと思っています。
> 新しいももクロは、遠くから見守ります。

杏果ちゃんが残してきたものはすごく大きいですからね。
4人のももクロ祭りも「どっかで騒いでるな」と見守っててください。


> 末長く続くグループとか
> モノノフのためにとか
> パフォーマンスがどうとか
> そんな鎖に縛られず、自由にすれば良いと思います。


夏菜子ちゃんが「笑顔を広めると言っているのに一番近くにいる人を笑顔にできてない」と語っていましたが、その気付きが今後大きな実を結ぶと思いました。

個人的には運営どうこうじゃなく、4人それぞれの意志を前面に押し出した振る舞いをして欲しいです。


> 想像力と寛容さを学んでいきます。
> この出会いに、感謝します。

こちらこそ幾度となくコメントいただき本当にありがとうございました。
大変励みになりました。

個人的にチームしゃちほこはマネージャーが変わったみたいで良かったなと思っています(笑)

ももクロも脱川上マネージャーをして欲しいです。

URL | さかもと #-

2018/02/05 22:47 * 編集 *

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