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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

『半分、青い。』の眩しさと切なさ 

『半分、青い。』の眩しさと切なさ


連続テレビ小説『半分、青い。』第11週「デビューしたい!」(第61回)がとても素晴らしかった。


鈴愛(永野芽郁)と律(佐藤健)は同じ日に同じ病院で生まれ、隣同士のベッドで泣き声を聞き合った仲だ。

鈴愛は小学3年生の時に左耳の聴力を失い、その悲しみを律に告げ、支えてもらった。
律も、喘息持ちだった少年期に、明るく元気な鈴愛に助けてもらったと感じていたようだった。

二人は高校卒業と同時に東京に上京する。
律は大学生として勉強や恋愛を楽しみ、鈴愛は漫画家のアシスタントとして日々一生懸命過ごしている。
少女漫画の巨匠に恋愛を何も知らないと叱られる日々だ。


鈴愛と律は、恋愛感情は無いとしながらも、恋愛以上の強い絆を共に感じていた。

だがそこに異分子が訪れる。
伊藤清(古畑星夏)は高校時代に律が一目惚れした女性で、大学で再会した二人は急速に仲を深める。まるで会えなかった時間を埋め尽くすように。

律の全てを自分の物にしたい清は、律を我が物顔で扱う鈴愛に嫉妬する。

「律は私のものだ、返せ」

清とケンカをしたことでも、学生時代の仲間の写真を破られたことでもなく、律は鈴愛のこの言葉に決定的なものを感じ取っていた。

恋人同士ではない。だけどいつも鈴愛の隣には律が居て、お互いがお互いを想い合っている。恋人以上に相手のことを理解し、家族以上に強い鎖でつながっている二人。

恋人がいる律はそれを恋愛と勘違いすることができず(ドラえもんとのび太の関係と評する)、恋人ができない鈴愛はいまだに恋がなんなのかわかっていない。


◼️ 東京 加齢 プリミティブ

標準語で話し合う律と鈴愛の姿が、もうそれだけで切ない。
誰もいない空間で、二人は故郷の言葉で恥じることなく会話してもいいし、岐阜弁の方がお互いの感情をぶつけられるはずだ。
それでも律は標準語を崩さない。
なぜなら二人は別れるからだ。
標準語。二人の距離がもう縮まらないことを示すのにこれほどまでに効果的なものがあるか。

律は大人になってしまった。標準語も操れるし、優男の友人やかわいい彼女をも虜にできる。
一方鈴愛は大人になることを拒む。
漫画家の先生に発破をかけられて恋愛に走り出すが、人を好きになるということがよくわかっていないようだ。

正人(中村倫也)に手を払われた時、鈴愛は何日も大泣きしたが、まるで漫画のような泣き方で、失恋した女の子は泣く、というルールに従っているかのようだ。
律との別れの時はどうか。
笑顔で言葉を交わし、最後にそっと涙をこぼす。

鈴愛は失恋よりも悲しい別れを体験し、半身を失うことで大人にさせられた。

予告を見る限りでは、今後その悲しみが漫画作品へと転換されていくと思われる。
七夕の日にはなればなれになった二人の距離は何光年離れてしまったのだろう。
ロボット工学の博士になった律が鈴愛に左耳の聴力を蘇らせる機械を発明し、律の声をプレゼントする、というのは出来過ぎか。


正人だけでなく律も居なくなってしまい、鈴愛はこれからどうなってしまうのか。
まだ月曜日ですよ、北川先生!
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