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実存浮遊

映画やアイドルなどの文化評論。良い社会になるために必要な事を模索し書き続けます。

『ウルトラマンサーガ』と『第9地区』 

『ウルトラマンサーガ』と『第9地区』を見ました。


サーガは震災以降。第9地区は9.11以降のイラク戦争をそれぞれ意識した作品だろう。


『ウルトラマンサーガ』

パット星人にほとんどの人類を消された地球。
わずかに残った地球防衛隊をAKB48のメンバーが演じる。
怪獣を倒しながら数名の子供たちと生活している。

無人のスーパーに買い物に行くのはうる星やつらの押井守版『ビューティフルドリーマー』へのオマージュか?

平行宇宙からやってきたDAIGOが子供を助けるために瀕死の重症を負い、ウルトラマンゼロが同化することで一命を取り留める。
たしかウルトラマンシリーズのどれかで似た設定があったと思いますが、詳しくないのでわからず。
他にも過去作に登場した人物や設定がいろいろ散りばめられているので、ファンは見てて楽しいと思います。


ウルトラマンダイナを失った地球が舞台で、そこに別宇宙のコスモスも登場。
ダイナを救出し、最強の敵ハイパーゼットンを倒す、という内容。


震災以降の作品として映画『ヒミズ』があるが、『ウルトラマンサーガ』も同様に、震災以降の強度を獲得することはなかった。


それは、失われた人々が再び子供たちの前に戻ってくる構図であったり、なぜか自分の故郷の宇宙を捨てて守った地球に留まる選択をするDAIGOであったりが原因だ。


震災で多くのものを失い、今後も大きなものを失い続ける我々にとって、「伝説の巨人が地球を救う」という虚構や、「失われた人類が再び戻ってくる」という虚構がどれほどの価値を持つのか。

それよりも、ウルトラマンが去ったあとでも生きていけるかどうか、大切な人を失ったとでも生きていけるかどうか、を描いた方が良かったのではないか。


DAIGOが地球にとどまる理由も、「理由不用で地球を救うダイナが守ろうとする地球だから、なぜかわからないけど自分も同じく守りたくなってしまった」という演出があれば納得できた。


3体が同化しサーガに変身したわけだが、これで自己変革が起こったと演出すれば済んだのではないか。

確かに子供向けというのもあろうが、どうしても惜しさがまとわりつく。


良かった点は、AKBの秋元才加が女優として際立ってたところだろう。
あの凛とした顔立ちはそれだけで女優としての存在感がある。
早く女優の道を歩むべきではないか。



『第9地区』

現在『第10地区』の制作が行われてるらしいが、それはいらないだろう。
なんとももったいない。

衰弱し戦う気力を失った宇宙人を第9地区に隔離させるが、そこがスラム街化してしまい、20年近く国家問題になっている。
強制収容所に移送するための手続きと称し、宇宙人の高度な技術を駆使した武器を奪うのが目当てで第9地区を荒らすのは、そのままアメリカへの皮肉だろう。


そこで巨大母艦の燃料となる液体を浴びてしまった主人公が、宇宙人と化していく。
人間であり、宇宙人のDNAも保有する彼の生き様を描いた作品。

風刺も込められているが、映画としても楽しめます。
最初は異物として描かれていて、「えび」と侮蔑される宇宙人が、主人公の宇宙人化がすすむにつれ描かれ方が変わってくるのは巧妙だ。

つまり、最初は言葉も通じない暴力的な宇宙人という描かれ方で人間たちも手を焼いている。
でも徐々に肉体が宇宙人に近づくにつれ、関わる宇宙人が「理知的なエンジニア」や「無垢な子供」にシフトする。
むしろ人間の方が「無差別に殺そうとする軍人」であったり「狂った闇の売人」であったりする。

だから見てる我々は、主人公の宇宙人化から受け取る残酷さを際立って感じることがなくなる。
「人種差別とは何か」「戦争問題の根本的解決とは何か」などの社会問題を考える余地も生まれる、というわけだ。


そしてラストが悲しい。
理不尽に宇宙人となった主人公は、今後どうなるかもわからないにも関わらず宇宙人を助ける。
戦略されるかも知れないし、地球人を助けるかも知れないけど、そんな思考はなく、ただ宇宙人とその息子を助けた。

そしてもう会えない妻に、ゴミの金属で作ったきれいな花を玄関先に置く。
妻もそれを大事にしまっておく。
金属の花というのはもう人間ではなくなってしまったことの証明。
それでもとっておくのは、金属なのでいつまでも枯れない花のように、ずっと心は通じ合っている、というメッセージだろう。


だがこれでいい。
このままで終わっていればあとは観客が社会について考える。
なのに続編制作とは。
なんともったいないことをするのか。

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テーマ: 映画感想 - ジャンル: 映画

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